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ロッテ

「いやあ、娘が世話になったね」


おおがらのおばさんに強く手を握られロイは苦笑を浮かべていた。ロイが助けた売り子の少女、アイの母親であるロッテだった。そばかすの浮かぶ頬を染める細身のアイがこのロッテから生まれてきたとは。遺伝子とは不思議なものだ。


ロイはお礼をしたいというアイに連れられて彼女の家に来ていた。目の前には食べ切れないほどの料理。随分なもてなしだった。


「たまたま近くにいたもので」


食い逃げを倒したのは謎のフードの人物であり、ロイは特に何もしていない。ところでロッテの店は鍛冶屋だった。女性の鍛冶屋というのは珍しいが、彼女の体格なら問題ないだろう。


また、食卓に並ぶ野菜の殆どは庭でロッテが育てたものだった。鍛冶屋に農家まで兼業するとはなんとパワフルな女性なのだろう。もしかするとこの肉も彼女が狩りをしたのかもしれない。


「たいした魔術師らしいね!」


「いえ、僕は剣士です」


するとアイは大げさに驚いた声を上げた。


「剣士さんがあんな魔法使えるんですか?」


「最近の若いもんはすごいねえ。ところでさっきから思ってたんだが、あんたの装備はずいぶんとみっともないね。よかったらうちの使わないかい?」


「え、ほんとですか?めっちゃ助かります!」


「そのかわり、うちの広告塔になってもらうからね。これから期待してるよ!」


鍛冶屋は冒険者のスポンサーでもある。これまでロイはそのあたりのことをすべて外面のいいジークに任せていたが、これからはそういうことまで自分でしなければならない。冒険者といっても、思ったより自由ではないようだ。


大柄なロッテの圧力におされ、ロイは目の前の食べ物を意地で胃に詰め込んでいくのだった。



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