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20話 ストア 稽古に合流して洗礼を受ける 冒険者養成所訓練開始 11日目~

 今日も朝からリックと稽古をして汗を流す。


部屋に帰って来た時にリックは武器を見せてきた。



「ストア これが試作品の武器だよ」


「上は竹を割って藁を入れてるのか、しかも根元には鉄の棒で重さの調整もしてるんだね」


「これなら打ち込んでも大丈夫そうだろ」


「これではやく試合をしてみたいな」


「ああ 本当にそうだ」



ストアも昨日に作ったポーションを見せた。


リックの感想は



「ポーションはポーションだな」



という感想だった。




 二人は朝食に出かけ、そして訓練のために広場へ行った。


訓練は負荷が限界に達していた。


最初の頃の陽気さは消え、皆、黙々と訓練をこなすようになってきた。


ストアは歩行訓練のおもりは8個(約40キロ)でゴールまで1時間を過ぎるようになっていた。


槍の訓練も身長の3倍(約4.5M)で止まった。


弓の強度も7段階目で止まっている。


慣れればもっと負荷をかけた訓練ができるようになるかもしれない。


リックも同じくらいの負荷でとどまっているようだ。



「リック おつかれ」


「ストアもな」



二人は黙って部屋に戻り昼食を食べに行った。


食券を買う場所で美人で会話が上手なカトリーヌと親しみやすくかわいいソフィーが二人を待っていた。



「やぁ~君たち 僕を待っててくれてたのかい」


「どーして 私たちを休日に誘ってくれなかったの?」


「カトリーヌ 用事があったんだよ」


「そうなの?」


「お詫びの意味を込めて昼食はおごるよ」


「わぁ うれしい」



カトリーヌとソフィーは大喜びだ、4人は食券を買い、テーブルについた。



「知ってるわよ リック君たち 色んな女の子と食事してるって」とカトリーヌ


「ストア君もうれしそう顔をして」とソフィー


「その通りだよ」



むくれるカトリーヌとソフィー。



「僕は肩書抜きで女の子の友達が欲しかったんだよ」


「どういうことなの?」


「グリーンフラワーでは僕ではなく家名がついて回るんだ」


「それは私たちもそう」


「合った時にすぐ街へ遊びに行けたのも家の縛りから解放されてたからだと思うんだ」


「そういえば そうよね」


「だから僕はこの時を楽しみたいんだ ここには自由な出会いがある」


「リック君達だけズルイ」


「今、僕はストアとは別の男友達と夕食を一緒に食べてるから紹介してあげるよ」


「ええ どうしよう」動揺するカトリーヌ達


「別に悩む必要はないさ 自然に話すタイミングで話せば」



なんともいえない顔をしているカトリーヌとソフィー、ここでストアはまた変なことを言い始め。、



「リックの周りには人がどんどん集まるような気がするんだ」


「どういうこと?」


「男で声を掛けたのは僕だけなのに今 リックの周りには10人以上の男たちがいるんだよ」


「ええ~~~」


「色々あって一緒に稽古するようになったんだ」


「そうなの」


「これからも男女問わずどんどん増えていくんだと思う」


「おい ストア 決めつけるなよ」とリック


「わかったわ でも できるだけ私達を優先してね」


「君たちの席はいつでも開けておくよ」


「もう リック君のバカ」


「ストア君も関係ないみたいな顔しないで」



急に名前を呼ばれアワアワするストア。



「ワッハッハ ウフフ」と結局みんなで笑った。



それからは和やかに休日であったことを話しながら食事した。


昼の授業が終わり、稽古をする時間になり、始めてストアも加わった。



「ポーション お前も参加するのか」とアレクシス


「やっと用事が済んだんだよ」


「お前 強いのか?」


ここでリックが中に入り


「ストアが多分一番強い」


「本当かよ」


「俺は一度も勝ったことがないんだ」


