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第四十八話 「超級融合魔法:雷神滅翼・断界閃嵐」決着……戦いの果ては……。

 二人の視線がかち合った……。


「ほらっ!♡」


 ボンッ! ドンッ!!!!!!


 突如、アラクネの左腕が膨張。

 ぶよりと膨れ上がった巨大な拳が、振り抜かれる。


 ジークフリートは咄嗟に剣を構え、なんとかガード。

 だが衝撃は凄まじく、数十メートルも吹き飛ばされ、腕に鋭い痺れが走った。

 体勢を立て直す間もなく――


 ジョリッ……


 アラクネの右腕が、ねじれるように再生する。

 骨と肉の軋む音を響かせながら、女王の身体が再び動き出した。

 

「その表情よその表情ッ!アァ~もっとアタシに見せて頂戴ッ!「蜘蛛の螺旋舞スパイ・マカブル」♡!」


 アラクネの指が舞を踊る。

 その動きに応じて十本の魔糸が無数に解き放たれた。


 シャギギギギィィィィィ――ッ!!!!

 バババババァァァァン!!!! ドドドドドン!!!


 螺旋を描く糸の群れが、飛翔するジークフリートを執拗に追尾する。逃げ場を削り取るように飛来した。


「……クッ!」


 バサッ!


 ジークフリートは翼をたたみつつ、森の濃い影へ滑り込むようにして飛び込む。

 アラクネの視界の外へと潜り込んだ。


「アタシに♡かくれんぼ♡は、挑んじゃ駄目よっ!!!」


 十本だった魔糸が、糸からさらに糸を分岐させて無数の線へと変貌する。


 シシシシシシシシシィィィィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!


 獲物を見失った魔糸は、天に向かって津波のように打ち上がり、次の瞬間――森をめがけて雪崩のように落下した。


 ザザザザザザザザザザザザザザザザァァァァァァァン!!!!!!


 森が切り裂かれ、木々がバラバラに砕け散る。

 だが――その中で、ジークフリートは避けない。斬り払わない。

 ただ駆ける。


 バンッ  ドンッ!  キラキラキラーーーーーヒューーーーーーーーーーーーーーーーーーービョンッ!


 木々を掠めるように、低空を疾駆するジークフリート。その動きは音を裂き、光の尾を描きながらアラクネの周囲を一周する。


 剣の“残光”が、鮮やかな軌跡を残して。

 ジークフリートは一周を終えると――


 バサッ! バン!


 勢いを殺さぬまま、森の中から垂直に跳び上がる。


「もう終わりかしらっ!!!」


 宙を舞うジークを視界に捉え、アラクネが右手を掲げる。

 森に展開されたすべての魔糸が、彼の指先の合図とともに空へ集い、糸の奔流が下からジークを襲う。


 バサンッ!!!  ガキンッ!!!


 宙空。アラクネの斜め上、正面に佇むジークフリート。

 彼は翼を大きく広げ、右手の剣を天に掲げていた。


 空に煌めく、雷光と漆黒の刃――


「融合魔法:轟雷・闇剣」


 シュンシュンシュンシュンシュンシュンシュンシュンシュン――!!!


 突如、十字に光る剣がアラクネの周囲を取り囲むように現れる。

 それは、先程ジークフリートが低空で周囲を駆けた際、左右にキラキラと放っていた光の剣たち。

 森に散らばっていた剣が、木の上に姿を現し、一斉にその剣先をアラクネへと向けた。


 そして、ジークフリートが天より剣を振り下ろす。

 瞬間、全ての剣が闇を纏い――アラクネへと放たれた。


 ズババババババババババババババババババババァァァァァァァァン!!!!!!


「いっぱいっ!♡」


 ぞくり、とアラクネの背筋を興奮が駆け抜けた。

 しかし彼女は笑っていた――その瞬間すら、愉しげに。


 彼女の背後に、蜘蛛の巣のように円形を編み上げた巨大な紫紋の魔法陣が咲く。


妖絹縛封陣グリム・ネクロネット


 直後、放たれた魔剣群がアラクネの周囲へ突き刺さる寸前――糸が渦巻き、波打ち、アラクネの周囲を蠢いた。


 バゴォォォンッ!!  ドシュゥゥゥゥン!!!

 

 炸裂音と閃光が交差する。

 光の剣が、一振り、また一振りと魔糸の結界へと突き刺さるたび、激しい爆音と火花が吹き上がった。


 ギャリィィィィンッ!! ゴガアアアアンッ!!!


