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41話 ストア火魔法に挑戦  冒険者養成所 51日目


 昨日のブラックゴブリン達との戦いで疲労困憊の二人は朝の稽古はさすがに休んだ。


 ストアは特に久しぶりにスキルを使い体が重かったのだ。


「リック 体の調子はどう?」


「ちょっとダルいけど問題ないよ それよりストアはどうなんだ?」


「ちょっと重いよ 昨日は気合が入っていて気付かなかったけど」


「今日は無理せず流したほうがいいな」


「そうだね」


 こうして二人は珍しくゆったりした朝を過ごしたのだった。




 そして魔法の授業の時間が来たのだった。


 ストアは今度は火魔法に挑戦しようと決めていたのだった、なぜなら火魔法と水魔法は似ている感じがしてたので覚える時間が少なく済むかもと思ったのと火魔法があれば火打石なしで火をおこせて便利だからだった。



 リックと別れて火魔法の教室に行くとアレクシスの子分のハリーとベルトラムがいた。


 ハリーはキツメの顔をして痩せた長身の男でベルトラムは身長がちょっと小さくて優しい少年という感じの男の子、どちらもストアと同年齢の15歳。


「やぁ ハリー ベルトラム」


「なんだポーション 今度は火魔法か」とハリー


「こっちに来たの」とベルトラム


「覚えられるものは全部覚えておきたいんだよ」


「まぁ そうだな」とハリー


「できるならそうしたいよね」とベルトラム



 そんなことを言っているうちに恒例の初心者への説明が始まった。



「俺たちは外で待ってるよ」とハリー達は出て行った。


「ああ よろしく」



 教官は初めて来た生徒を前へ来るように指示しみんなそれに従って前に行った、もちろんストアも前へ行くのだった。



「よ~し 集まったな 火魔法は熱さの温度と大きさと集中化の3つから成り立っている」


「炎を色は大別して赤・黄色・白の三種類だ これ以上の色もあると言われているが使えるものはいない 赤が一番温度が低い、高いのは白だ」


 そう言うと教官は呪文を唱えた。


「熱き魂よ 集まり 交わり 解き放て レッドファイヤー」


 赤い炎が火炎放射器のように放たれる。


 「これが基本的な火魔法のレッドファイヤーだ もちろん 小さくして火種としても使える」


と指先に小さい炎を出してみせる教官。


 「魔力の量と出し方で変わる 凄いものは10M先まで出せるし広範囲にも出せる また こんなこともできる」


 そういうと前に置いてある薄い金属の板に指先を近づけ呪文を唱える教官。


 「集まりし炎よ 指先に集まり すべてを貫け ファイヤーカッター」


 細い炎が金属の一部分を溶かし切っていく。


 「おお」どよめく生徒達。


 そして金属板を切ってしまった。


 「これが集中化した魔法のファイヤーカッターだ 水魔法のウォ-ターカッターと原理は同じだ ファイヤーカッターは金属を切ったり溶かしたりするのに向いている」


 うなずく生徒達。


「このように便利な魔法だが欠点もある、それは炎の攻撃力の弱さだ」


 不思議がる生徒達。


「熱湯に少しでも触れたらどうなる? ビックリするだろ しかし炎は熱いにもかかわらず熱さを感じないんだ もちろん ずっと浴び続ければ熱い 水は熱湯になり金属は赤くなるからな しかし 敵が攻撃してきたときにずっと浴び続けるだろうか? 答えはノーだ その前に攻撃を受けてしまう」


 うなづく生徒達。


「そこで熱湯のように少しでもふれたり 浴びたりしたら 火傷をしてしまうような熱さが必要になってくる」


 そういうと横にある木の板に手を向けて呪文を唱えた。


 「熱き魂よ 更に集まり 更に交わり 解き放て イエローファイヤー」


 木の板に黄色に炎がふれると少し焦げた。


 「これぐらいの熱い温度なら一瞬で敵を火傷状態にできる またイエローファイヤーカッターなら より厚い金属も切れる しかしより魔力も必要になる」


 うなづく生徒達。


 「やっと 火傷をさせる状態になった訳だが もし火魔法の使い手がいるとわかっていたらどうする? もちろん 炎にふれないような装備をすることになる そうすると より強力な火魔法が必要になってくる」


 そういうと教官は精神を集中させる、周りはシーンとした静寂に包まれた。


 「封じられた魂 行くべき場所を失いし暗き闇 今 すべて集まりて今ここで焼き尽くす そして光に帰れ ホワイトファイヤー」


 真っ白い炎が板にふれると表面だけだが見事に黒に変色した。


 静寂が続く、みんな自分がこの攻撃を受けた時の事を想像して声が出なかった。


 魔法が続いたのは1秒もないほぼ一瞬だ、それでこの威力だ、モロに受けたら一瞬で戦闘どころではない痛みがあるだろう、目に受けたら失明は確実だ。


「このホワイトファイヤー 魔力を圧縮して、そのすべての魔力を一瞬で燃やし尽くす魔法だ 人族を恐れさせた勇者魔王の得意技で広範囲で使え、劣勢を一気に挽回させたと言われている」


