Re.generation 〜偏屈魔法士再び〜
再び本編に戻ります!
本日は第七十一話を投稿します! グラマスに呼び出されたウィル達。何やら頼まれ事らしいのですが………… 。
そしてあの男が再び登場します!
-71-
「良く来たね」
発毛薬の件の後2日ほど経ち、グラマスから「頼みたい事がある」と言う話が来て王都ギルド本部を再訪した。グラマスは相変わらずの人懐っこさ全開の笑顔で俺達を出迎える。
「わざわざ呼び出して悪かったね」
「いや、こちらは問題無い。それで今日はどんな話なんだ?」
俺の不遜な態度にも笑顔を崩さないグラマス。ある意味うちのギルマスより人が出来ている。まぁ伊達に歳は取ってないと言う事か…… 。片やグラマスの脇に立つ爬虫類人のゾラ・エルダは相変わらず表情が読めない── 。
「うん、幾つかあるんだけど……まずは君達に対する正式な手続きが先の統括責任者会議で承認完了したよ。それに伴って君達『黒の軌跡』には昇級試験を受けて貰いたいんだ」
……やっぱりそうなる、よな…………はァ。今の階級より上だとSクラスしか無いが、オルティースの耳に入ったら絶対狂喜乱舞しそうではある話だ。
「あとは──生産設備の利用及び運営方針が決定したよ。それに伴ってコーゼスト殿には僕達が取り扱える様に生産設備の制御核を作成して欲しい。勿論これはギルド本部からの正式な依頼だから対価は支払わせて貰うからね」
一番の懸念事項は割とあっさり通せたみたいである。それもやはりグラマスの人徳なんだろう──うちのギルマスだと反対されていた可能性が高いからな。
『ひとつ宜しいでしょうか』
それまで黙って話を聞いていたコーゼストが声を上げる。
「何だい? コーゼスト殿」
『生産設備の制御核作成ですが、私に製造に関する全権──この場合に限りですが──を委譲してくださると言う認識で宜しいのでしょうか?』
何やら小難しい事を宣うコーゼストに対し
「それは勿論。寧ろコーゼスト殿にしか出来ない事だから当然だけどね」
余裕の態度で接するグラマス。だがコーゼストはそのグラマスの予測の上の事を言い放った!
『それでしたら──外部から1人協力者を迎い入れたいのです。勿論優秀な人材である事は私が保証します。それに生産設備の保守管理と言う点に於いても精通する人材が居ると居ないとでは全く違います』
「へぇ?! コーゼスト殿のお眼鏡に適う人物がいたとはね! 何処の誰なんだい?」
そう言われたグラマスは興味津々に訊ねて来るが──
「おい、コーゼスト。まさかアイツか?!」
そうなのだ。今現在コーゼストの認める魔具制作者と言うと1人しか思い浮かばないんだが?
『はい、ラファエル・アディソン殿です』
やっぱりかよ!?!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『──と言う訳で申し訳ありませんがラファエル殿、私達と一緒に王都ギルド本部まで行きましょう』
「……何が『と言う訳』なのかわからないのであるが?」
「ラファエル、すまん。今から説明する」
ラーナルー市に一旦戻り、ラファエルの屋敷に押し掛けてのコーゼストの第一声がコレである。説明不足にも程があるぞ、コーゼスト。
俺はひとつ溜め息を吐くと、ラファエルに事の顛末を話して聞かせた──第八階層の生産設備の事は元より、ヤトの事、後日調査して判明した事実に、結果として俺達『黒の軌跡』がグラマス直属になった顛末諸々である。当然、途中でヤトを顕現させたりもしたが。
「──と言う訳でその生産設備の制御核の作成にあたってお前に協力して貰いたいんだが。勿論王都ギルド本部からの正式な依頼だからキチンと対価は支払われるんだが──うおっ?!」
説明がひと通り終わるや否や、俺の両肩をガシリと掴みながら
「ウィルフレド、良くぞ私の事を思い出したのである! やはり持つべきものは親友であるな!」
とやたら興奮気味に声を張り上げるラファエル──だがラファエル、ひとつ訂正する。俺はお前とは友人ではあるが親友では無いぞ? 寧ろ腐れ縁と言った方が正解か。
「あーっとな、お前の事をグラマスに推薦したのはコーゼストなんだが……」
「何とそうであるか?! コーゼスト殿、感謝する!」
感謝の方向が俺からコーゼストに瞬時に切り替わる……本当に変わり身が早い!
