第八話 Gクラス……通称:ゴミクラス
【我の目的は、竜に戻ること、そして世界を破壊すること】
優先すべきは、再び封印されないように強くなること。
我は15年間、山で生き、独学で魔法を鍛えてきた。
しかし、さすがに限界がきた。
我はさらなる力を求め、山を離れた。
異形たちの情報を基に、効率的に学び、力を得る手段を探した結果――
人間の学び舎こそ、最適であると結論づけた。
そこでは魔法の知識を深め、実践し、競い、成長できるという。
実に楽しそうな場ではないか。
かくして、聖都市という巨大な街に向かい、最も名高い「聖霊学園」の入学試験を受け――
見事合格。我は G クラスだそうだ!
【きっと G という意味は……ゴット………神クラス!つまり一番上のクラス!ということだろう】
天才の我が、山で努力をしたのだ。
それに試験とやらでも、全てにおいて100点を収めた。
当然の結果だな。
*
聖霊学園………ここは魔法が絶対の世界。
入学した生徒は、入学試験の成績に応じて、 A から G クラスに振り分けられる。
魔力、知識、技術――などなど。
入学試験において、これらが最も優秀な者たちが集うのは、Aクラス。
そして、これらのいずれか、もしくは、何かしら問題を抱えている者たちが集められるクラス、それが G クラス。
試験ごとに成績が評価され、優秀な者は上のクラスへと昇格する。
*しかし、この学園が創立されてから20年、
一人たりとも G クラスから上のクラスへ上がった者はいない*
Gクラスに配属された者は、そのまま三年間を過ごすと言われ、
G 3
ご み
故に、ゴミクラスと言われていた。
オリオンはこのことを知らず、神クラスだと誤解している………。
点数も………。
*
今日が入学式。
我は教室のドアを開ける。
【ここが神クラス!】
我の席は窓側の一番後ろの席。
教室中が一望できるいい席だ。
【ふむ、我の隣は女なのか】
黒く長い髪。
おっぱいは大きく、出るところはしっかり出ている。
身長は我より低いが、女性の平均よりやや高め。
絶世の美女と称してもよい容姿だ。
観察していると、女は手に持っていた本を閉じ、ため息をついた。
そして、冷ややかな視線を向け、一言。
「……何?さっきから」
【いや、強い者を探していたところだ。だが、この教室内には目ぼしい者が少ないな。我が強くなりすぎたか?】
我は目で見た者の魔力量(器の大きさ)が分かる。
各属性の魔力の大きさがオーラのように溢れて見えている。
しかし、この教室にはそれなりの魔力量しか持ち合わせていない者ばかり……。
おかしい……ここは神クラスのはず………。
「何を言うかと思えば……当たり前でしょ。ここは、最底辺のクラスなんだから」
【……ん?最底辺?どういうことだ?】
神クラスが………最底辺?
「入学試験の成績が悪い人たちしか、この教室にはいないってこと。あなたも成績が悪かったから、このクラスにいるんでしょ」
【それはないな。我は全てにおいて100点だったぞ。これを見てみろ】
我は自身の学生証を女に見せる。
その裏には、我の素晴らしい成績がちゃんと記載されていた。
魔力 60/100
知識 0/100
技術 60/100
発動速度 40 / 100
応用力 10 / 100
耐久力 100 / 100
道徳 0/100 合計 270/700
【どうだ!我はどの分野に置いても100点を取っておるのだ!】
「はぁ〜あなたもしかして、点数の見方も分からないの?」
女は点数の部分を左、右と指を指す。
「こっちが貴方の点数で、こっちがそのテストの最高点。って、何で私はこんな事を教えないといけないの?」
【……ん?……つっつまり、我の点数は左……というのか?】
「そう」
【魔力……60点満点中、100点ではなく?】
「そう」
【知識………0点満点中、100点ではなく?】
「そう、逆。というか、0点満点って何?」
【ごっ合計は270点……】
「つまり、あなたはザ・凡人ってこと」
【わっ我が……凡人……馬鹿なことを言うな。そっそう言う貴様はどうなのだ】
「はぁ~はい」
女はすぐに学生証を渡す。そこに書いてあったのは………。
魔力 20/100
知識 80/100
技術 70/100
発動速度 30/ 100
応用力 50/ 100
耐久力 30/ 100
道徳 80/100 合計 380/700
我は改めて女の魔力量を見る。
確かに、我よりも少ない………。
知性も高いと感じる………。
左の点数が……自身の点数……。
【……本当、だと言うのか……】
「そういうこと。分かった?」
くっ悔しいが、現状を受け入れるしかないようだ。
だが、この女の上から目線な態度は受け入れられん!
暴力で騙せるのは簡単だが、ここは一つ、敵の土俵、言葉によってねじ伏せてくれよう!
【貴様の話は分かった。それと同時に、貴様がGクラスにいる理由も分かったぞ】
「へぇ〜何よ?」
【貴様、魔力量が少ないな。その大きなおっぱいに、逆に吸われたのではないか!?】
「なっ!」
女は少し赤面し、片手で胸を隠す。
そうだ、いいぞ!
【だからそんなにおっぱいが成長……ん?何を】
ドハッ! パリンッ!
我は魔法によって体を浮かせられ、放り投げられた。
窓ガラスを破り、外の草むらへと頭から刺さる。
「変態」
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次回:第九話 おっぱいが大きい女