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素麺食ったら麦茶味(意味なし

枯葉が風に巻き上げられカサカサと飛んでいくのを眺めながらベンチに腰を掛けていた

今日は中学時代の同窓会があり、今俺は開始までの時間を潰していた。

「はあ・・・」

軽く溜息をついてみるとちょっとは雰囲気もでるかと思ったがなんてことない、

虚しいだけだ。

今は午前九時四分前。同窓会は午前十一時からだから結構時間もある。

なぜ俺がこんなに早く来ているかというと・・・まあ緊張しいたんだな、遠足前日の子供みたいなもんさ。

そう今現在俺の心拍数は新記録を打ち上げるべく絶賛鼓動中であり、その理由としては

中学時代の甘酸っぱい思い出の賜物である・・・・まあ、思い出してみるのも良いだろう。

かくして俺は遠い記憶の旅に残りのじかんを費やすことにした。

あれはそう、中二の時だったか・・・?


クソ暑かった。もう何もするにも暑いの一言が出るような、つまり猛暑だったわけである。

当時スポコン時代のキツイ部活から逃げるべく俺は美術部に入部していたわけだが

窓全開の美術室ですらこんなに暑いのだから外の運動部は今頃日干しかステーキだろうと

考えていたのを覚えている。ああ、素晴らしきかな文芸活動・・・・、

そんなこんなで夏休みもちょくちょく学校に通っていた俺は出会ったのだった。

あの少女に。

出会いはどんなだか良く覚えていない。なんだか痛かったような気がするから

廊下でぶつかったとかそんな感じだろう。とにかくなんだかんだでその子と親しくなり

結構な時間一緒にすごした記憶がある。よく覚えてはいないが・・・

そう、あの時だ、その子を好きになったのは。

校舎の裏に古い倉庫があった。物置というかガラクタ入れになっているような所に

その子が閉じ込められたことがあった。その時偶然現場に居合わせたのが俺であり。

当然俺はその子を助けるべく全力を尽くした。扉をふさいでいたのはかなり重い廃材で

美術部である俺が持ち上げられる重さではなかったのだがその時はなぜか持ち上げられたのだ。

かくして開いた扉から出てきたのはとても弱気な表情で俺にすがりよって泣く姿に

もうなんというか一気に惚れてしまったのだ、若かった。

がしかし、俺が親しい女の子に激烈な恋愛感情を抱いた矢先。その子は転校してしまい、

結局思いを伝えることが出来なかった・・・のだ。


なんというか寒い。それは冬が近いからとかそう言うのではなく自分の回想が寒かった。

年ってこわいな・・・・

っと、ヤバイ、なんだかんだ言ってそろそろ時間が迫っていた。

あの子も来るのだろうかと思うと少し胸が躍る。さて、会場はどこだったか、

案内の紙をもう一度確認し俺はベンチを後にした・・・・・










灰皿が飛んできた、顔面に。

アルミ製じゃなけりゃどうするんだと突っ込む前に俺はフリーズしていた。

あの子が居た。記憶の中少女はすっかり大人の女性になっていたが各所に残る面影

があの子であることを確信させる。だが確信してしまい、顔面に飛翔してくる物体を見て

思い出してしまったのだ。全てを・・・・


そう、暑かった。いつもの数倍。それは今週が植物の写生であり、俺が屋外にいるからだ。

ちょうどテニス部のコートの近くに木陰があったのでそこで写生することにしたのだが、

開始して三十分。この時だ。俺の顔にラケットが飛翔してきたのは、

ラケットが飛んできたのは女子テニスのコートからで、ラケットを投げたのはあの子だった。

そう、これが出会いだったのだ、痛い記憶の真相である。

んでその子と接点を持ってしまった俺は事あるごとにパシられ、ついでにトレーニングに

無理ありつき合わされたおかげで結構筋力がついていたのだ。

これで扉の真相もわかった。

そう、思い出してしまった。その子とすごした時間がTHE・地獄だったことを。

思い出してしまった、凶暴なあの子に良く殴られたことを。

そして今わかった。今の彼女も性格がそのまま、むしろパワーアップしてないか?

俺はこれから始まるおそらく地獄に心底溜息をついた。


人間の自意識ってこわっ。


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