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第四十七話「お前を……殺す」「もぉぉぉっと感じさせなさぁーーーーいーーーーーーーーーー!!!!!♡♡♡♡♡♡♡♡♡」


 シュルルルルルルルルルルルルルルルーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!


 カンカンッ!カカカカカカカカンッ!!!


 バンバンバンバンーーー!!!


 ブワッ!


「あはっ♡アハッ!あーはっはっはっはっはーーーーーッ!!!!!」


 シシシシシィィィィィィーーーー!!! ドドドドドドン!!!


 森を切り裂き、紫煙を纏った爆炎が次々と咲き乱れる。緑が朱に染まり、空は魔力の余波で軋みを上げる。


 アラクネが操るのは――「爆魔蜘蛛糸ネクローズ・スレッド」。

 手を振るたびに空を切る斬撃糸が放たれ、その一本一本が爆裂性と猛毒を併せ持つ。飛び交う魔糸は山林一帯を灼熱に染め、緑を焦がし、黒煙を立ち昇らせる。


 シュルルルッ!!! バシュゥゥゥ!! ドゴォォォン!!!


 ジークフリートは翼を翻し、空中で跳ねるように身を躱していく。爆ぜる魔糸の網をすり抜け、一陣の風のごとく――流麗に、軽やかに。


 女王はいやらしい笑みを浮かべながら、爆発と斬撃の只中にいるジークフリートではなく――その背後、空中で呪い(限界の怒り)に身を焦がしながら苦悶に喘ぐ“他の騎士”たちに視線を這わせていた。


「避ける避けるぅ♡ でも――お仲間がお留守よッ!「糸操縦術スレッド・ドミネイト♡♡♡」」


 両腕を横へと大きく広げ、アラクネが淫靡に腰をくねらせる。


 バシュゥゥゥゥ……ッ!


 束になった白い魔糸が空中へと解き放たれ、弧を描いて上昇したかと思えば、一定の高度でふわりと拡散。

 雪のように舞い落ちたそれらは、三十名の騎士たちすべてへ向かって滑るように突き進んだ――。


 これは――第二次試験で、オリオンがローゼとマイラを操った魔法。

 指先から魔糸を伸ばし、対象に接触させて視界を共有し、あたかも人形のように操る。

 オリオンはその魔法で、ローゼとマイラが持つ能力の限界すら引き出してみせた。

 もちろん、操られた二人に意識は残っていた。記憶もある。


 しかし、この効果はオリオンがアラクネの力を介し行使していた……いわば劣化版。

 今回はアラクネ本人が行使した本家……真の効果は……。


 ……糸に触れた相手の脳内神経を全て、死滅させる……


 そう……【この糸に触れた者は、脳が完全に破壊され、文字通り“生ける人形”と成り果てる】。


 シュルルルル……ズブ……チュチュ……ッ……


 騎士たちの身体に、美しくもしなやかな魔糸が侵入する。

 耳から、目から、鼻から。皮膚の隙間から。

 ぞわりと寄生虫のように蠢き、神経を這い、脊髄から脳髄へと絡みつく。


 そして訪れる――沈黙。


 シーン……

  

 視界の共有もない。記憶の保持もない。

 命令に従い、命を刈るだけの無慈悲な殺戮機械となった騎士たち。


 ガガガガガガガガガガンッ!!!!!!!!!!


 三十人の身体が同時に跳ね上がり、痙攣し、動きを止めた。


 ゆっくりと、同じ速度で、同じ角度で――全員の首が、アラクネの方へと向けられる。

 光の消えた瞳。感情の欠けた顔。まるで作り物のように、表情の一切を失って。


 アラクネは微笑む。


「その男の四肢をもぎ取ってきなさい♡」


 グルンッ!!!!


 首が回転するような、不気味で無機質な動き。

 三十体の“人形騎士”たちが、一斉にジークフリートをロックオン……突撃を開始した。


 バサァッ!!!! ドンッ!!!!


 爆散した魔糸の名残が消えたかと思えば、次の瞬間には仲間たちが剣を抜き、目に光もなく、こちらへ殺到してくる。

 静かに剣を構え、視線をアラクネへと向ける。


「お前……何をした」


 答えは返らない。ただ、迫るは第一陣――五人の突撃!


