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苦労少女の英雄伝  作者: 疾 弥生
学院~下級生編~

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帰還と共に訓練の成果




あと数日しかないアラウィリアにいる間、リディオノーレは淑女教育と接近戦の訓練をひたすらおこない、夜は疲れ果てて寝るという生活を続けた。

数日間だったが、グレイザックの元に帰らず1人で寝たリディオノーレだ。


淑女教育では話し方が板についてきたので、それに関してはとても褒められた。

どうしても慣れないのが、衣装着脱時の補助と湯浴みの補助である。


どちらも自分で出来るし、それに恥ずかしい。


「これは慣れるしかないわね。視察とかでこちらに来た際はアンをつけるようにするわ」

グレティアーナは言う。

「………分かりました」

リディオノーレは嫌そうな顔で返事した。


「短い間でしたが、お世話になりました」

彼女はグレティアーナ達に頭を下げた。

皆が見送りに庭に来ている。


「リディ、あまり無茶しないように。あと、情報が来たら報告するように」

アブストールが言う。

「承知してます。情報の精査はアブストール様にお任せします。また手紙送りますね」

リディオノーレは答えた。


「この短期間にここまで動けるようになったのは感心すべきことですので、出来ればこのまま訓練を続けて下さい」

レンが言う。


「はい。やっておきます。今度来た時は、絶対に勝つんで!!」

リディオノーレはそう言って右拳を出した。


「待っています」

レンはにやりと笑う。

「私も楽しみにしています」

アンも彼の隣で言う。


「ありがとうございました」

リディオノーレは2人に頭を下げた。


「では、また………視察の時ですかね?また来ます」

リディオノーレはそう笑顔で告げて、アラウィリアを発った。




昼の鐘が鳴る頃、アインズビルに到着したリディオノーレ達。

グレイザック達が出迎えてくれているのを天馬車の窓から覗くリディオノーレ。

彼女は思い切り手を振ってグレイザックの名前を呼ぶ。


そう、呼ぶのはグレイザックの名前だけ。

跳躍しても問題なさそうな距離まで降りてくると、リディオノーレは馬車の扉を開けた。


「っ!!!」

グレイザックは慌てて両手を広げる。


一緒に出迎えに来ていたサムエルとムナグレークとフェルバールも驚く。


「馬鹿野郎っ!」

グレイザックの叱りの言葉など無視して、リディオノーレはそのまま飛び降りた。


馬車内から手を伸ばすケネスと彼女の服を口で挟もうとしたディールがちらりと見えた。


近い距離と言っても飛び降りるのだから、重力がかかる。

「っ」

グレイザックはそれでも嫌な顔せず、リディオノーレを受け止めた。


「ただいま帰りましたっ!」

リディオノーレはグレイザックの首に縋りついた。

グレイザックは一度ぎゅっと抱き締めると、彼女をゆっくりと下ろした。


「1人で寝れたじゃないか」

グレイザックがにやりと笑いながら言った。

「グレイザック様は寂しかったんじゃないですか」

リディオノーレもにやりと笑いながら言う。


「生意気な」

グレイザックは彼女の額を弾くと、荷物が届いているぞと教えてくれた。


荷物を持っていたムナグレークがそれを彼女に渡す。

リディオノーレはそれを受け取り、差出人を確認するとその場で開封した。


「はい。グレイザック様に」

リディオノーレは微笑んで荷物のひとつを渡した。


「私とお揃いです」

商人エリーから購入したハンカチを見せた。

「この前汚しちゃったんで、替えの物もいるかなと思って」

「……礼を言う」

グレイザックは受け取ると、懐にしまった。


「喜んでもらえたようで何よりです」

リディオノーレは嬉しそうな顔をすると、今度はサムエルの方に向き直った。


「サムエル様、相手するには不足かと思いますが接近戦の成果、見てもらってもいいですか」

「いいですよ」

サムエルは少し驚いた顔をしたものの、快く了承してくれた。


グレイザックとムナグレークとフェルバールも手合わせを見たいと言って、結局ここにいる全員が観客になった。


訓練場に行き、2人の接近戦の手合わせがすぐさま始まる。


リディオノーレは右拳を繰り出すが、顔面には届かないのでサムエルのお腹を目掛ける。

サムエルは難なく彼女の腕を左腕を曲げて防ぎ、軌道をずらすと彼も右拳を繰り出す。


2人の身長差的にもろにリディオノーレの顔面に入る位置に拳が来る。

それを頭を下げて体ごと沈めて避けると、サムエルの懐に一歩踏み込み、顎目掛けて下から拳を繰り出す。


サムエルは少し驚いた顔をして、後ろに跳んだ。

拳が顎に当たると脳が揺さぶられてしまうので、絶対に避けないといけない。


リディオノーレは後ろに退いたサムエルが着地する瞬間を狙って、蹴りを繰り出す。

鳩尾に向かってまっすぐ力強く。

だが、サムエルは両腕を交差させるだけで彼女の蹴りを受け止めた。


「これに魔力が纏ってあったらやられてましたね」

サムエルはそう呟き、蹴ってきた彼女の右足首を掴んだ。

捻り上げられると思ったリディオノーレは、左足で思いきり地面を蹴り上に跳んだ。


そして、そのまま自由な左足でサムエルの右側頭部を狙う。


「ちっ!!」

サムエルは掴んでいた右足を離し、空中の彼女の蹴りを避ける。

リディオノーレは空振りしたため、着地に少し失敗し、サムエルに背中を向けてしまった。


背中を向けたら首の後ろを基本は狙う、と教えられたのでリディオノーレは足払いを繰り出しながら、体を反転させた。


「!!」

サムエルは足払いを避けるため、また彼女から距離を取った。


「やりますね」

サムエルは褒める。

リディオノーレは反転しながら、立ち上がった。


「怪我をする前にここで終わりにしましょうか」

サムエルは微笑んで、終わりを告げた。


「やるじゃないか」

グレイザックはそう口にしながらリディオノーレに近付いた。


「本当に。この短期間でここまで出来るようになるなんて」

フェルバールがすごい感心している。

「下手し、私より強いのでは?」

フェルバールは重ねて言う。


「接近戦では恐らくそうだろうな」

ムナグレークがフェルバールの問いに答える。そして。

「アンとレンのおかげで急激に強くなってますね。魔力を纏えば学院では敵無しかもしれませんね」

ムナグレークは師弟に向かって言った。


「少しでも自分を守る術が増えるのはいいことだ。このまま励め」

グレイザックは彼女の頭に手を置いてそう言った。






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