「ええ~~~」一同がストアをみる


みんな手合わせを申し込んできたがストアはどうしたらいいのかわからないでアワアワしてる。



「ストア 交代で相手すればいいだろ」とリック


「じゃ ソッチで順番を決めてくれる?」



ガヤガヤ言いながら一同は集まり順番を決めた。


出てきたのはやっぱりクリストファーだ。



「一番が好きだね」とストア


「最初に一番おいしい肉を食べるのが好きなんだ」



なんでも肉に例えるクリストファー。



「お願いします」と構えるストア


「オウ 行くぜ 先手必勝」とクリストファーの木刀が襲い凄い音が鳴る。


「ブン」



しかしスルリとかわし手首の近くで剣を止めるストア。



「それまで ストアの勝ち」



あっけなく勝負が決まってしまった。



「もう一度だ」とクリストファーが再度攻撃してきた。



すごい剣圧でストアを斬ろうとする、寸止めもあったもんじゃない。

しかしまたかわされて手首の近くで寸止めされた。



「ウォー まだまだ だぁー」



とストアに襲い掛かろうとするのをみんなが羽交い絞めにして交代させられた。


アレクシスは子分達に3人で戦えと指示してストアの前に出した。



「えっ 三人一緒なの?」


「お前なら三人相手でも大丈夫だろ」


「いやいや 寸止め無理」


「木刀を手放せば倒されたことにしよう」


「いやいや 無理」


「大丈夫だポーション ケガしてもポーション代は出してやる」


「無茶苦茶だ」


「お前たちは本気で戦え 責任は俺が持つ」



リックは何も言わず楽しそうに眺めてる



「わかりました」



と皆ストアに対して剣を構えて回りを囲もうとする。


ストアは連携させないように前にいる一人に向かっていく。


プレッシャーを感じて慌てて攻撃する子分のハリー、軌道を読んでスッと横に移動してストアの木刀が相手の手首近くの木刀に打ち込み木刀を手放させる。


後ろから攻撃しようとするがまたもストアはスッと横に移動して全体的には円を描くように動いて敵の横から木刀を打ち込む。


そして残った一人もなすすべもなく打ち込まれ剣を手放してしまった。


始まって10秒も経ってない。



「ポーション お前 後ろの動きも見えてるように見えるぞ」とアレクシス。


「まったく動きに無駄がない」とリック。


「はぁ 初めての多人数だからあせったよ」


「初めてなのかよ それでコレかよ」


「ストア 自分が強いってわかっただろ」


「う~ん いつもと勝手が違いすぎてね」


「どういうことだ リック」とアレクシス


「ストアは家では負けてばかりだったらしいんだ」


「この強さで負けてばかりとはどれだけ強いんだストアの家の奴は」


「人と比べたことも戦ったこともないんだから わかんないよ」



アレクシスとリックはお互いの顔を見て笑う



「ワッハッハ」


「ポーション 面白い 面白いぞ」


と言ってアレクシスはストアの前に立つのであった。




・・・ストア VS アレクシス・・・




アレクシスでさえ対人戦は慣れてはいない、彼の怪力に対抗できるものなど同年代にはいなかったから稽古にならなかったし、リックの様に強い冒険者を雇ってもらえなかった。


主に近場の魔物を相手に戦ってきたにすぎない、しかし魔物は攻撃するか逃げるかの二択しかなく戦えばアレクシスの怪力に対抗できるほどの魔物は出現しなかった。


そんな彼もリックと稽古をして対人の戦い方を学びつつある。



「アレクシス ストアの木刀に当てられるだけでも価値がある」


「そういや~ 誰も当ててないな」


「勝つというより負けないようにして 木刀に当てられれば上出来だ」


「わかったぜ 来い ストア」



ストアはなんともいえない顔をしている。


アレクシスは左の木刀でするどく何度も突いてストアの態勢を崩そうと攻撃してくる、間合いギリギリでかわすストア、しかしうかつに中に入ろうとすると右の木刀が今か今かと待ち受けていた。


