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なぜか俺のヒザに毎朝ラスボスが(日替わりで)乗るんだが?  作者: 逢坂 蒼
半人半蛇の強敵編!
72/322

古代魔導文明の遺民

本日、第六十八話を投稿します!

王都ギルド本部でのグラマスとの話はまだ続いています。

 -68-


「何の話かな?」


 セルギウス殿(グランドマスター)は笑顔を崩さずにコーゼストに(たず)ねる。コイツはいきなり何を言い出すんだ?!


『私が()()を推測する理由なら3つ()げられます』


 一方のコーゼストは(いた)って平静でいつも通りである。


『まず第一に、この大陸の呼称です。この大陸に住むヒトは──勿論全てのヒトではありませんが──この地の表現は(ただ)()()と言い、東西に在る他の大陸はそれぞれ東大陸・西大陸と表現するのが普通です。ですが貴方は()()()()()()(おっしゃ)った。その呼称は(かつ)ての古代魔導文明(イディアル)で呼ばれていた名前です』


 ……すっかり聞き流していたが、確かにグラマスは最初にそんな事を言っていたな………… 。


『第二に貴方の身体的特徴です。厳密にはその瞳ですが──この()()()()において、その様な虹色の瞳(イラデッスント・アイ)()()()確認されていません。そしてそれこそは古代魔導文明(イディアル)人の特徴に他ありません』


 確かに……俺やギルマス(ヒギンズのおっさん)の瞳の色は褐色(ブラウン)だしアンはエルフに多い翠玉(エメラルド)だし、まぁルピィは珍しい水色(ライトブルー)だが…………虹色の瞳は初めてお目にかかる。


『そして第三に──こちらは一番最初に聞いた情報なのですが──貴方の年齢です。150歳を越えるとなると、エルフ族とドワーフ族の血統以外ではまず古代魔導文明(イディアル)人か古代魔族(アンデモン)しかいません。勿論貴方がエルフやドワーフとの混血(ハーフ)、若しくは未知の長寿種であるなら違いますが──少なくとも貴方にはエルフ若しくはドワーフの身体的特徴は見受けられません』


 そうコーゼストは断言して締め(くく)った。よっぽど自信があるらしい。一方のグラマス(セルギウス殿)


「良くわかったね、流石だよ。そう、僕は古代魔導文明(イディアル)人さ。恐らく最後のね」


 と、割と達観したみたいに認めたのであった。しかし、古代魔導文明(イディアル)人とはな! まぁ古代魔族(アンデモン)に造られたコーゼストだからこそ気付けたとも言えるんだろうが、すると………… 。


「すると、貴方は一体何歳なの?」


 おっと! 俺が聞く前にルアンジェが質問を投げ掛けてしまった!


「うん? まぁ見た目通りでは無いけどね。記憶しているのは少なくとも──6()0()0()は越している筈なんだけどね」


 !? ろ、600年以上だって?!? するとアンさんよりも長生きしているんだな…… 。とても歳上には見えないが。


「しかし、今までどうやって暮らしていたんだ?まさか600年も何処かでひっそり暮らしていた訳じゃないだろ?」


 つい疑問が口をついて出てしまった。


「それはだね──僕はとある施設で冷凍睡眠(コールドスリープ)していたんだけど、今から250年前にとある探索者──今で言う冒険者の手で覚醒(目覚め)させられ、とある貴族の元に保護されて暮らしていたんだよ。まぁ今から250年も前の話だけどね。その保護してくれた貴族はライナルト子爵家の当主で、当時跡取りが居なかった当主の頼みで養子になってライナルト家を継いだんだ。そのあと当主となりライナルト家と王族を繁栄させ、一方で当時はバラバラに活動していた冒険者達をひとつに(まと)めて冒険者ギルドを創設したんだよ。その時の功績も含め数々のは手柄を立てたので侯爵位を(たまわ)ったけどね」


 割とあっさりと自身の半生を語るが、結構波乱万丈な半生だと思うんだが……ん? ちょっと待てよ?


古代魔導文明(イディアル)が滅んだのは今から983年前だと聞いたんだが……年齢の計算が合わないが?」


「あー、それはね……僕は古代魔導文明(イディアル)の滅亡間近だった990年前に冷凍睡眠(コールドスリープ)に入ったんだけど、その時は既に350歳ぐらいだったんだよ。だから冷凍睡眠(コールドスリープ)していた期間も含めると1000歳は越すけどね。そもそも僕達古代魔導文明(イディアル)人は平均寿命が2000年ほどと長寿種なんだよ」


 俺の挙げた疑問にも丁寧に対応するグラマス。流石に長く生きて来ただけの事はあり人が出来ている。何処かの厚かましさ全開の誰かとは違う。


『何か、物凄く誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)されている気がするのですが……?』


『心配するな、気の所為(せい)だ!』


 コーゼストの念話の突っ込みに対し、念話で受け流し(スルー)する俺。お前は一度自分を(かえり)みろ!


