そして宴のあと
本日は第228話を投稿します!
今日は後書きで重大発表がありますので、どうか最後までお読み下さい!
それでは本編をどうぞ!
-228-
華やかな結婚式から一夜明け、いつも通りの朝を迎えた。
あの後ルベルさんやフォルテュナ義父さん夫妻達、そしてベルタ達氏族のメンバーも諸々含めて、コーゼストの転移魔導機で一気にラーナルー市の俺の屋敷の庭に連れ帰って来ていた。まぁ次いでにギルマスやマイヤーズ子爵も連れて帰ったのだが。
兎に角、結婚式では滅多にすり減らない筈の精神をゴリゴリすり減らしたので、少しでも早く屋敷に帰りたかったと言うのが本音である。
自室のベッドで目を覚ますと、膝の上が何時もの如く短身サイズのヤト、セレネ、ファウスト、デュークの4体に仲良く占拠されているのを見ると、やはり日常が大切だと思い知らされる。
まぁそれはそれとして、今当面の課題は──
「「「「「「「……すぅすぅ」」」」」」」
「……ヲイヲイ」
俺のベッドの上にはアン、エリナ、ルピィ、レオナ、オルガ、マディ、ジータの7人が一緒に寝ていると言う事実だ。まぁ元々この部屋のベッドはかなりデカいのだが、それでも俺を含めて大の大人8人+チビサイズの従魔4体ではかなりの手狭である。
「……ベッド、特注するか」
押し合い圧し合い状態の俺のベッド上の惨劇(笑)を見ながらそんな事を呟く俺。
さてと、今日も朝からやる事があるんだっけな!
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今日やる事、それはズバリ! コーゼストのトランスポーターで連れて来たヒト達をそれぞれの在所に送り返す事である。まぁ完全にコーゼスト頼みではあるが、彼女も「これは私にしか出来ない仕事ですからね」と言っているので大丈夫だろう、多分。
「世話になったねウィル。マデレイネやマーユの事も宜しくお願いするよ」
帰り際にこんな言葉を残して先ず帰ったのはルベルさん。最後までマディ親子の事を気にかけていた。
「ウィルフレド! ジータ姉様の事頼んだよ!」
次に帰ったのはザイラ。此方はこちらでジータ一筋である。些か病気めいているが。
「それではウィル、アン。達者でな」
「たまにはマーユちゃんを連れて顔を出しなさいね?」
その次にはフォルテュナ義父さん達夫妻が帰って行った。「深淵の森」に行く事が有れば必ず顔を出そう。
「ウィル、エリナを宜しく頼む。エリナ、ウィルと仲良くな」
「2人ともいつまでも幸せにね。今度会う時にはおめでたの話だと嬉しいわ」
更にその次にはダン義父さん夫妻がワクト市へと帰って行った。どうでも良いがエマ義母さん、そんなエリナが恥ずかしがる様な話をしないでいただきたい。
「それではウィル、ルピタ。2人とも末永く仲良くな」
「ルピタ、今度来る時にはお腹に赤ちゃんが居ると良いわね」
「2人とも同じラーナルー市に暮らしているのだから、いつでも遠慮なく遊びに来れば良い」
そして最後にはネイサン義父さん達家族がそんな事を言いながら、屋敷から自宅へと帰って行ったのである。ここでもマノラ義母さんがルピィが顔を赤らめる事を宣っていたが、それこそ神のみぞ知るって奴だな。まぁ頑張りますけど!
兎に角こうしてそれぞれの家族を無事に送り届ける事が出来たのだ、あとでコーゼストを労ってやるとするか。
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さてさてお客さん達も帰した事だし、次にやるべき事は当然! 7人の嫁さんとの新婚初夜である──自分で言うのも小っ恥ずかしいが。だが避けては通れぬ事ではある。まぁその事に関してはアン達と挙式前に十二分に話し合って、色々と取り決めておいたのだが。
先ず俺が相手をする順番だが、これは婚約した順で一夜を共にする事にした。具体的にはアン、エリナ、ルピィ、レオナ、オルガ、マディ、ジータの順となる訳だ。これに関しては割と素直に決まった。あと細々とした──具体的には彼女達1人1人の個人的な要望も、出来るだけ叶えられる様にちゃんと聴き取りもした。
この辺の事は最初にキチンと良く話し合っておかないと、些細なすれ違いからお互いに取り返しがつかない事になり得るので一番注意を払った点である。
それにこうした事はちゃんと最初に取り決めておかないと、彼女達7人の間に軋轢を生み出しかねないとはコーゼスト先生の談である。何でも古代魔族の王──つまりは魔王だが、彼は何と正室側室あわせて12人も居たそうな。そんな魔王だが、ことそうした正室側室問題に関してはキチンと線引きをしていたので、正室や側室が仲違いをする事は無かったらしい。勿論後継者問題も上手く行っていたらしい。
仮にも魔王なんかを参考にして良いのか、と心情的に抵抗はあるのだが、ここはコーゼストが言う通りにしようと思う。
兎に角そんなこんなで彼女達との新婚生活が始まったのであった。
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それから7日間は彼女達との初夜に時間と体力を費やした。この7日の間、改めて彼女らと肌を重ねたのだが、改めて自分は恵まれているなぁ……と感じるに充分な時間だった。
アン以下7人の嫁さん達はその誰もが美女揃いであり、その誰もがそれぞれ魅力に溢れていた。そしてベッドの上でもそれぞれに個性的かつ魅力的であり、思わず我を忘れる所だったりする。
兎にも角にも彼女達をそれぞれ1人ずつ俺の部屋に招き入れては、熱い接吻と抱擁をし、お互いに愛撫と共に愛を語らい、お互いの寝間着を脱がし合うと、そのままベッドに倒れ込み、翌朝には彼女達1人1人の素晴らしい裸体を存分に鑑賞させていただいたのである。改めて思うが良く頑張ったな自分!
