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ナニカが視える俺と、ナニカが分かる君  作者: あどん


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【5】鈴音澪奈は「ナニカ」が分かる

「幽霊を信じているか」と聞かれたら、私は「全く信じていない」と答える。


正確には、「信じたくない」と言った方が正しいのかもしれない。


人は自分の目で見たものしか信じられない生き物だ。だから私も、自分の目で見たもの以外は信じない主義を貫いている。今まで幽霊のような姿を見たことは一度もないし、これからも見ることはないと思っている。けれど、世の中にはどうしても説明のつかない不思議なことが存在するのも、また事実だ。


いわゆる「死者の霊魂」がこの世に現れるというのなら、それは存在しないと断言できる。なぜなら、そんなものは見ることができないから。だから、もし幽霊なんてものが存在するとしても、それは人の想いの残滓のような、実体のない概念なのだと解釈している。そして、それを不意に「視える」人や、「分かる」人がいるのだ。


私は、その「分かる」側の人だった。


それは子供の頃から自覚していた。人には見えないものが、そこにいることが分かる。ここにも、あそこにも……。しかし、分かったところでどうしようもない。何せ、私にはそれの姿が「見えない」のだから。世の中には「見えないものが見える」という人がたくさんいるようだけれど、私の感覚からすれば、十中八九は嘘に聞こえる。


だって、気配はそっちじゃない。


あなたのすぐ後ろに、それはいるのだから。


だから、この感覚のことはあまり人に言わないようにしてきた。あそこに何かいると言ったところで、誰の目にも見えず、誰にも分からないのだ。そんなことを口にすれば、ただ気味悪がられるだけ。だからこれは、私だけの秘密だ。


私はそれを『ナニカ』と呼んでいる。わけのわからない『ナニカ』。何をするわけでもないし、何かをされたとしても私には分からない。ただ、そこに居られると、たまらなく「気持ち悪い」だけ。


中学生になる頃には、極力無視する術を身につけていた。


気にしなければ実害はない。たとえ悪いことが起きたとしても、それが『ナニカ』のせいだなんて証明できない。『ナニカ』はただそこにいて、私に嫌な気配を感じさせるだけだ。とはいえ、気持ち悪いものは気持ち悪い。お守りや盛り塩も試したが効果はなかった。そうして試行錯誤するうちに、一つの対処法を編み出した。


それは「誰かと密着していること」。


誰かにくっついていれば、そのうちに『ナニカ』はどこかへ行ってしまうのだ。それに気づいてからは、片っ端から友達を作り、常に誰かと一緒にいるようにした。おかげで「友達が多い」という評価を得ることになったが、不純な動機なので少し申し訳ない気もする。最近は友達からも「距離、近くない!?」と苦言を呈されることもあるが、みんな私がそういう性格なのだと受け入れてくれている。


そして高校生になり、新しい出会いの季節。幸いなことに、べったりくっついても大丈夫な親友たちと同じクラスになれた。二人とも羨ましいほどの容姿をしている。そのことを伝えると「あんたが言うの?」と呆れられてしまったけれど、お世辞抜きでそう思う。私なんて、昔からどん臭くて弱虫なだけだ。そんな私に、彼女たちは本当の姉妹のように優しく接してくれる。それが何より嬉しかった。


高校生になってからは、『ナニカ』の気配も随分と減った。環境が変わったせいか、あるいは常に友達と一緒にいるおかげか。私は理想的な高校生活を大いに楽しむことができていた。


だから、鈴音すずね澪奈れいなは普通の高校生なのだ。


ただ、人より少しだけ「変なモノ」が分かってしまうという点を除けば。

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