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可憐さと あざとさと 羞恥心と

本日、第八十六話を投稿します!

妖精になったコーゼストがまだやらかします。自重を何処かに置き忘れて来たみたいです!

 -86-


『──と言う次第です。御理解いただけましたか、ラファエル殿?』


「いや!? ざっくりし過ぎだろ?!?」


 あまりの衝撃で静止(フリーズ)していたラファエルを再起動させたあと、今までの経緯を話して聞かせたコーゼスト。その説明があまりにも大まか過ぎて思わず突っ込む俺。(ちな)みにコーゼストは元の身長(リアルサイズ)になっている。


「な、成程……良くわかったのであるよ」


「わかったのかよ!?!」


 あれだけで話が通じるラファエルも大概(たいがい)である。


「ま、まぁ、それなら話が早い。こう言う事になったんでよろしく頼む!」


「う、うむ」


 どうやらラファエル自身、理解が追い付いていないらしいが、これ以上の追求は勘弁して欲しい。


『ところでラファエル殿──魔導小火砲(マギア・ライフル)の改造は終わったのですか?』


 いつの間にか妖精体(フェアリーモード)になっていたコーゼストがラファエルに尋ねる。ナイスだ!


「おっと、そうなのであった! これを見たまえ!!」


 思い出したみたいに急に自慢げに話し始めるラファエル。見ると魔導小火砲(マギア・ライフル)の砲身を支える砲床(ストック)とルアンジェが呼ぶ部分前後に金具を取り付けてあり、上位種錦蛇(ハイ・パイソン)の皮革で出来た吊り帯革(スリングベルト)が付けられていた。


「これを、こうして……この様に肩に掛けれるのであるよ!」


 その場で実演して見せるラファエル。本当にこいつはこうした作業(改造)が上手い奴だ。ラファエルから魔導小火砲(マギア・ライフル)を手渡されたアンも同じ様に背負って見ながら「うん、これは良いわ!」とご満悦である。


 何はともあれこれで1つ問題が解決した訳で、俺はラファエルに対価を払って屋敷を後にする事にした。まぁラファエルは固辞したのだが無理矢理手渡したのであるが。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


『そう言えば』


 コーゼストの件を冒険者ギルドに報告に行く道中、その問題の根源たる妖精(フェアリー)コーゼストが話し掛けて来た。


「何が、そう言えばなんだ?」


『いえ、アンの魔導小火砲(マギア・ライフル)の名称を呼びやすく変更しませんか? いつまでも魔導小火砲(マギア・ライフル)と呼んでいるのも何かと大変ですし』


 そう俺の顔の横をふわふわ飛びながら(のたま)妖精(フェアリー)コーゼスト。周りの人達の視線を一身に浴びても平気な顔をしている。


「そうか、呼びやすい名前は確かに大切だよな……」


 そう言いながらアンの方を振り返ると、アンも「まぁ、確かに……そうよね」と頷いていた。


「うん、それならアンが付けても構わないぜ」


「えっ?! わ、私が?!」


 俺がそう告げると驚いた顔をするアン。だが自分に振られた事に驚いたと言うより、「付けても良いのね!」と言う喜びに近い気がした。


「まぁ魔導小火砲(マギア・ライフル)はアンの専用だし、呼びやすい名前付けてやれよ」


 俺はニカッと笑いながら頷くと満面の笑みを浮かべるアン。


『上手く丸投げしましたね』


 妖精(フェアリー)コーゼストが耳元で(ささや)いた──しっかりバレていました!


