128話 アレクシス派 冒険者養成所81日目
昨日はハートビート一周競争で関節を痛めたアレクシスだったがリリーのおかげで回復して程よい筋肉痛だけが残りそれが心地いい。
魔法の授業のために移動中に坂道で無理をしなければ余裕で勝てたんじゃないかと思ったアレクシスだったが終わったあとから後付しても言い訳にすぎないなと思い返し、その場その時の冷静な判断が必要だと気合を入れた瞬間、階段を降りていた女の子がおしゃべりに夢中になりすぎて階段を踏み外し落ちた所を偶然通りかかったアレクシスは素早く移動して両手で受け止めた。
「あっ」「キャー」
「大丈夫か?」
「あっ はい」
優しく抱えてた女の子を立たせるアレクシス。
「それじゃーな」
「あっ ありがとう アレクシス君」
「えっ どうして俺の名を」
一緒に歩いていた友達が一斉に言った。
「超有名よね 養成所で知らない子はいないよね」
うんうんとうなづく女の子達。
「三人が歩いているところを眺めるのが毎日の楽しみにしてる子もいるよ」
「すごく絵になるんだもん」
「そ そうか」
「私 アレクシス君派だから握手してください」と握手を求める女の子B。
私も私もと周りを囲んでいた女の子が次々にやってきて両手で包み込むように手を握っていく、それを脳内で処理できないアレクシス。
しばらくしてフリーズから再起動して一人の女の子に聞くアレクシス。
「俺を見ても怖くないのか?」
「怖いだなんて キリリとしてカッコイイ キャー 言っちゃった」
それでまた女の子同士で盛り上がる。
知らぬ間にとんでもない事になってるなとアレクシスは思ったが顔には出さず、授業があるからとその場を去っていった。
女の子はアレクシスに手を降ってまた会話で盛り上がるのだった。
そういえば最近やたらと熱い瞳でみつめる女の子を見かけるなと思っていたがどうせリックを見てるんだろうと気にしていなかったが俺も見られていたのかと思うアレクシス。
教室でリックとリタに会い移動中にさっきの事をリックの耳元で話すと笑い出すリック。
「クックック」
「二人で話して 笑って 何を話してたの」
「僕達三人組が人気者になってるって話さ」
「そんなこと たまに握手を求めてくる女子がいるよ」
「本当か」
「本当だよ 気付いてなかったのはアレクシスだけ」
「リタは女にモテるのか?」
「それじゃ男にモテないみたいじゃないか?」
「美人なのは僕が保証するよ」
「リック 良いこと言うじゃないか」
「悪かった 俺も美人と保証するぜ」
「わかってればいいんだよ わかってれば」
「アレクシス そんなに気になるならダコタに調べてもらったらいいよ」
「ダコタ?」
「噂話に詳しい 僕たち流に言えば情報収集に長けている」
「夕食でもおごればいいのか」
「ああ踊りの時に誘えばいいさ」
「ああ わかった」
話が終わると訓練を始める三人だった。
それからダコタを食事に誘い、話を聞くアレクシス。
「ええとね 元々リック君が活躍して注目が集まってたんだけど、その時に一緒にいるメンバーは美男美女揃いで誰という話になってたんだよ」
「そうなのか」
ブロッサムは神妙な顔をしてうなづいている。
「それで女子の間で静かに人気があったんだけど、ゲイル君を倒した男がいる、それもイケメンという話になって無料組の女の子がアレクシス君を見ようと集まって実物を見て人気が爆発したのよ」
「そうだったんだ」
「でもリック君と違って自分から女の子に話しかけないし、アレクシス君はいつも男同士でつるんでるから近づきにくいから実感しにくかったのね」
「そういえば今日の俺は一人の時だった」
「階段から落ちてくる子を助けたんだよね」
「なぜ それを知っている」
「すごい噂になってるよ クールなのに本当は優しいとかみんな言っててますます人気が上がってる」
「ダコタ お前凄いな」
「お前って何よ」
「すまん 口が悪くて」
「女の子との話し方をリック君から習ったほうがいいよ」
「う~ん・・・ とにかく俺は怖がられてないんだな」
「それが聞きたかったことなの」
「ああ 女が俺の前に来るとみんな泣いてたんだよ 何もしてないのに」
「今のアレクシス君なら泣いて喜ぶ子はいても怖がって泣く子はいないんじゃないかな」
「そうか ありがとう 飯をどんどん食ってくれ」
「はぁ そんなに食べれないよ」
そんなことを言ってるとアレクシスに近づいてうなづきながら軽く肩を叩くブロッサム。
横で声を殺して苦笑するハリーがいた。




