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ふいに

掲載日:2019/02/13

 横浜駅近くの百貨店Sの屋上は解放されていて、誰でも入る事ができる。

 

 今日、そこに行ってきたのだが、ヨーロッパ系の、金髪の子供が二人ではしゃぎ回っていた。一人が女の子でもう一人が男の子。二人共とてもかわいらしかった。「嵐が丘」のヒースクリフとキャサリンを思い出した。二人はイギリス北部の荒れ地を走り回っていた。その絵が浮かんだ。

 

 僕は二人から離れて窓の方に行った。分厚い窓があって、そこから外が見える。海が見えた。埋立地が見えた。空も。ビルも。人間の作った建物と、自然であるところの海、空が見えた。

 

 ぼんやりと僕は風景を見ていた。ふと顔を上げると、鳥が群れをなして夕日の方に飛んでいった。その後を追うように、飛行機も飛んでいった。飛行機は飛行機雲を残していった。

 

 彼らはどこへ行こうとしているんだろう? 僕はそんな事を考えた。きっと、彼らは僕の知らない場所に向かっているに違いない。そんな気がした。

 

 僕は、自分の人生を終わらせる為に、窓ガラスに手をかけ、塀をよじ登り始めた。ここから落ちたらさすがに死ぬだろう。誰も注意しなかった。僕は無様に、塀を登り切った。それから。

 

 それから。




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