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「すまん……もう一度言ってくれ」


 思わず頭を抱えるギルマス(ヒギンズのおっさん)。わかるぞ、その気持ち…… 。片やルピィはルピィで妖精(フェアリー)コーゼストを触りたくてウズウズしているみたいである。


「だから、この妖精(フェアリー)がコーゼストなんだが……」


 心を(オーガ)(ごと)く非情にして言い直す俺。すまん、ギルマス──だが俺も通った道なので勘弁して欲しい。


 結局ギルマスにはコーゼストがこの妖精の身体を手に入れたのだと言う虚偽の情報()を信じてもらう事にした。勿論グラマス(セルギウス)殿にも同様の説明をするつもりだ。まぁグラマス殿なら理解出来るだろうが、それ以外の人には一々(いちいち)最初から説明のが面倒なのである。


「──まぁ、百歩譲ってその妖精みたいのがコーゼスト殿としてだな──」


僭越(せんえつ)ながらこれは(まご)う事なき純然たる事実ですよ、ギルマス殿』


 何とか声を絞り出したギルマスにトドメを刺す妖精(フェアリー)コーゼストと、声を再びムグッと詰まらせるギルマス。


「そんなにギルマスを(いじ)めるんじゃない、コーゼスト」


 後ろから妖精(フェアリー)コーゼストの頭を軽く小突(こづ)きながら謝罪の言葉を口にする。


「すまんな、ギルマス。こいつはいつも通りに口が悪くて……」


『マスターほどではありませんが』


「お前……少し黙っていような」

『──頼むからこれ以上話を(こじ)らせないでくれ!!』


 俺は念話でコーゼストに懇願(こんがん)した──いや本気(マジ)で!!


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 兎に角何とかギルマスには無理矢理納得してもらった。コーゼストは何やら不満がある顔をしていたが、これ以上の面倒(トラブル)は勘弁して欲しい。


 何となくだがコーゼストの奴は自らの身体を手に入れたら、逆に自重と言う言葉を何処(どこ)かに置いてきてしまったみたいである。正直暴走気味ではあるが──


「きゃーん♡ コーゼストさん、可愛い〜〜〜♡♡」


 それでもルピィの敵では無かったらしい。自称可愛いもの好きのルピィにとって、この自称愛らしい妖精(フェアリー)コーゼストの姿は(ハート)を見事に鷲掴みにされたみたいである。現在見事に捕まっている最中である。


「嗚呼……このまま連れて帰りたい! ウィルさん! コーゼストさんを是非一晩貸してください!!」


『……それだけはご勘弁を。マスター、その愉悦(ゆえつ)に満ちた顔で見ていないで助けてください……』


 頬擦(ほほず)りしながら色々暴走するルピィに対し、顔を青褪(あおざ)めさせて救援を求める妖精(フェアリー)コーゼスト。極めて珍しいモノを見た気がするが……魔導(マギア・)精霊体(スピリットボディ)になれば逃げられるのを忘れているのか??


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ルピィの寵愛(猫可愛がり)を受け、クタクタになった妖精(フェアリー)コーゼストを連れてギルドをあとにする。


『ルピィの前ではこの姿はあまりにも危険ですね……』


 青褪めた顔色でぐったりしたまま、フラフラ飛んでいるコーゼストがボソリと(つぶや)いた。対してコーゼストを()でまくったルピィはホクホク顔であったのは言うまでもない。


「まぁ災難だったな」


 俺は苦笑を浮かべた顔でそう答えるに(とど)まった。あの後コーゼストから聞いたのだがルピィに捕まっていた時、何故か魔導(マギア・)精霊体(スピリットボディ)に変われなかったらしい。ルピィは天然で魔法妨害(ジャミング)でもしているのだろうか? とりあえず今日中にまわれる所は全て廻っておきたいので、このまま先に進む事にした。さてと、次は…… 。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「これはまた……なんと言えば良いのか……」


 滅多に見せない驚愕の表情を浮かべるグラマス(セルギウス)殿。これはコレで珍しいモノを見れたと取るべき、なのか?


「しかし立体映像機器(ホログラム・デバイス)をこの様に使うとは……しかもこんな使い方があるとはね。いやはや恐れ入ったよ」


 それでも何とか立ち直りコーゼストを賞賛するグラマスも大した傑物(けつぶつ)だと思うんだが?


『これは私が元々保有していた無数の情報(データ)に今まで遭遇した古代遺跡達で得た様々な情報(データ)を組み合せ創り出した新しい魔導機(マギア・マシン)です。勿論同様のモノは私以外には作れないと思います』


 一方のコーゼストはグラマスに対してドヤ顔で答えを返す。お前、絶対そのドヤ顔したくて身体を手に入れたんだろ?!


