地獄の新学期
言わず知れた日本一の頭脳を持つ高校。各スポーツ業界に有名選手を輩出する名門高校というわけではない。普通に中学を過ごして学力的判断から入った高校が今俺がいるにゃんにゃん高校だ。
ふふっ、おかしいよな?
笑いたきゃ笑えばいいさ。
俺が一番笑いたいさ!
くくくっ、はっはっはっはっはっはっはっはっ
はぁ…
なんだよにゃんにゃん高校って…
誰ですか決めたの。えっ?
神様?んなわけはないあの馬鹿げた理事長だ。
正式な名前は私立にゃんにゃん高等学校。
偏差値は57。
いいところは学食がうまいところだ。
おっと俺の説明がまだだったな。
その汚え耳をよくかっぽじって聞くがいい!
俺の名は緑川 竜之介。
あの有名企業ワンワンコーポレーションの長男であり容姿端麗、頭脳明晰、とは言わんが人並み以上はこなして見せる。苦手なものはスポーツ全般。好きなものはクレープ。嫌いなものは女。以上だ!
というか何故今日の俺は説明口調なんだ。
ふっ、、まあいい。今日から2学期が始まるというのだ。この2学期からはあの雌豚どもをギャフンと言わせてやる。ふふふっ、想像しただけで笑みが溢れるなあ?!
ふっははははははははははははは。
りゅうちゃんうるさいよー。
ひゃっ、ごめんなさい姉ちゃん。
あっ?「お」姉ちゃんでしょう?
このクソ怖えババアは俺の姉の真里だ。
こいつは極度のブラコンで尚且つヤンデレという救いようのない人間だ。
ちなみに姉はあと2人いる。
俺はこいつらに昔から女の子に優しくしろと言われ何かとあればお仕置きという名目でとんでもないことをやらされてきた。ああっ、神よ。なんて俺は哀れなのでしょうか。どうかお救いください。おお、GODよ。
はっ、また意識が向こう側に行っていた。
ご、ごめんね?お、お、お姉ちゃん。(クソッ、いつの日か一矢報いてやる)
うんうん、それでいいんだよりゅうちゃん。今日も可愛いねー。
そう言って俺の頭を撫でてから家を出て行った。
ホッと肩を撫で下ろした。
あいつが居ないと家が平和なのだが俺もそろそろ家を出ないといけないな。
うん。今日の俺もかっこいいな。鏡の向こうの俺に向かってそう言ってから颯爽と玄関を開けて学校に向かった。
(コワイヨコワイヨコワイヨコワイヨ…)
はっ、また弱い気になってるのか!?
クソッ、また生まれたての小鹿のような膝になっているだと…バンビちゃんもびっくりだぞこの震え。
逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。逃げちゃ…
ガラガラと音を立てて教室のドアが開いた。
『りゅうちゃんおはよ〜。』
あはは、ああそうだ。言っていなかったがこのにゃんにゃん高校には男子は俺を含め10人しかいない。
ようこそ地獄の日々。
竜之介は涙目になりながら女の子一人ひとりに丁寧に挨拶をするのだった。