3話 旅の準備
この世界の貨幣価値 銅貨10円 大銅貨100円) 銀貨(1000円) 大銀貨(1万円) 金貨(10万) 大金貨(100万) 白金貨(1千万)大白金貨(1億)
ストアは旅の準備を始めたら父のチェーンに呼ばれた。
「ストア、私も都に用事があるから一緒に行こう」
「着いてくるの」
「都に入るには冒険者カードがないと手続きが複雑になる、それと旅にはモンスターや盗賊も出る ストアはまだ人同士が殺しあう修羅場を経験したことがないだろう」
「修羅場・・・」
普通に旅するだけで殺し合いをするものだろうか?
ストアは山へ薬草取りに行って魔物とはいつも戦っているのだが、さすがに人同士では戦ったことがなかったのであった。
「我が家では旅行用のリュックを使う、そのリュックはその大きさの30倍は入る」
「ええ~っ 30倍も」
「その中にポーションを作る機材を入れてあるから月に一度はポーションを作れ」
「家を出ても作るのかよ」
「そうだ、腕が鈍らないようにな」
「わかったよ」
「ストア このリュックをなくすなよ 大金貨10枚はするからな」
「大金貨10枚 そんなもの怖くて持てないよ」
「我が家の伝統だと思って責任を持て 私が一緒に行くのもわかるだろ」
「このリュック ほとんど機材や薬草じゃないか どこまでもついてくる」
「私はこのリュックのおかげで生活に困ることはなかったぞ 冒険者を始めたらわかるだろうが」
「う~ん 我が家はこんな過保護だったのか?」
「それからリュックとはいってるが中身は魔法の大きいきんちゃく袋だ」
「きんちゃく袋?」
「便利だぞ、緩めれば体積の大きいものも入るからな」
「ヘー」
「それに背負子バージョンもある」
「なんだよそれ」
チェーンはリュックからきんちゃくを取り出し中から薪をのせた背負子を取り出すと薪の部分がパカッと開く。
「おお」
そこにきんちゃくを入れた。
「わざわざ、そんなもの作ってどうするの?」
「場所に合わせるのも大事なんだぞ 盗賊やスリから狙われないようにするためにもな」
「そんなことよく考えるよ」
「ポーションは高いからなぁ 用心するに越したことはないんだぞ」
「我が家らしいや」
こうしてストアはドラック家代々のリュックの使い方を教わり、ポーションを作る義務を負わされてしまった。
そのあと着替えやら食料などはママ達が準備をしてしまい、ストアの気合いはどこかにいってしまった。
「ストアちゃんの世話をしてあげられるのもしばらくできなくなるから、ママに全部、まかせてね」
ばあちゃんたちはストアに大量の飴を持ってきて、
「これ持っていきんなさい」
じいちゃんたちは大量の健康丸を持ってきて、
「食後にかならず飲むんじゃぞ」
旅行には関係のないものばかり詰め込まれ、ストアは途方にくれた。
稼業も朝の稽古も厳しかったのに、ストアはお祝いされたかのように何もしないで旅立つことになるのであった。