117話 ストア ハーデンプロダクションに挑戦 冒険者養成所78日目
時間が余ったのでストアは次の魔法のハーデンプロダクションを教えてもらうことにした。
「どんな感じで魔法を出してるのか教えてほしい」
「基本的に下が穴が空いた木箱で上に丸い穴が開いてる物を使ってする魔法なのよ その内側に添うようにして満たして魔法を使うと、その形の物が出来上がるという魔法なの」
ストアはまとう感覚を知っているのでそれを内側にする感覚でいいのかなと思った。
「魔力が少ないと量が足りなかったり形がすぐくずれたりするの 固める感じくらいのほうがいいと思うよ」
「魔力はどれくらい使うのかしら」
「私が見せたプロダクションの3倍くらいかな」
フムフムとうなづくストア。
「じゃ やってみるね」
しゃがみこんで持ってきた箱に手をあてるオリアンティ、真剣な顔になったあと魔法を唱えた。
「我が魔力に包まれしモノよ 生み出しそして固まれ ハーデン プロダクション」
ボコッと音が鳴ったあと箱を取るとレンガの形になってあらわれた。
ストアはできたレンガを手に取り叩いたり振ったりして確かめたそのあとカミラも手にとって確認した。
「完璧だね 四隅もちゃんと角ばってる」
「ほんと 上手ね」
「ちゃんとできてよかった」
しかし、しゃがんで練習するのは大変だと思いストアは机を借りてくることにした、そして5分もしないうちにすごいスピードで帰ってくる。
「机を運んでいるのに走ってきてる」
「気にしちゃだめよ ストア君達木刀で殴っても平気なぐらい丈夫なんだから」
ピタっと止まり机を置くストアもちろん息も上がっていない。
「ストア君 疲れてない?」
「大丈夫だよ いつもの訓練では100キロを背負って歩いてるから」
「力持ちなんだね」
「アレクシスやクリストファーの方がもっと凄いけどね」
「はぁ」
「それより練習しよう 時間もないからね」
「どういう順番にするのかしら」
「俺とカミラが交代するだけだよね」
「私はストア君が入ってないとダメだと思うのよ」
「カミラのときに一番後ろにつくよ それでいい」
「それでお願いね」
ようやく準備が整いオリアンティに魔法を唱えてもらいストアは後ろについてセットに入る。
オリアンティはストアに包まれている状態を楽しんで動かない。
「オリアンティ もしかして集中できないの」とストア
「あっごめん」
後ろから囁かれているのもうれしくってしょうがないオリアンティは、いつまでもこうしてたいなという邪心で魔法に集中できなかった。
「ちょっと離れようか」
「ううん 大丈夫」
オリアンティは気持ちを切り替えて集中して魔法を唱えた、ストアは集中してすべての感覚を捉えようとしていた。
ボコッと音がなって箱を外すとさっきと同じようなレンガ上の石ができていた。
「何度見ても立派だな」
「ストア君もできるよ」
「今度は俺がやってみるね」
左手は石を握り左手は箱の上に置いた、内側の壁面から魔力を覆う感じにして魔力を満たすイメージでプロダクションの要領で石に魔力をまとわせ覚えさせるイメージをしているとギュと抱きつくオリアンティ、顔も背中に貼り付けてストアを堪能するストアは美女軍団最強の巨乳を押し付けられる、いつもと違う迫力を感じたストアだがイメージのままに魔法を唱えた。
「我が魔力に包まれしモノよ 生み出しそして固まれ ハーデン プロダクション」
やはりボコっと音がなる、ストアが箱を持ち上げるとちゃんとレンガの形になっていた。
「成功かな?」と持ち上げるとボロっと崩れる石レンガ、観察してみると外は硬いが中は軽石のようにモロい状態だった。
ストアを抱きしめていたオリアンティはまだ抱きついていたのを思い出して赤面し素早く離れレンガを覗きに来た。
「ははは これはね土魔法でよくある失敗なの 四隅と均等が難しいの」とごまかしながら真面目に言うオリアンティ。
「一朝一夕ではできないね」
「職人技って感じよね」
ストアは魔力がどうなっているかイメージすることが大事だと思ったそして順番をオリアンティに譲った。
オリアンティ・カミラ・ストアの並びでオリアンティが再び魔法を唱え完璧な石レンガの生成に成功しカミラの順番になった。
カミラは石を手に取り集中する、しばらくすると右手は箱に置いた、それと同時に両手を合わせるストアとオリアンティ、オリアンティの胸があたるとカミラは一瞬集中力を失いそうになったが再び集中する、オリアンティはさっきより抱きしめられ感が増し、もう体中からあらゆる物質が溢れ出て一人妄想モードに突入した。
そしてさすがのカミラは集中力を切らさず魔法を唱えた。
「我が魔力に包まれしモノよ 生み出しそして固まれ ハーデン プロダクション」
いつものようボコっと音がなる、ストアはスッと離れ前へ行く、カミラが箱を持ち上げるとやはりレンガになっている石ができていたがさわって見ると石レンガがもろくも崩れた。
「う~ん 失敗ね」
「俺の失敗と似てるね」
「これって養成所が終わるまでにできるのかしら」
「成功するだけなら魔力をたくさん使えば硬くして成功しそうだけど次のトレースは無理っぽいね」
「まだ始めたばかりだけど筋はいいと思うよ」
「とにかく練習しよう」
結局ストア・オリアンティ・カミラの順番で続けることにした、オリアンティは一人楽しんでいたがストアとカミラは限られた時間の中で凄く集中して練習をしていたが授業中には形にならなかった。
教室に帰る途中にカミラが言った。
「オリアンティって私より胸が大きくない」
「ちょっと大きいだけだよ」
「ストア君はどんな感じだった」とストアに振るカミラ。
ギクっとするストア、答えを間違えれば大変なことになる。
オリアンティは平静を装いながらドキドキしていた。
「からかわないでよ 一緒に練習できなくなるよ」
「うふふ うまい具合にかわされたかしら」
ちょっと期待はずれの答えにもどかしさを感じたオリアンティだったが、正直に答えるのも大人じゃないと考えて笑顔になった。
ストア成分をたっぷり吸収したオリアンティは肌の艶もつやつやピカピカになっていた。
こうして魔法の授業は終わったのだった。




