4話 ハートビートまでの旅立ち
朝起きて2時間もたたないうちに出発することになったストア、家の前には全員集合して別れの挨拶をすることになった。
おじいちゃんたちは、
「ほっほっほ、ストアよ、いつでも帰って来いよ」
「嫁さん候補もつれて来いよ」
「うんうん」
おばあちゃんたちは、
「からだ、きいつけてな」
「あんりまぁ もう いくのかい」
「ママのこと忘れちゃ嫌よ いつでも帰ってきてね」
「帰れるときは帰ってくるよ おじいちゃんおばあちゃんかあさん、それまで元気でいてね」
「ストアよ行こうか」
と父のチェーンにうながされ、父と共に首都のハートビートへの歩みを始めた。
「どれくらいかかるの?」
「二人の足なら1週間ぐらいかな」
「魔物は出てくるの?」
「この道中はそれほど強い魔物は出てはこないが、用心は必要だぞ」
などと会話しているうちに2時間もたたないうちに、チェーンがストアを静止させた、そしてかがんで足の手入れをしながらチェーンが言う、
「気配を感じる ストアよ わかるか?」
「ん なにか草むらにいる感じがする」
「そうだ しかし 数が少ないから魔物だろう」
「どうして数が少ないと魔物なの?」
「魔物は物を奪うことを目的としてないからだ、狩りは一人でもするだろう」
「なるほど で どうするの?」
「用心しながら進もう、出てくるまで弓矢に注意しろ」
「わかった」
多少、緊張しながら親子は歩き始めた、すると草むらからゴブリンが3匹、出てきてストア達に襲い掛かってきた、しかしゴブリン達の殺気がありすぎ、親子は楽々、攻撃をかわす、そしてチェーンは一人後ろに下がってストアに言った。
「ストア お前にまかせた ゴブリンで多人数の経験を積め」
「3対1は初めてなんだけどなぁ」
嘘である幼い時には囲まれてボコボコにされたことがあるのだがなかったことになっているストア、普段は森で戦うストアは魔物の動きを察知して自分の有利な場所に移動するので囲まれるという戦い方はしていなかったのは本当であった。
ゴブリン達は大人のチェーンが後ろに下がったことに笑みを浮かべ、ストアに同時に襲い掛かってきた。
「ギー」「ギギ」「ギギー」
ストアは無表情になり小剣を引き横に一線する。
ゴブリンの動きが止まったとおもったら、軽く左側ぎみにバックステップして囲いを解いた。
そしてゴブリン達は直線状になった1匹1匹を倒していくストア。
あっという間にゴブリン達は全滅した。
「1対1に持っていく動きはよかったぞ ストア」
「へへへ まぁ ゴブリン相手だし」と少し照れるストア
「これからも少なからず魔物は現れるだろう、できるだけお前が倒すのだぞ」
「一人旅するはずだったから覚悟はしてるよ」
まるで試験の検査官のようにストアを見守るチェーンであった、そうボコボコにされた時もそばでチェーンは見守っていたのだった。
そして、1時間後、ストアは気配を感じて、しゃがみこんだ。
「いるね 父さん」
「さっきと同じようにな」
「うん わかったよ」
そしてまた何気なく歩き始めた親子、そして決まったようにゴブリンが飛び出してきた。
「また ゴブリンかよ 今度は4匹か」
チェーンはいつの間にか後ろに下がって観戦モードだ。
それを見てニヤニヤするゴブリン達。
「変わんねえな」
一斉に襲い掛かるゴブリン達、それと同時に手につかんでいた砂を投げつけるストア。
「ギギギ」「ギーッ」
目に砂が入り困惑するゴブリン達、そして、その間に1匹1匹を倒していくストア、またまた簡単にゴブリン達は全滅した。
ストアはしゃがみこんでる間に砂を集めて握っていたのだった。
ただ砂を投げつけるだけでも時間を稼げる、相手が強ければ逃げればいいし、その隙をついて攻撃してもよい。特に多人数で待ち構えられていると想定される場合はなんらかの工夫は必要になる。
「よくやったストア 討伐部位だけで宿代になりそうだよ」
「だけどゴブリンしか出てこないね」
「弱い魔物ほど森の浅い場所に住んでるからね」
それからも1度襲われたがなんなく片づけて、宿場町に到着した。
ここはストアも来たことがある町だ。
親子は冒険者ギルドに立ち寄り討伐部位を換金して宿屋へ向かった。
「へー この宿屋は前にも来たことあるね」
「我が家の定宿だよ 食事もおいしいし清潔だし 割引もしてくれる」
「お得意様なんだね 食事たのしみだ」
親子は水入らずで食事をして満足した。
そして初日ということではやく就寝したのだった。