 だが、いかに嵐のような斬撃であれ――アラクネには届かない。

 飛び交うすべての剣は、一本も彼女の肉体に触れることなく、弾かれ、地に落ちていく。


 一方その頃、宙空のジークフリートは――

 自らを取り囲む無数の魔糸を、冷然と見下ろしていた。

 糸がうねり、渦巻き、巨大な網となって彼を呑み込まんと迫る。


「融合魔法:轟雷爆葬・深淵斬」


 掲げた黒き刃に、雷と闇が奔流のように収束し――

 次の瞬間、ジークフリートが空を裂くように一閃する。


 ドオオオオオオオオオン!!!!!!


 天地を貫く轟音とともに、漆黒の雷爆が炸裂した。

 爆炎は縦横無尽に広がり、魔糸の網を一気に焼き払い、切り裂き、そして掻き消す。


 バチバチバチバチィィィッ!!!


 空を覆っていた糸の全てが、炭と化して崩れ落ちた。

 ジークフリートは空中に静止したまま、わずかに剣を下ろすのみ……。


 お互いに……無傷。


 ――爆煙の中心、砕けた大地にて、全てが静止した。


「ふふふ~♡」


 それでもなお、アラクネの唇には余裕の笑みが浮かんでいた。

 ジークフリートは黙して、それを見下ろす。


「……」


 冷ややかな視線……その後、目を瞑った……。

 無言のまま、剣を強く握りしめる。




 クリームヒルト……私の妻……。




 お前が生きた世界を 私は今日も  




 守る……。




 

「がんばりなさい……ジーク」




 ガンッ。


 ジークフリートは、ゆっくりと目を開き……構えた。


 ビリ――ビリビリ――ビリビリビリ……ビュシュンッ!!


 シュワンッ!!


 ピキンーーーーーッ!!!


 彼の周囲に、雷・闇・光――三属性の魔力が渦を巻くように蠢き、オーラとなって炸裂した。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……


 周囲のエーテルが根こそぎ吸収されるかの如く、ジークフリートのもとに奔流となって集まり、飽和し――

 それはついに、限界を超えた。


 ブゥゥゥゥゥゥン……!!


「うふふ……うふふふふふふ♡」


 対してアラクネの瞳には、一片の怯えも恐れもなかった。

 あるのは、ただ――歓喜。

 狂おしいほどの、昂ぶり。


 ……”自分は今から……死ぬのだと言う……高揚”……ただただ、感じたい♡


 詠唱は唱えなかった……アラクネの背から魔糸たちがうねり出す。

 四方八方、天から地へと、無数の糸が収束し――蜘蛛の巣が全空間を覆うかのように、広がった。


 ギィィィィィィィ……!


「超級融合魔法:雷神滅翼・断界閃嵐」


 ピンッ――。


 ドゴォォォォォォォンッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


 ズガガガガガガガガガガガッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


 ジークフリートは光そのものと化し、瞬間移動をも置き去りにする速度で飛翔する!


 ――バシュンッ!!!!

 ――ビュバッ!!! ギュインッ!!! ザンッ!!! ババババババババンンンンン!!!!


 彼の通過軌道上に存在する全ての魔糸が――


 雷によって裂ける……!

 闇によって爆ぜる……!

 光によって消し飛ぶ……!


 斬撃という概念を超えた、“光速の断絶”。

 蜘蛛の巣状の魔糸を一瞬で“虚無”へと還していく――!!


「いまああああああ♡♡♡♡」


 アラクネは歓喜の絶頂で両腕を広げ、迎え入れようとした。


 その瞬間――


 ギュオオオオオオオオン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


 彼女の正面に、ジークフリートが出現。


 目にも止まらぬ斬撃が――


 ズバァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!!!!!!!!!


「―――あ、ぁ♡♡♡♡♡♡イッ0ゥーーーピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」


 アラクネの美しく強靭な肉体は……粉々と化した。

 骨すら、臓腑すら、原子すら――残らない。


 バチバチバチバチィィィィィィィィィィィィィィン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


 バンッ!!!!


 閃光――轟音――風圧――


 その全てが融合し、空間を押し潰すように襲いかかる。

 ただの一撃で。

 数キロに及ぶ森が――“吹き飛んだ”。

 ドーム状に囲っていた白い糸がガラスのように溶けていく……。


 音が遅れて届いた時には、全てが終わっていた。


 ……女王は……ここに。

 完全に……絶命した。


ーーーーーーー

次回:第四十九話 命の危機:伝説のピーーー【魔気が高まる……溢れる……】w

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