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苦労少女の英雄伝  作者: 疾 弥生
学院~下級生編~

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バルデミアンと調べ物




学院に戻ったリディオノーレはバルデミアンと共に寮監に帰ってきた旨を報告しに行く。


「本当に丸々ひと月帰ってましたね」

アリウォーナは呆れていた。


「一応1ヶ月って言ってましたし、問題ないですよね?」

リディオノーレは言う。


「そうですが……」

アリウォーナはため息をついて、話題を変えた。


「スティルナーデ様に何をなさったのですか?」

「何をって、何のことですか?」

「あそこまでお馬鹿……ごほん、いえ、勉強に興味のない娘があの短期間で補講に合格する筈がありませんから」

お馬鹿、という単語が聞こえ、リディオノーレは笑ってしまう。


「ちょこっと教えただけですよ。アングロード様も困ってらっしゃいましたし」

「実技は何となくで出来る娘なのですが、筆記はからきしだったのです。よくあそこまで覚えさせましたね」

アリウォーナは感心していた。


「重要なことだけ教えただけですよ。ヤマを張った感じですね」

「それが全部当たるとは、本当にあなたは規格外ですね」

アリウォーナは感心半分、呆れ半分といったところだった。


「普通ですよ、普通」

リディオノーレは笑って答えた。


「学院に帰ってきて、これから何をする予定ですか」

アリウォーナは尋ねる。

「そうですね。実験と研究と調べ物があるので、それを」


「具体的に仰って下さい」

アリウォーナは怖い顔をする。

「寮の部屋では調合などは禁止と致します」

「ええっ!!」

リディオノーレは大声を上げる。


「仕方ないではありませんか。また倒れられたら困りますからね。調合や実験をする際は、私の実験室かバイルミングの部屋でおこなうように」

「………」

リディオノーレは唇が尖る。


「やること自体は禁止していないのですから、拗ねないで下さいね」

アリウォーナがまたため息をつく。


「………分かりました」

リディオノーレは渋々頷いた。


「で、そちらの方は?」

アリウォーナがバルデミアンをちらりと見て、リディオノーレに尋ねた。


「フェルバール様の代わりの側近のバルデミアン様です」

リディオノーレは紹介する。

「承知しました。あなたは本当に女性の側近がいないのですね」

アリウォーナは言う。


「そりゃだって、グレイザック様の周りには女性がいませんもの」

リディオノーレは答える。

「貴族としてあるまじきことなんですが、まあ不自由してなさそうなので良いですけどね」


「服も自分で着た方が早いですし、湯浴みも恥ずかしいじゃないですか。1人でいいですよ」

「………その気持ちは分からなくもないので、敢えて答えないでおきます」

アリウォーナは苦い顔で答えた。


「では、私は早速図書室に向かいます。夕食後、先生の実験室に伺いますので居てくださいね」

「……早速実験するのですか」

「ええ。あ、先生が何か実験してる事があればそちらを先に手伝いますけれど?」

リディオノーレは提案する。


その言葉にアリウォーナは目を輝かせた。

「では、是非!」

アリウォーナは嬉しそうに返事する。

「あなたの回復薬の改良実験をしているのですよ」

リディオノーレはその言葉に目を瞬いた。


「それは気になります!手伝います!」

リディオノーレも嬉しそうにそう返事した。




夕食までは図書室でひたすら、魔獣の起源を調べるリディオノーレ。

「これを調べて何になるんですか」

バルデミアンが横から覗きながらそう尋ねた。

「………??」

リディオノーレは思わず首を傾げる。


「何になるんでしょう?」

彼女は首を傾げながらそう聞き返した。

バルデミアンは思わず目を瞬く。


「どうして、これを調べているのですか?」

バルデミアンは尋ねた。

「えーと……」

リディオノーレは答えあぐねる。


ドロゴルミットでのことを詳細に言ってもいいものか迷った挙句、リディオノーレは言うことにした。


その話を聞き、バルデミアンは驚きつつも疑うことなく聞いてくれた。


「成程。魔獣化は人間のせいだと?その理由は起源を調べれば分かると?」

バルデミアンは険しい顔で反芻する。


「あの鯨さんはそう言ってました」

「……私も気になってきました。一緒に調べましょうか」

バルデミアンも本棚に向かう。


「バルデミアン様はフェルバール様とそういう所が違いますよね」

リディオノーレは本棚に本をしまいながらそう口を開いた。

そして、新しい本を手に取る。


「そうですか?でも気になりますよね?」

バルデミアンは答える。

「同感です。気になったことはとことん調べないと気が済まないです」

リディオノーレはそう言ってまた本をめくる。


「でも今のところ、魔獣の書籍も歴史の書籍にも載っていませんよ。一体どこでしょうか」

バルデミアンは腕組みをして考える。

この沢山の本の中から、当たりをつけて探しているのにこれ以上何処を探せばいいのだろうか。


「………分かりません」

リディオノーレは本棚を見上げる。

学院の図書室は半端ない数の量の本を貯蓄している。

見つけ出すのは至難の業だ。


「伝記や童話、昔話などの小説を探してみろ」


「え?」

背後から声をかけられ、リディオノーレは思わず振り返った。


「あ、バイルミング先生」

リディオノーレは目を瞬きながら、図書室に入ってきた人物を見て声を上げた。




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