 みんな血の気が引いた顔をした。


 「しかしこの技に対抗する手段も人族にはあるから安心しろ」


 ホッとした空気が流れる。


 「君たちには初級で5Mのレッドファイヤー 中級で3Mのイエローファイヤーで板に焦げ目をつける またはファイヤーカッターで一度で金属板を切ってもらう 上級でイエローファイヤーカッターで厚い金属板を1回の呪文で切ってもらう または少しでもホワイトファイヤーが発動すれば合格だ」


 ガヤガヤしだす生徒達。


 「試験を受けたい者、質問がしたい者以外は自由行動だ」


 一斉に動き出す生徒達、ストアも外に出た。


 外に出るとハリーとベルトラムが待っていた。


 「ごめん やっと終わった」


 「俺達のいつもの場所があるんだ」


 そういうと木陰のある場所までいった。


 「みんな いつからココに?」


 「俺達は先週からだ」


 「どこまでできてる?」


 「俺はレッドファイヤー」とハリー

 

 「俺もレッドファイヤーだよ」とベルトラム


 「コツとかある?」


 「う~ん 家業は鉱物の精錬をしていて、なんとなく覚えた」


 「ベルトラムは?」


 「俺もそんなかんじだよ」


 あんまり参考にならない意見を言う二人、ストアは実際に目の前で見せてもらうことにした。


 「ベルトラム 一度 レッドファイヤーを見せてくれないか?」


 「別にいいよ」


  というとベルトラムは呪文を唱える


 「レッドファイヤー」


 2Mぐらいの長さの炎がベルトラムの手の先から噴き出している


 「本当に炎が出てる 5Mぐらいの出せる?」


 ベルトラムが集中すると炎がどんどん長くなっていく


 「凄い 途中からでも延ばせるんだ」


 ベルトラムは魔法を止めた。


 「俺ら精錬の仕事は長時間、火を出し続けるのが大事なんだ 複数で鉱物を溶かしていくんだよ」

 

 「そうなんだ」


 「魔力の補給が追い付かなくなるようなペースでは仕事にならなくなるからね」


 「ありがとう ベルトラム 俺も一度やってみるよ」


 そういうとストアは今の炎をイメージしながら呪文を唱えた。


 「熱き魂よ 集まり 交わり 解き放て レッドファイヤー」


 「ボア ボア ボア」


 いきなり炎を出すストア 大きくなったり小さくなったりを繰り返す、しかし長さは2Mぐらいだ


 「すげえ イキナリかよ」とハリー


 「そそそんな 一度見ただけで出せるなんて」とベルトラム


 ストアは魔法を止めて行った。


 「これやり方が水魔法とそっくりだ」


 「そうなのか」「そうなんだ」とつぶやく、ハリーとベルトラム


 「水魔法はコツをつかむのが大変だったんだよ それを考えたら、今の俺ならそんなに難しくはないよ」


 「ポーションには驚かせられてばかりだぜ」とハリー

 

 「応用できるんだな 俺も水魔法が使えればなぁ」とベルトラム


 ストアは今日は5Mの炎を出せるように練習し始めたがハリーとベルトラムはストアの練習を見ながらしゃべっているだけだった。


 授業が終わり近くになると炎の出し方が安定して5Mの炎を出すことに成功しレッドファイヤーを体得したストアであった。


 ハリーとベルトラムはどんどん成長していくストアを唖然とした顔で見続けた。


 「こんなかんじでいいかな?」とストア

 

 「なんだ ポーション 速すぎだ」とハリー


 「自信がなくなっちゃうよ」とベルトラム


 「トーマスもそんな感じだったけど ウォーターカッターをモノにし始めてるよ」


 「本当か」とハリー


 「トーマスも使えるの?」とベルトラム


 「一緒に練習したら上達したよ クリストファーは俺より先にできたけど」


  感心する二人。


 「明日からファイヤーカッターの練習する?」


 「するする」と同意する二人


  ストアはトーマスに教えた練習法を教えることにした。


 「トーマスにはこの練習法を教えたんだよ」


  というと集中してライトの魔法を唱えたストア、まばゆい光があたりを照らす。


 「なんだこれ」とびっくりする二人


 「ライトの魔法の圧縮バージョンだよ これで魔力の集中を実感して本番では魔力で同じことをするんだよ」


 「これをやればファイヤーカッターができるんだな」とハリー


 「多分できると思うよ 俺もまだ試してないから本当の所はわからないけど」


 「魔法の時間もやる気が出てきた」とベルトラム


 そうしているうちに魔法の時間は終わったのだった。

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