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初戦

クレストはジークと同じような大剣を肩に乗せ不敵に笑った。


「よう、昨日は俺の弟子をまんまとはめてくれたな」


ロイは相手の大きな剣をどう受けるか考えながら首をかしげた。


「覚えてねえか。あんたがおとりにしたやつだよ。袋叩きにされちまって」


「ああ、それは、ごめんなさい」


「あれは笑ったよ。ま、でも約束だからな。かたきとらせてもらうぜ」


クレストが下段に大剣を構える。さすがの威圧感だ。その時、ロイは視界の端にフードの女を捉えた。


「よそ見とは余裕だな!」


クレストが大剣を抱えているとは思えない素早さでロイへと迫る。どうやらロイの武器をはじくことを狙っているようだった。


反応の遅れたロイの剣が下から弾かれる。振り上げた大剣の反動を利用し飛び上がったクレストの蹴りがロイのあいた脇腹を狙う。


「ロイさん!」


アイの声が響く。ロイは大きく飛ばされ土ぼこりを巻き上げる。しかしすぐに立ち上がり剣を構えた。


「へっ」とクレストが嬉しそうに大剣を構えなおす。相手にダメージがほとんどなかったことに気が付いているようだった。回避が間に合わないと判断したロイはとっさに蹴りと同じ方向へ自分から跳ぶことで衝撃をいなしたのだ。


ロイはゆるやかに体を揺らしクレストとの距離を詰めていく。それは魔物を惑わすために身につけた歩法。緩急をつけることで残像を見せ、距離感や速度を錯覚させる。そして一瞬の加速でロイは相手の死角に飛び込み剣を薙いだ。


金属がぶつかり合う激しい音が響く。クレストは顔を向けることもせずロイの斬撃を受けた。ロイはうれしくなった。この世界には強い人間がまだまだ山ほどいる。自分ももっと強くなれる。


クレストの反撃を後ろに大きく跳ぶことでかわし距離をとったロイは、気を集中させヒューイのときに見せた飛ぶ斬撃を横なぎに一線。クレストはにっと笑い斬り落としで衝撃波を分断する。突風を受けた左右の観客から悲鳴があがる。


斬撃を防いだクレストの目の前にはロイの剣が迫っていた。相手が対応することを見越し、ロイは次の剣をふりあげていた。


入った。ロイはそう思った。しかし目の前でクレストの体がにじむ。残像だ!ロイが振り返るよりもはやくクレストの大剣が横なぎにロイの体を吹き飛ばした。外皮が大きく削られる。

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