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ミスの修正をしました。内容に変化はありません。
後書きに変更点の一部、書いています。
座って商品を鑑定しながら暇を潰しているとジュンが帰ってきた。
「お待たせしましたっすよ。これが序盤に必要な物達っすよ」
これが最低限必要な物か。
「まず、簡易インベントリじゃ容量が少ないっす。見た感じ動きやすさに重きをおいているみたいなので小さめのバックパックっす」
確かに30㎤では少ないだろうな。
稼ぐには装備を入れた上で、持てる量に余裕がいるだろう。
「次に、水筒っす。この世界はゲームだけどすごくリアルっす。喉の乾きや腹の減り、そして疲れは命取りっす。水は凄く大事っすよ。水は教会の横に井戸があるから汲んでいくと良いっすよ」
確かに、迷宮探索は肉体労働だ。人間は水がないと3日で死ぬって言われる程に水不足に弱い。疲労を回復する手段として必要だろう。
「次はこれ、これは使わないこと前提で頑張って欲しいっす。これは緊急結晶っす。ヤバい時にこれを持って助けてと祈ると教会にデスペナルティ無しで転移できるッす。絶対1個は常に持っておきたい物っすね」
某不思議のダンジョンである、テレポのカードみたいな物か。
これがあればピンチな時に逃げ帰って来れるという事か。
でも、使わない前提で頑張ってと、ここまで念を押されるってことは、恐らく高い物なんだろう。ここぞという時に使って欲しいから持たせてくれるんだろうな。
「最後にこのメモっすよ。これには試練の迷宮で参考になる事やお金になる物をぱぱっと書いておいたっす。この店に持ってきてくれたら書いてある金額で買い取るっすよ。でも書ききれないほどにこのゲームは広いっすっから、これは価値あると思ったら持って帰ってみてくださいっす。鑑定は任せてくださいっす。中位鑑定もってるっすよ」
ここまでしてくれるとは、ジュンさん凄い良い人かもな。
あと中位鑑定か、俺も欲しいな。
「中位鑑定についてはまた今度教えるっすよ。とりあえずこれ全部まとめて300Gっす」
ジュンさんはカードを出してこちらに向ける。
「あ、お金の払い方は俺っちが300Gで提示してるので翳してもらった後、確認してYesを選んでくれたら良いっすよ。プレイヤー同士だとこんな感じっすね」
俺はカードをジュンのカードに翳す。
300G支払いますか?と出てきたのでYesを選択。
取引完了という文字がでてきた。
「ついでにフレンドなるっすよ!」
「フレンドになれば会いやすくなるんでしたっけ?」
「超高確率で会えるっすよ。フレンド設定で変更も可能っす」
ジュンはそのままフレンド申請と唱える。
俺は承認と唱える。
カードとカードの間に光の線が現れた。
そして、フレンド申請完了と文字が浮かんできた。
「これでフレンドになれたっすよ。というか知ってたんすね、フレンド機能の事」
「あぁ、チュートリアルの時に神官さんから教えてもらいました」
「そうだったんすね。神官っちは何でも知ってるっすよね」
あの人やっぱりチュートリアルやるだけの事があるくらいには物知りなのね。
「これは教えて貰ったっすか? 連絡機能」
「連絡機能?」
「そう、このカード便利なんっすよ! 裏面でフレンドの名前をタッチして通話をタッチするとこのカード、電話になるっす。他にもメールもできるっす」
凄いな、これならいつでも連絡を取ることができる。
「迷宮の中で困ったことがあったら気軽に連絡するして欲しいっす。忙しい時は難しいっすけど」
「いや、初心者の俺にここまでしてくれるなんて......感謝するのはこっちの方です。ありがとうございますジュンさん」
「気にしなくて良いっすよ。楽しいゲーム友達ができて嬉しいっすから。後、もっと砕けて話して欲しいっす。もう友達っす」
ジュンは笑顔を向けてくる。
「じゃあ、よろしくジュン。肩並べられるように頑張るよ」
「よろしくっす! でも、無理したらダメっすよ」
「「ハハハ!」」
何とか成果を出して、恩を返さないとな。
俺はジュンさんにお礼をいって店を出た。
カードを見るともう18時が来ていた。
そろそろどこかでご飯を食べよう。
とりあえず門の目の前にあった酒場に向かおう。
酒場に着くと外からでもわかるくらい賑わっていた。
すげぇ、これが酒場か。
いかにも冒険者って人達がどんちゃん騒ぎしているのが窓越しでも分かる。
それに楽しそうな声や音楽が聞こえてくる。
入ってみたいけど場違いだったりしないだろうか、お金は足りるだろうか。
頭に浮かぶのは不安ばかり、人も多いし座る所も無いかもしれない。
俺は諦めて周りのご飯をが食べれそうな所を探してみる。
「坊主、新入りか。気圧されておるんか?」
少しキョロキョロしていたら和服を着た髭の立派なおっさんが話かけてきた。
「あ、はい。すみません。邪魔でしたよね」
俺は気圧されて離れようとする。
するとおっさんに肩を掴まれる。
ヤバい、怒らせたのか? どうしよう。
「そうビビらなくて大丈夫じゃ。儂はお前さんと飲もうと思ってな。
最近きたばかりじゃろう。なに、悪い様にはせん。奢ってやるから着いてくるんじゃ。」
おっさんは「ほれ、こっちだ」って言いながら手を振る。
俺は黙っておっさんについて行った。
酒場の中は外から見た通り、沢山の人が騒いでいた。
でも、それよりも今は音が凄いのだ。
中に入った瞬間、祭を思い出す程に四方八方から笑い声や音楽が聞こえる。
「いらっしゃいにゃー。あ、ゲンさんにゃ。今日は......また新人を誘って来たんにゃね」
「これが儂の歓迎の仕方なんじゃ。いつもの席は空いておるか?」
「空いてるにゃー。どうぞにゃー!」
おっさん、もといゲンさんは歩いていつもの席に向かうようだ。
というか、猫! 猫耳!!
このウェイトレスさん猫耳生えてるよ! 腰を見たらしっぽも付いてる。
凄いな、獣人とかも居るんだ。ここに来るまで周りの人見ていなかったから気が付かなかった。凄い可愛いんだけど。
俺が見蕩れていると猫耳さんはこちらへ笑顔を向けてきた。
「猫人は初めて見るにゃ? この世界には色んな種族がいるにゃ。私はキャストだから無理だけど、プレイヤーの皆さんは頑張ると、いろんな種族になれるにゃよ」
可愛い女の子に笑いかけられた事が無かったから凄くビビった。
あと、他の種族にもなれるのか。
いろんな種族ね、これも覚えて置かないと。
後、キャストってなんだろうか?
「おい坊主。見惚れてないではよ来い」
ゲンさんがカウンターの端に座って俺を呼んでいる。
「ほら呼ばれて居るから早く行くにゃ! 私はタマにゃ。これからも酒場、火龍の盃をよろしくにゃ」
俺はタマさんに礼を言ってゲンさんの元に向かった。
プレイヤーどうし→プレイヤー同士に変更しました