第九話 おっぱいが大きい女
『初日で窓ガラスを割るとか勘弁してくれよ~』
あの後、我と女は教師とやらに現場を目撃され、即座に職員室へと連行された。
【教師よ、我は悪くない。女が急に我を浮かせて投げ飛ばしたのが原因だ。悪いのはあっちだ。ちゃんと叱りつけておけ】
「はぁ? あ・な・た・が変態発言をするからでしょ」
【我は正直な感想を述べただけだ】
「正直すぎるのも限度ってものがあるの。私のむむむ…ぉぉとか、普通、人の前では言わないの。時と場所を考えて」
【つまり~限度も知らず、普通ではない。貴様、我を褒めているのか?】
「褒めてないし!あぁーもう、何でこんな人と」
すると教師は我らの肩を掴み、体が大きくなる。
きっと教師の魔法の類だろう。服がはち切れそうになるほど筋肉が膨れ上がり、低く太い声で口を開く。
『お前たち二人に言っているんだからなぁ~』
その後、我と女は説教をくらった。
なかなかに長く、退屈極まりない話ではあったが、
【重要な情報を得られた】ため、我はよしとした。
・学校内での魔法使用は禁止。
・学校の物は壊すな。
・今回の件は不問──
すなわち【一度目なら許される】ということを学んだ。
…………………
説教から解放された我と女は廊下を歩く。
「何で付いてくるの?」
【同じクラスなのだから良いであろう】
「わざわざ、あなたと離れるために遠回りの道を選んだのに、これじゃあ……」
女の言葉が途中で止まる。
微かだが、魔力の気配。彼女の身体から魔力が滲み、表情が鋭くなる。
『あぁ~れぇ~?もしかして、黒髪の(クルサ)さんじゃないですか~』
廊下の先、金髪の男が立っていた。
細身の体格、背は女と同じくらい。
一見弱そうだが──我の目には見える。
………奴の中に潜む、並々ならぬ魔力が。
【誰だ?貴様の知り合いか?】
女はイラついた表情を浮かべ、口を開く。
「えぇ、中学の頃からの知り合い。最悪な意味で」
中学──確か、高校の前に通う学校であったな。人間の教育システムは妙に段階が多い。
「アルバート……もう諦めてよ」
『諦める?そんなの無理ですよ、クルサさん。美しくて、魅力的な体をお持ちのあなたを僕が諦められるわけないじゃないですか。あなたが僕の想いを受け入れてくれるまで、諦めませんからね』
どうやら、この金髪男の名前は『アルバート』というらしいな。
そして、我の隣の女の名前が「クルサ」か………。
アルバートは我に視線を向けてくる。
『あなたは~初めてお会いしますね。お名前をお聞きしても?』
「待って、喋っちゃ」
クルサが止めようとしたが、その時すでに我は名を告げていた。
【*オリオンだ*】
『……そうですか、*あなたの口から名前が聞けてよかったです*』
アルバートは僅かに、だが確かに、不気味な笑みを浮かべた。
『それでは、クルサさん。いつでもお待ちしておりますよ』
そう言い残し、彼は軽やかな足取りで廊下の奥へと消えていく。
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次回:黒髪の(クルサ)