「まぁ()()については(いず)れ……ね」


 グラマスはグラマスで何やら意味深発言をしている。本当にこの2人(1人と1体)はなかなか腹の底が見通せないな…… 。まぁグラマスは素直に納得してくれたので何よりだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 再びラーナルー市に戻って来た。


「なぁ、コーゼスト」


『何です? マスター』


 俺の周りをふよふよ浮いているコーゼストに話し掛ける。


「すっかり聞きそびれてたんだが、ラファエルの所に行って魔導小火砲(マギア・ライフル)を見せたり実験(テスト)していたりした時、お前は一言も話さなかったよな──何でだ?」


 まぁ大体察しはついてるが一応確かめる。するとコーゼストは俺の左肩にちょこんと座ると


『ドゥイリオ殿のガドフリー武具店を出てから今回のお祭り(イベント)──もとい立体映像機器(ホログラム・デバイス)の改造の為に魔法術式(マジックフォーミュラ)を最適化していた為です。勿論何があったかは全て理解していましたが』


 そう俺に向かい暴露(ネタばらし)する。


「お前……今、お祭り(イベント)って言わなかったか?!」


『そこは聞き流(スルー)してください』


 ルピィの真似をして、小さな舌をペロッと出して(おど)けるコーゼスト。お前、いつの間にそんなに小聡明(あざと)くなったんだ?! と言うか、反応があまりにも人間臭くて思わず笑いが込み上げて来た。


「プッ、ハ、アハハハハッ!!」


 あまりの大きな笑い声にアンやルアンジェ、ヤトが何事かと視線を向けて来る。


『何か可笑(おか)しかったでしょうか?』


 肩の上のコーゼストはキョトンとした顔をしている。それが余計に可笑しくて笑いが止まらなくなる俺。だがこのままだと堂々巡りになりかねないので「すまんすまん」と笑いを(こら)えながら何とかそれだけ言い、呼吸を整えると


「──いや、あまりにもお前が人間臭く振る舞うから、それが可笑しくて……な」


 とありのままの感情を伝える。するとコーゼストは今度は少し不機嫌とした表情をして意見を言って来る。


『これでもマスター以下関係者の皆様の感情表現に関する情報(データ)を長期間収集した訳ではありませんよ? 何と言っても私は──』


「《この世界最高の魔道具》なんだろ?」


 俺がコーゼストの言葉に(かぶ)せる様に言葉を重ねると


『わかっていらっしゃるなら(よろ)しいです』


 そう言って豊満な胸を張りながら偉そうに納得し、そして── 。


 ────チュッ。


 俺の左頬に口付けをして来た!!


「「「アアーーーーー?!」」」


「ちょっ!? な、何しやがる?!?」


 アン・ルアンジェ・ヤトの3人の声が見事に重な(ハモ)り、俺は思わず左頬を押さえて素っ頓狂(すっとんきょう)な声を上げてしまう。


 それを見て妖精(フェアリー)コーゼストがニコリと笑うと『仕返しです』と一言。


 いやいや?! 顔から火が出そうなんだが?!?



結局時間を掛けてあちこちに妖精の姿になったコーゼストを認知させたウィルでありました! あるいは振り回されているとも言います(笑)

しかしコーゼストは自重を置き忘れて来たと言うよりは、単純に暴走している気がします(笑)

流石は唯我独尊!


☆「なぜか俺のヒザに毎朝ラスボスが(日替わりで)乗るんだが?」第六話にイラストレーター椋木三郎さん作の主人公ウィルのイラストを載せました! 是非過去作品もお読みください!


☆「魔法と銃との異界譚 〜Tales of magic and guns〜」

新連載開始しました! 民間軍事会社の傭兵の男性と異界から来た大魔導師の女性の2人が主人公の物語です! 隔週木曜日15時に更新しています! 是非ともよろしくお願いします!


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