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荒神録─ Demonic Divinity Saga ─ 見えざる戦争  作者: HasumiChouji
第1章:地獄のリベンジャー
3/3

コードネーム「ギャル」(1)

 古典的な「巡回セールスマン問題」の変形だ。

 厳密解を出す確実な方法は、総当たり法しか無い。

 なので、AIによる解析であっても「準最適解」でしかなく、その結果、経路を割り出すAIによって「癖」が出てしまう。

 ここまでは、大学の共通科目レベルの……下手したら、高校1〜2年生でも頭がいい奴なら理解出来る話だ。

 という話を、恐ろしい事に、ウチのIT担当の「レオ」が理解しているか疑わしい。多分、AIの取説に書いてある事を、さも自分の意見のように復唱しているだけだ。

 ともかく、私達は「レオ」がAIで割り出した……いや、AIが動いてるPCを操作するのは別に「レオ」じゃなくても出来る事だけど……「防犯カメラに補足される可能性が最も低い経路」に沿って、対象の自宅に向かっていた。

 私達の上部組織が、自称「正義の味方」に取って代わる為に日本各地で行なっている運用試験……その中で、私達のチームが割り当てられたのは、多分、「外れ」ケースだ。

 コードネームが「チーム・リーダー」のチーム・リーダーがアレだから仕方ない。

 多分、私達の隠れ家付近で噂になってる謎の妖怪の正体は、チーム・リーダーだが、御本人は、それに気付いてない。

『既に現場に到着した。突入する』

「はい、こちらも1分以内に到着します」

 相棒のコードネーム「オタク」……いや、長髪に眼鏡なだけで、このコードネームにされてしまっただけで、下手したら「レオ」の方が「駄目な中高年オタク」にしか見えないけど……が「リベンジャー」に応答する。

 念の為、戦闘要員の「リベンジャー」と、後始末部隊の私達は別経路で現場に向っている。

 現場に到着すると……始まっていた。

 ほぼ無音のEV(電動車)……しかも目立たない色の御蔭で、私が来た事に気付かれてはいない。

 勝負が付くまで、車から出ない方が良いようだ。

 ゴガッ‼

 古びたプレハブ作り建物……工事現場の仮設事務所……の外で「リベンジャー」が中年男の鳩尾を殴る。

「効かねえよッ‼」

 もちろん、車の中から聞こえる訳がない。「リベンジャー」のヘルメットに仕込んだマイクが捕捉(とら)えた音だ。

 男の顔が……徐々に変る……。表情が変っていってるんじゃない……。()()()()()()()()()()()()

 亀を思わせる顔に……。

 ブンっ‼

 男が「リベンジャー」を殴るが……。

 ゴキャっ‼

「えっ?」

 その拳は「リベンジャー」のヘルメットにブチ当たる。

 ガンっ‼ ガンっ‼ ガンっ‼

 何度も何度も何度も、「リベンジャー」が()()()姿()に変身しつつ有る中年男の足にローキック。

「な……何だよ……おめえは……?」

 攻撃が効いてるのかは……不明。

 しかし……自分より明らかに体格が劣る相手が、常人より固い皮膚に覆われた自分の体を、痛みを感じていないかのように、殴り続け、蹴り続ける。

 その異常な姿に……恐怖か……混乱を感じているらしく……段々と後退し……。

 次の瞬間、「リベンジャー」が「河童」の足を払う。

「えっ?」

 そのまま、河童は地面に叩き付けられ……更に、「リベンジャー」が「河童」に馬乗りになる。

「他の奴らは……どこだ?」

「あっ……」

「ここだよ、マヌケッ‼」

 背後に別の男が居る。

 そいつが、バールで「リベンジャー」を殴り付け……。

 幸いにも……ヘルメットで守られている頭だった。

 「リベンジャー」の片手が背後に何かを投げる。

 多分……近くに有った砂利か小石だろう。

 背後の男が一瞬、怯んだ隙に……「リベンジャー」は馬乗りになった相手の顔に肘撃ち。

 立ち上がり、振り向いた「リベンジャー」に、横殴りのバールの打撃。

「えっ?」

 効いていない。

 いや……効いていないように見えるだけだ。

 バールの男は、更に殴る殴る殴る。

 けど……「リベンジャー」は男に近付く。

「な……何だよ、これ?」

 怯みながらの打撃……あっさりと「リベンジャー」はバールを掴み……。

 しかし、「リベンジャー」は……バールを掴んだ自分の手を見ているようだ。

 マズい……。もう限界が来てる……。

 どうやら……手に力が入らなくなっているらしい。

 そして……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

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