9話 ハートビートまでの旅 7日目 ハートビート到着
今日は稽古もせず食事をすませて、そのまま旅に出る二人、ハートビートで手続きをする為にはやく着いた方がいいからだ。
「稽古なしだとカラダが軽いよ」
「着いてから色々大変だから楽な状態の方がいいな」
「最後まで馬車には乗らなかったね」
「グリーンフラワーからは馬車でもよかったんだがな」
「魔物はいないしね」
「ただしハートビートの付近は時々強い個体が出るときもあるんだよ」
「どんな魔物なの?」
「スライムやゴブリンだよ」
「弱いんじゃないの?」
「魔素が多いから上位個体が増えやすいんだよ」
「魔素が多いと強くなりやすいんだ」
「そう 魔素なんだよ 魔素は地下のエネルギーが噴出している場所に多いんだ、ドラゴンは火山の中に住んでるといわれているくらいだ」
「火山の近くには住めないね」
「その通りだ 火山が噴火したらドラゴンが来ると言われているぐらいだからな」
「逆にいうと火山がなければドラゴンはやって来ないんだね」
「魔素が少ない場所に人と魔族が住んでいる、でも少ない場所でも魔素の多い場所を取り合ってるんだよ」
「少ないのに多い場所って・・・」
「ドラゴンさえ来なければ魔法が使い放題の方がいいだろう」
「そういうものなの」
「魔力さえ補充できれば土魔法でグリーンフラワーのような壁も作れるんだよ」
「え~~~~ あの壁が魔法で作れるの?」
「魔王の城は魔王自身が一人で作ったと言われるくらいだ」
「どえ~~~~ お城まで作る魔王って、人は滅んじゃうよ」
「だから魔素なんだよ 使えても補充できない場所だったら1回で終わりだろ」
「続かないから攻めてこないんだね」
「そういうことだ」
魔素の取り合いで人族と魔族が争ってることを知ったストア、魔力の力の凄さも印象に残ることだった。
「ついに来た ハートビート」
アンティコルム・マグリフィエリ・パトリアーレの王都、ハートビート、温泉が出ることで遷都した新しい都、人口は30万、大陸でも有数の都市でもある。
北には広大な森があり南には大きな湖があり水不足の心配もなく難攻不落でも有名、運河が完成したことにより、利便性が向上し人口は増大傾向にある。
「うわー涼しい」
風が吹くと湖に冷やされた心地いい風が届く、大きな橋を渡ると城門が見える、かなりの人が並んでいる、チェーン達は冒険者カードをみせると通過を許された。
「簡単に入れたね」
「冒険者カードがあるからな まずは薬屋に行こうか」
「うぉー噴水だ 中の石像も凄い」
「おい ストア 行くぞ」
チェーンはストアの手を取り薬屋に急いだ、そして看板にビエラーと書いてある薬屋が目に入ると裏口へ移動した。
「すいません」
「は~い おっ チェーンさん」
「久しぶりです」
「さぁ 中に入って」
「お邪魔します」
「2か月ぶりだね」
「ええ」
「息子さんかい」
「はい 息子のストアです」
ストアも頭を下げて返事をする。
「ストアです よろしくお願いします」
「こちらこそよろしく 私はトッドだ」
「トッドさん よろしくお願いします」
「何本持ってきてくれたので」
「500本です」
「おお 500本 ありがたい」
「実はお話がありまして」
「なんだいチェーンさん」
「この息子のストアがポーションを持ってきたら、買ってもらいたいんです」
「これからは息子さんが来るのかい?」
「いえ 息子がしばらくハートビートに住むことになったので息子が作るポーションを買ってもらえたらなと思いまして」
「へー そうなのかい 腕の方はどーなんだい」
「納めているポーションも息子が作った分も入ってます」
「おやおや そうなのかい」
「腕を鈍らせないようにポーションを作らせる約束をしまして」
「そういうことなら大歓迎だよ」
聞いてないと思うストアであったが約束は約束なので納めることに納得はしていた。
「トッドさん よろしくお願いします」
「いい息子さんだね これからもよろしくお願いしますよ」
「ちゃんと納めるんだぞ 二か月後にはまた来るからな」
「今 言わなくてもいいだろう」
「ワッハッハ」大人二人の笑い声が響く。
「悪かった ストア 今日はおいしい食事に一緒に行こう」
二人は店主のトッドにお礼をし店を出た。