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「まぁとりあえずは、そう言う事だと理解しておいてくれれば嬉しいんだけどね」


 セルギウス殿(グラマス)はそう言うと、パンッと手を打って話を切り換える。


「さて、今日ここに来て貰ったのはこんな話をする為じゃ無いんだ。一番の目的は既に話に出た「魔王の庭」の生産設備(プラント)について聞く事だけど、僕は()()コーゼスト殿と話したかったんだよ」


『それで──私は()()()()()()()()


 意味深なコーゼストの問い掛けに、笑みを深めるセルギウス殿(グラマス)。その問い掛けに慌てる事無く


「わかっていたのかい……まぁとりあえずは合格かな? キミは信用に足ると思うし、これからは信頼しても良いかな、と思うよ。勿論ウィルフレド君達もね」


 サラッと答えるが、何の話なんだよ……全く。


『セルギウス殿は先の話で私を試されていたのです。古代魔族(アンデモン)に創り出された有知性魔道具(インテリジェンスアイテム)である私が信用に足るか、と』


 俺の疑問に淡々と答えるコーゼスト。俺はコーゼストとは(いや)が上にも一番付き合いが長いからあまり気にも留めずにいたが、知らない人──特に古代魔族(アンデモン)と因縁があるセルギウス殿(グラマス)からすると、やはり気掛かりなんだろうな。


「別に勘繰(かんぐ)るつもりは無いんだけどね……もし気に(さわ)ったら謝るよ」


『私は何も気にしてませんので謝罪は不要です』


「コーゼストもこう言っているから、気にしないでくれ」


 セルギウス殿(グラマス)が申し訳なさそうに謝罪してくるがコーゼストが気にしてないのだから、そこまで(かしこ)まられると逆にこちらが申し訳ない気持ちになる。


「ありがとう。そう言ってもらえると助かるよ」


 そう言ってまた笑顔を見せるセルギウス殿──グラマス。人の(ふところ)に入るのが上手い人である。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「まぁ、この話はまたの機会にと言う事で……もう1つの用件を片付けよう。ウィルフレド君、君が使役している魔物達を紹介してくれないかな? 勿論()()()()()でね」


 またもや話題を変えるグラマス。そういやそんな話もあったな…… 。


「ここで良いのか?」


 一応確認する俺。あとで応接(セット)の賠償とか言われたら目も当てられん。


『相変わらず小心者(ビビり)ですね。ギルマスの執務室では何時(いつ)もやっている事ではありませんか』


『なんだよ、ビビりとか? 慎重だと言えよ!』


 またもやのコーゼストの念話の突っ込みにまたもや念話で抗議の声を上げる俺。


「勿論構わないよ。ただ……なるべくなら()()()()()()()()()有難いけどね」


「ゼンショシマス……」


 しっかりバレていた。


 俺は気を取り直してファウスト達を顕現(けんげん)する! 執務室の中に光が3つ現れ、それぞれ形を成していく。やがて光が薄れると、ファウスト・デューク・ヤトが姿を現した。


「ヴァンヴァン!」


「……(コク)」


「初めまして。私が御主人様(マスター)の一番の(しもべ)、ラミアのヤトよ!」


「……なんだよ、一番の僕って」


 ファウストは尻尾を元気良く振る以外は大人しいし、デュークは部屋の広さ(サイズ)に合わせて顕現させたので問題無いんだが……ヤト、その尻尾を後ろのソファーに巻き付けながらの世迷言(よまいごと)は止めてくれないか?


 一方のゾラと執事のファルトマンは目を見開き、グラマスは相変わらず笑顔を崩す事無くファウスト達を見ていたが、頬に汗が一筋流れるのを俺は見逃さなかった。


「こ、これはなかなか壮観だ……ヘルハウンドに宝石(ジュエル)ゴーレムに、本当にラミアなんだね」


 まぁ、普通はいきなり目の前に使役されているとはいえ魔物が3体も現れたら、こう言う反応だよな…… 。最近感覚が麻痺しているみたいである。


『そうした感覚が麻痺するのは怖いですね』


 コーゼスト……お前が言うな………… 。


「しかし、これだけ見事に使役しているとは……これがコーゼスト殿の能力(アビリティ)なのかい?」


『確かに「共生化」は私の固有能力(アビリティ)ではありますが、この3体を()()使役出来ているのはマスター・ウィルだからこそです』


「まぁ一応使役とか言っているが……コイツらは俺にとって()()だからな。勿論アンもルアンジェも大切な仲間だが」


 グラマスの賛辞にコーゼストはさも当然のように(のたま)うが、間違い無く俺が今こうしているのは皆んなのお陰だと思っているからな。まぁヤトにはこれから頑張ってもらうけどな!


「ふむ……君達はお互いに信頼関係にあるんだね」


 グラマスが感心したみたいに呟く。


「自分の背中を預けるんだ。信じてなけりゃ任せられない」


 俺は(いつわ)る事無くグラマスにそう告げる。するとグラマスは再び意味深な笑みを浮かべながら


「そんな君達『黒の(ブラック・)軌跡(ローカス)』に頼みたい事があるんだ」


 そう俺達に向かって(のたま)ったのだ。



グラマスの秘密とは古代魔導文明(イディアル)人の生き残り(遺民)と言う事でした!

名探偵コーゼストの推理はバッチリです。

そしてこの話はまだ終わりません!次回にも続きますのでお楽しみに!!


いつもお読みいただき、ありがとうございます。


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