10話 冒険者養成所へ
成人になって3年以内に必ず来なければならない、国立冒険者養成所、人口把握、戦力の把握、基礎教育による学力の向上など為政者には都合がよいので冒険者ギルドと共同で冒険者養成所を作った。
先代国王のフランク・アンティコルムがこの機関を作ったことによりアンティコルムは生産力と国防力が増し、人族が混乱期を迎えた時も敵国の侵略や内乱を未然に防止することができた。
なぜ都にあるのかといえば魔法の素質を見るために魔素の多いハートビートが最適なので選ばれた。
ストア親子は都のはずれにある冒険者養成所の受付窓口を訪れた。
受付にはストアと似た年齢の男女が凄い数が並んでいる。
服装も小汚い服装やこぎれいな服装、皮鎧を着こんだもの様々だ。
ストア達は列の最後尾に並んだ。
「すごい数だなぁ」
「国中の若者が集まってくるからな」
グループで集まっているもの親と同伴のものに分かれているようだ。
「1人で来てる人はいないね」
「都に入るには冒険者カードが必要だし町単位で来るか親が連れて来ないと魔物が危険だからな」
ストアは親同伴で少し恥ずかしかったが安心した。
そうこうしている内にストアの順番が来た。
キビキビした動きの受付係のお姉さんが呼ぶ。
「つぎの方」
「ハイ」
「住んでる場所と名前を言ってください」
「ウルルに住んでます 名前はストア・ドラッグです」
「身元保証人の方は冒険者カードか身元保証の書類を提示してください」
チェーンは冒険者カードを受付の人に見せた。
受付嬢はうなづくと、ストアに向かって、
「魔法は使えますか?」
「いいえ」
木札に何かを書き込む受付のお姉さん、そして焼き印を木札押すとその木札を渡された。
「明日の朝、広場に来てください入所手続きをしますので、その木札は忘れないように」
「わかりました」
「もし野宿するなら隣接する空き地がありますのでそこへ行ってください」
「はい」
ストアは頭を下げて受付からはなれた。
「今日は受付だけか」
「行こうか ストア」
親子は冒険者養成所を出て最後の食事に向かう。
「お腹がペコペコだ」
「出てから食事をしてなかったからな」
「どんな所に行くの?」
「フリカデレとハートビートソウセージがおいしい店だ」
二人はワインとキンキンに冷えたエールで乾杯して食事をした。
「ひき肉と玉ねぎの取り合わせが絶妙でシンプルにおいしい」
「ソーセージは香辛料が効いていてこのエールに合うんだ」
「おいしい 両方とも食べたことがないや」
「ストアはこの町にいる間、いつでも食べに来られるさ」
「ちょっと高そうだけどね」
「ドレスコードがない所では高い方だけどな」
「ドレスコード?」
「お貴族様の前に出ても恥ずかしくない服のことだよ」
「ふ~ん」
「王都だから色んな店がある、行くときは最初にチェックしておけよ」
「わかったよ それから聞きたいことがあるんだけど」
「なんだ ストア」
「ポーションの代金のことなんだけど 俺がもらっていいの?」
「ワッハッハ そんなこと心配してたのか 全部、自分の物にしても構わないさ」
「薬草集めとかあるし、自分で集められるかわからないし」
「そうだな 次に来る時までには考えておくよ それまで無駄遣いするなよ」
ポーションの代金は自分が持つには大金だと思っていた。
チェーンの話を聞き、お金のことが心配だったストアは一応理解した。
それと共にに自分で集めるためには自分も森の中へ行かなければ行けないのかもしれないとも思っていた。
それからストアは父と共にハートビートの街を散策した。
やっぱり町に詳しい父のチェーンが一緒に来てくれてよかったと思ったようだ。
そして日が暮れたので宿屋へ行き、親子の最後の夜を過ごしたのだった。




