13話 冒険者養成所訓練開始 2日目 ハンブイヒの太陽
今朝も早起きのストア、今日も木刀を持って部屋を出る。
木刀を振っているが昨日の色々なことが思い出して集中できない、
今日ぐらいは愛の女神も休日があってもいいんじゃないか?と思うストアであった。
(今日はイマイチだったな)
すっきりしない顔で部屋に帰るとリックが起きていた。
「おはよう リック」
「おはよう ストア すっきりしない顔してるな」
「不慣れなことをして調子が出ないだけだよ」
「オイ そんなことは戦場では通用しないぞ」
「また するのぉ」
「愛の戦士に休息はいらない」
などと言いつつ食堂へ、しかし朝は混雑してリックでさえ確保が難しく空いてる場所へおとなしく座った。
「おはよう」とカトリーヌとソフィーに挨拶されて、リックは少し機嫌が直る。
「おはよう」とストア達も返す、ただそれだけで朝の食堂タイムは終わってしまった。
「空振りとは残念」
「そんなときもあるよ」とストアは笑顔で言った。
今日も朝の訓練内容は同じだったが木札をもらった意味がわかった。
朝の行軍は木札をもらった人はリュックにおもりを背負って歩かないといけなくなった。
楽勝だと思っていた訓練はその人の相応になるまで負荷をかけるシステムのようだった。
「ふ~ん」「なるほど」とお互い独り言をつぶやいた。
次の時間の槍の稽古では槍の長さが1.5倍になっていた。
「全然違う」「竹が重くなっている」とお互い独り言をつぶやいた。
次の時間の弓の稽古では弓矢のバネが強化された弓を渡された、飛距離の目標もすこし遠くなった。
「そうきたか」「やっぱり」とお互い独り言をつぶやいた。
最後に隊列運動は同じだった、しかし昨日のゆるゆると違って指導の声が聞こえるようになった、慣れてくると罵声が飛んできそうな予感がした。
でも結局、新しい木札を渡された二人、明日からの訓練が、微妙に不安を覚えるのだった。
「楽すぎたもんね」
「これも愛の試練だ 行くぞ戦場へ」
「リックは変わらないね・・・」
こうして部屋に帰り着替えて戦場へ間違った食堂へ。
食堂を物色するリックの顔が輝いた。
「いくぞ ストア」
すべるように進んでいくリック、そこにいたのは輝く金髪をなびかせた美少女だった。
「ココ 空いてますか?」ココ1番の爽やかな笑顔で言うリック。
「ええ」と笑顔で微笑む金髪美少女。
「僕はリック グリーンフラワーから来たんだ」
「俺はストア ウルルっていう町から来たんだよ」と毎度おなじみのセリフをいう二人。
「私はカミラよ ハンブイヒから来たの」
「鉄の街だね」
「そうよ リック君はグリーンフラワーなの? 羨ましい」
「僕でよければ、街を案内しますよ」
「まぁ うれしい」
とリックとカミラの会話が続いて、入り込む余地がないストアであった。
それにしても笑顔になるたび周りが明るくなるようなオーラにストアは目を丸くした。それにくぎ付けになる豊満な膨らみも魅力的だった。
「ストア君はしゃべらないの?」
「俺は都会育ちじゃないのでそういう会話は苦手なんです、だから気にしないでください」と笑顔で答えた。
そうすると安心して二人の会話を続けるリックとカミラ、しばらくすると仲間がカミラを呼んでカミラは去っていった。
「またね」「声かけてね」ストアだけは笑顔で手を振っただけだった。
しばらく寡黙になる二人。
「ベスト10に入るな」
「あれでベスト10なの」
「僕には愛の女神のお導きがあるからね」
「愛の女神はリックの為に美女を探しまくっているんだね 愛の女神も大変だな」
そんな二人を血走った目で睨んでいた男がいたのだが二人はわからなかった。