しばらく同じ動きを続ける二人、何度目かの突きをすると右に回り込み手首の上の木刀部分を狙おうとするストア、するとアレクシスは後ろ回し蹴りの要領で右の木刀がストアを襲う。



「ビュン」



木刀の風を切る音が唸る、まわりにいる人も思わずのけぞった。


慌ててしゃがみこみ木刀を避けるストア、かわした後は後ろに下がり元の状態に戻った。


この戦いはストアにとって不利なのだ。


かわしてからの攻撃しかできないというより木刀を手放す角度の打ち込みでないと意味がない、すなわちカウンターを使えないからだ。


アレクシスは打ち込もうとする方の手を逃がして後ろから木刀がやってくる、これにはストアもまいった。


次の攻撃はしゃがんでもかわせないだろう、しゃがんでも当たるように振ってくるはずだから。


しかしストアはまた同じように右に回り込もうとした、アレクシスの右の木刀が襲ってくる、いつの間にかにストアはそこにはいなかった。


そして回転が止まった時にストアの木刀がアレクシスの木刀に一撃を与えた。


ストアは攻撃の終わりを予測してフェイントを使い打ち込める場所に移動していたのだ。


ポロリと木刀を落とすアレクシス。



「まだまだ工夫が必要だな」とリック


「ハッハー 面白い 面白いぞ ポーション」



アレクシスは目を血走らせながら笑みを浮かべていた。


負けることは悔しいがそれよりもアレクシスは退屈だった、停滞していたと言ってもいい、力負けしない相手、自分の得意の剣で負かす相手、女の子との会話、アレクシスはうれしいのだ、楽しいのだ。


この自分を退屈から解放してくれる人にやっと巡り合えたのだから。


みんなはストアの強さにビックリしていたのだがリックだけは違うことを考えていたようだ。


リックは子分たちを呼びヒソヒソ話をする、みんな微妙な顔をしながらストアを見る。



「ストア 今度は9人相手だ 頑張ってくれ」


「ええ~~ 9人って魔物でも相手したことがないのに」



子分達は3人一組になり同じ構えをして包囲を始めた。


子分たちは手を出さずストアを包囲しようとしている。


動けないストア、なにかを待っているようにも見える。



「どうしたストア 攻めないのか?」



仲間達はじりじりストアを囲んでいく、



「ダメだ 降参」といって木刀から手を放す。



ポカんとする子分達、しかし、しばらくすると、



「勝った 勝った」



子分達は大喜びだ。


アレクシスは呆然としている。



「リック どういうことだ?」


「見ての通り 攻撃する隙をみつけられなかっただけだよ」


「俺なら勝てるぞ リック」


「ああ こういう時はパワータイプでないと現状を打開できないんだ 奥の手でもあれば別だけどね」


「そうか 強いと言っても種類があるのか」


「そういうことさ」



この後にリックは質問攻めに合った、どういう理由で勝てたのか、みんな知りたがった。



「一人で戦うと隙ができやすいんだ、3人で戦った時でも実はストアは1対1に持ち込んで倒したんだよ 連携すると1対1に持ち込めないからストアは動く瞬間を待っていたけど 誰も手を出さず囲まれてしまったから降参したんだよ」


「なるほど」 みんなうなづく。


「槍の練習時にみんな掛け声を合わせて動くのはそういう理由からだよ いくら達人でも中に入り込めないからね」



やっぱり、みんな、うなづく。



「僕と戦うときは工夫して連携して戦ってほしい、アレクシスとストアとクリストファーの時にもね」



やる気を出す子分達。



「本格的な稽古は注文した武器が届いてからになるけどね」




それからは恒例の勝ち抜き戦をしてアレクシスが選ばれた。


ストアは参加してみて、なにか凄いことになってきてるなと思ったのだった。

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