『それで、一緒に来て貰えますか?』
「それは勿論である! 暫し待たれよ、直ぐに支度する故! ノーリーン、準備を!!」
コーゼストの冷静な受け答えに対し、一方的にヒートアップするラファエルはノーリーンに声を掛けながら準備の為、隣の部屋に入っていった。
「本当に旦那様は……少しは落ち着いてくださいませ」
盛大な溜め息と共に、ひと言ぼやいてラファエルの後を追うノーリーン。何やら申し訳ない気がする………… 。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
言葉通りすぐさま準備を整えたラファエル達を連れて王都ギルド本部に逆戻りした。
こうした時は非常用転移陣が使えるのは強みである。そして──
「良く来てくれたね、僕が最高統括責任者のセルギウス・ライナルトだ」
笑顔でラファエルを迎えるセルギウス殿と
「お初にお目にかかるセルギウス殿、ラファエル・アディソンだ。話はウィルフレドから聞かせて貰っているのであるよ」
やや不遜な態度で返礼するラファエル。どうでも良いがグラマスは一応侯爵閣下なんだが?
『マスターの方がグラマスに対し、かなり不遜な態度で接していると思うのですが?』
コーゼストからまさかの突っ込みが入れられた──そうか?
「ま、まぁ、俺の事は置いといてだな。ラファエルは合格かな、グラマス?」
気を取り直してグラマスに問い掛けると、ラファエルを見詰めていた視線を外し、俺の方に満面の笑みを浮かべながら
「うん、問題無いね。流石はコーゼスト殿の推薦する魔具制作者だよ!」
と満足そうである。まぁ、ラファエルが信用されたのなら構わないが…… 。
何でもグラマスは、見詰めた相手の「資質を感じ取れる」のだそうだ。もしかしてあの虹色の瞳は所謂『魔眼』と言うものなのかも知れない。だが事実としてグラマスは、その並外れた感覚で今の人望と地位を確立してきたのは疑う余地が無い話である。
「では早速だけどラファエル君とコーゼスト殿、生産設備の制御核の作成を頼む。出来るだけ早ければ早い方が助かるんだけど……その辺はどうかな?」
『わかりました。では明日から早速作成に取り掛かります。凡そ2週間有れば生産設備を稼働出来る様になると思います。ラファエル殿もそれで構いませんね?』
「勿論構わないのであるよ。コーゼスト殿に任せる」
グラマスからの問い掛けに明確に答えるコーゼスト。実際に駆け回るのは俺なのだから、安請け合いはしないで欲しいものである。
「ではウィルフレド君、ラファエル君、そしてコーゼスト殿、よろしく頼むね。その間に僕は生産設備を整備する人員は揃えておくよ」
俺がそうした思いを巡らせている内に、コーゼストとラファエルとの話をグラマスが締めた。全く、俺の思いなど置き去りである。
『ではマスター・ウィル。明日からよろしくお願いします』
「お前は何時も事後承諾だよな……」
『何か不服ですか?』
「全くだ、貴様はそんなに神経質な性格ではあるまい?」
コーゼストとラファエルの2人から何やら失礼な突っ込みがされたが……お前達が大雑把過ぎるんだよ!? だがとりあえずその言葉をグッと飲み込んで、コーゼストが提示した作成作業に必要な材料をギルド本部の資材受付帳場から全て提供を受けて、俺達は今一度ラーナルー市へと戻るのであった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
そしてコーゼストは予告通り、次の日からラファエルの屋敷にて制御核の作成作業をラファエルが協力し合い推し進め、予定より1週間も早く完成を見たのだ。
その作業の間、コーゼストの宿り木である俺はハッキリ言って暇以外何者でも無かった──訳では無く、アンとヤトが俺の背中を巡る攻防戦をしたり、ノーリーンがファウストをモフったりと結構賑々しかった──と言うか、喧しかった記憶しか無いんだが? お陰で退屈しなくて済んだのは良いんだが、全くほどほどを弁えて欲しいものである。
そして完成した制御核を持って第八階層の生産設備に向かい、古い制御核との入れ替えや調整に4日を費やし、予定通り2週間後にはグラマス以下関係者全員を迎い入れる事が出来たのである。
それにしてもグラマス直属になってから、やたら目まぐるしかった気がするのだが? それもこれもコーゼスト先生が、後先考えず安易に仕事を受けるからなのは周知の事実である。まぁ一番の懸念事項は片付いたのだから、多少はゆっくりしたいのが本音ではあるが………… 。
そういや昇級試験は何時受けりゃ良いんだ?!
偏屈魔法士ラファエルの再登場でした!
しかし魔法士と言いながらラファエルには魔法士らしい事をさせた気がしないんですが…… ?
どちらにせよこれで生産設備は有効活用される事に相成りました!
いつもお読みいただき、ありがとうございます。