 ヒュバアアアアアアッ!!!!!! ギィィィィンンッ!!!!!!  ドン


 一本目の剣を弾く。

 二本目を空中で体を捻って回避し――三本目は、真っ向から叩き落とす!


 ザシュゥウウッ!!! ゴゴッ!!!


 瞬間、雷を帯びた二人の剣が左右から斬りかかる。

 ジークは逆手に構えた魔剣を閃かせ、右側の騎士を斬り伏せ、左側の腹へ膝蹴りを叩き込む。


「本気で殺しに来ている……洗脳の類か……」


 背後。五人の騎士が詠唱を同時完了――


 「氷槍」「氷槍」「氷槍」「氷槍」「氷槍」

 冷気の矢が一直線にジークを狙う。


 バチィィィンンッ!!!! ズバアアアアッ!!!!!!


 反撃の雷斬波――。

 雷の一閃で、五本の氷槍を一刀両断。

 砕け散る氷片を、翼の風圧でなぎ払い、ジークは進撃する――


 ヒューバンッ!!


「邪魔だ」


 だが、第二陣・第三陣……止めどなく群がる人形たち!


 グシャッ! ギンンンッ!! ガアアアアアンッ!!!!


 四方から、剣が魔法が空中にて混じり合っていた。


 キキキキキキキキキキキキンッ! ドン バンッ!


 ドシュゥゥッ!!!! ヒュッ! ギィィィィィンッ!!


 ジークの剣が光を切り裂き、雷が爆ぜる。


 シュバッ! ギャリィィィィィィィィィンッ!! ドガァァァァァァッ!!!


 だがその背後から、土塊の槍が――


 ドゴオオオオッ!!! ズドンッ!!!!


 飛び退いて回避! 直後、頭上に紅蓮の火矢が降り注ぐ!


 ゴゥゥゥッ!! ボフン!! バオオオオオオオンッッ!!!!


 両脇から風刃の鎌が、空気を裂いて迫る!


 ヒュルルルルッ!! ザシュゥゥゥッ!!! ギャインンンッ!!


 足元から、黒き闇の罠が這い上がる――


 ズズズズズ……グガガガガガガッッ!!!!


 ジークは息を吸う……。


 スゥーー


 そして、


 シーーーーーーン


 スババババババババババババババババババババババババババババババーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


 シャリンッ!   ドシャッ!

 

 周囲を囲っていた魔法も……音も置いていく超速の斬撃。

 それは、三十人の騎士たちを、瞬時に切り刻んだ。


 だが――


 グルリッ  ドンッ


 首を九十度に回転させながら、なおもジークへと襲い掛かろうとする。

 常人なら動けぬ傷を負い、血を噴き出しているにも関わらず、ゾンビのように突進してくる騎士たち。


「……これだけ傷を負っても、まだ洗脳は解けないか。ならば仕方ない」


 背をチラリと確認したジークは、猛然と正面のアラクネへと向かいながら――


 ビリビリビリビリーーーードンッ!


「後遺症は残るが、許せ。上級魔法:封雷連鎖」


 後方から迫るすべての騎士たちの頭上に雷光の魔法陣が展開され――そこから解き放たれる三本の雷鎖が一人一人を正確に貫き、縛る!


 バチバチバチッ!! ギャアアアアアアッ!!!


 雷撃が体内を駆け巡り、動きを完全に封じた。


 その直後――


 ザシュッ!


「あらッ♡」


 同時にアラクネの右腕が宙に舞った。

 ジークが魔法を放ちながら剣を振るい、瞬間移動でもしたかのように彼女に届いていたのだ。

 アラクネは咄嗟に身をひねっており、体を縦に真っ二つにされかけた攻撃を、右腕のみの犠牲で回避していた。


「仲間ため……世界のため……お前を……殺す」


「痛い……痛いわッ!いいッ!!!いいッ!!!「もぉぉぉっと感じさせなさぁーーーーいーーーーーーーーーー!!!!!♡♡♡♡♡♡♡♡♡」


ーーーーーー

次回:第四十八話 「超級融合魔法:雷神滅翼・断界閃嵐」決着……戦いの果ては……。

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