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70話 リックに舞踏会の招待状が届く 冒険者養成所 62日目

 リックとストアは授業が終わると冒険者養成所の館長から呼び出しがあり、二人で館長室まで行くことになった。



「リック 何かしたの?」


「いや ストアのスリの話じゃないか?」


「それなら 俺 一人だけ呼ばれるんじゃないのかな?」


「まさかブラックゴブリンの件なのか?」


「まさかね」



 そんな事を言いながら館長室の前まで行く二人、誰もいないのでノックするリック。



「コンコン」


「誰だ?」


「呼ばれた リックとストアです」


「入り給え」



 ドアを開け室内に入るリック達



「失礼します」


「うむ 早速だが君達に陛下から舞踏会の招待状が届いている」


「えっ」と思わず口からこぼれ出る二人。


「驚くのも無理はない 私も驚いている」


「理由はわかりますか?」とリック


「私は聞いていないよ まぁ君達は例の魔物の件で街中の噂になっているし、しかもハンデル家の者が討伐したというのは関心を持たれるのも無理もないかもしれぬ」


「たまたま狩りに行った時に出会ってしまっただけなのですが」


「君達にとってはそうだろうがこれも家名を背負ってる物の定めと思っていた方がいいだろう」


「私もですか?」とストア


「うむ 君も家名があるから呼ばれたと思っていた方がいい」


「はぁ」


「日程は今週末だ できれば同伴できる女性もいたほうがいい」


「わかりました」


「これが招待状だよ」と招待状を前に出し受け取るリック。



 招待状には二人の名前が記されていた。



「舞踏会で時間が遅くなっても門番に連絡しておくのでその点は安心したまえ」


「はい」


「では行ってよろしい」


「失礼します」



 リックとストアは礼をして部屋を出た。



「家名ってそんなに重要なの?」とストア


「ああ 基本的にこの国の貴族の数が極端に少ないんだよ」


「貴族が少ないのが何か関係があるの?」


「貴族が少ないということは家名が少ないということなんだよ」


「少ないから貴重だから王様に会わないといけないんだ」


「というかストアは家の名前をいつ名乗ったんだ」


「この国と共に生まれたって言ってた」


「建国に貢献したから名をもらったんじゃないか?」


「多分 そうだと思う リックのところは?」


「曽祖父の代からだから80年ぐらいだ」


「どんな貢献をしたの?」


「海賊退治をしてメリーディエース諸島の獲得に貢献したんだよ」


「凄いね リックのひいじいちゃん」


「本当に何も知らないんだなストアは 超有名な話なんだけどな」


「いつもチンプンカンプンな薬草名の効能について話してるのを聞いてたんだよ」


「あっはっは 薬師の家だものな」


「笑うのはいいからそれで王様に会う話をしてよ」


「結局 呼びやすいということさ」


「本当? 愛の女神のお導きじゃないの?」


「あっはっは そうかもしれない」



 そして沈黙する二人、リックは手を組んで考え込んでいる。

 ストアもこれからどうなるのか考えていた。



「アッ 舞踏会って踊るんじゃないの?」


「もちろん踊るさ」


「俺 踊れないし」


「ああ」


「同伴の女性もどうするの?」


「それも問題だな コネを使えばなんとかなるとは思うけどね できればここで知り合った女神達の方がいいかな」


「う~ん それなら俺 魔法の時間でみんなと会うから伝えられるけど」


「踊れる人が最低一人でもいればいいけどね」


「そうなんだね あと着ていく服装はドレスコードのある店で着た服でいいの?」


「いや また別だよ ストアは1着は持っていた方がいいかもしれない 女神達には時間がないし借りてくるしかないな」


「一生、着ないかもしれないのに」


「王様に呼ばれるくらいなんだから、これからも必要になるさ」


「外の世界って色々ありすぎて目が回りそう」


「あっはっは 今日も忙しいぞ これから 僕の店に行ってそれから服を買いに行こう」


「リックの店?」


「ハートビートにも支店があるんだよ」


「そうなんだ」


「じゃ 今から行くよ」



 そういうと一旦部屋に戻り着替えてから冒険者養成所を出た、あまり汗をかかないように軽めに走って街の中心にあるハンデル商会まで行った。


 裏口から入ると店員に応接間に通されてしばらくすると支店長が来た。


 ストアは店の大きさと豪華さにキョロキョロしている。



「お久しぶりです リック様 なにかありましたか?」


「お久しぶりです モリッツ支店長 隣は友人のストア・ドラッグ君」


「初めましてモリッツさん」


「初めましてストア様」


「実は週末に舞踏会に出ることになって、女性用のドレスが必要なんだよ」


「ええっ 舞踏会にお出になられるのですか?」


「わざわざ冒険者養成所に招待状が届いたんだよ」


「そうなのですか? ドレスなのですね」


「今から作っても遅いから借りてきて欲しいんだよ それに女性を採寸できる人も用意しておいてほしい 明日、女性を連れてこれなかったら、また別のプランを用意するからそのつもりでいて欲しい」


「わかりました」


「それと男性用の服を買いたいんだがいい店があったら教えて欲しい」


「わかりました じゃあ これから一緒に行きましょう」


「時間がないので助かるよ」


 

 そういうとモリッツ支店長に従って店を出る二人、10分もしないうちに小さいながらも高級感のある紳士用のテーラーに案内された。



「これはこれはモリッツ支店長 どうぞこちらへ」


「ザームエル店長 今日はゆっくりしていられないからティーはいいよ」


「どういうことで御座いますか?」


「こちらの二人の舞踏会で着る服を週末までに作って欲しいんだよ」


「お若いですな」


「こちらは御曹子と友人のストア・ドラック様 どちらも15歳でいらっしゃる」


「ハンデル商会の御曹子様」


「すまないけど 急いでるんだ 別件でハートビートにいて家にも帰れないから 間に合わせてくれるかな?」とリック


「はい 最優先で作らせて頂きます」


「ありがとう」



 ストアは高級な店へ行けば行くほどリックとハンデル商会の凄さに驚ろいていた。



「ストア 採寸して帰ろう」


「あ あ そうだね」



 ストア達は採寸をしてもらい、店の前でモリッツ支店長に別れの挨拶をして冒険者養成所に帰って行ったのだった。

備考 メリーディエース諸島 マグナフルーメル川の河口の南にある島々、 各地域のちょうど中間地点にある海上交通の要所。

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