そんなこんなで7日に渡り彼女達と濃密な夜を過ごした訳だが、そのあとちょっとした変化があった。それまでは彼女達誰もが俺の呼び方を「ウィル」と呼んでいたのだが、初夜を迎えてから呼び方が「あなた」や「旦那様」に変わったのだ。
「それはそうよ。これで晴れて名実共に夫婦になったんですからね。いつまでも恋人みたいな呼び方は出来ないわよ」
とは7人全員を代表したアンの台詞である。そんなものなのかね? まぁ俺は相変わらずアンとかマディとかと、それぞれの名を呼んでいるが。
特に不自由をしている訳でなし、このままで良いよな。
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そんな甘い夜を7人と順番に過ごした翌日、まぁつまりは8日目の朝になるが
「良くもまぁ7人相手に頑張りましたね。しかも7晩連続で」
朝起きたらコーゼストから呆れともとれるそんな台詞を投げ掛けられた。そんな事言われても、なぁ?
「そんな事言っても……まさか7人同時に相手する訳にはいかないだろ?」
コーゼストの台詞にそう答える俺。そもそもその前にそんな事したら俺の身が持たん! それに俺は不特定多数の女性と乱痴気騒ぎをしたくて、7人と結婚した訳じゃないんだ!
「ですが7人も娶ったのですし、実質的には后宮状態ですよね? ならばマスターにそうした性癖があるのかと……」
そう言って訝しむコーゼスト。
「俺の性癖は至ってどノーマルだ! ってか、古代魔族の魔王はどうだったか知らんけど!」
コーゼストの台詞に1人憤慨する俺と、そんな俺の言葉に平然と答えるコーゼスト。
「かつて魔王は12人の正室側室を相手に偶に乱交していた様ですよ?」
「してたんかいッ?! 良く12人も相手に出来る体力と精力があったなッ?!」
そんな事が出来たからこそ「魔王」だったんだろうけどな!
何か知らなくても良い情報を聞かされて、何とも言えない俺。多分顔に表情が出ていると思うんだが
「まぁいざとなったら、古代魔族に伝わる精力剤を再現出来ますから、必要になったらいつでも仰って下さいね」
俺の顔の表情を見てそんな事を宣うコーゼスト。
いやいや、そうしたのは要らないから! 今のままで十分です!
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更にその翌日、今日はマディとジータそしてオルガがそれぞれオーリーフ島と王都ノルベールに一旦帰る日である。
「マディ、ジータもまた来てくれよな。まぁ遠方対話機もあるし、トランスポーターを使えばいつでも会えるけどな」
「「「「「2人とも元気でっ!」」」」」
「お母さん、ジータお母さん、元気でねっ!」
先ずはマディとジータを見送る俺とアン達とマーユ。場所は勿論屋敷の玄関ホールである。マディとジータ2人は俺と軽くキスを交わすと
「はい、旦那様♡これから公務の合間にちょくちょく来させていただきますね。勿論連絡も♡」
「あたしも暇を見つけては来させてもらうからね、あ・な・た♡」
それぞれにそう言うと、コーゼストの誘導でトランスポーターでオーリーフ島へ帰って行った。と言うかマディは女王の仕事をサボる気満々である。それで良いのか、女王陛下?
オーリーフ島の行く末に一抹の不安を感じながら、次はオルガを見送る俺。
「それじゃあ、オルガもまたな」
「本当に帰らないと駄目かい?」
そう宣いながら上目遣いで見てくるオルガ。
「駄目駄目、またすぐに会えるだろ?」
ちゃんと仕事をしてください、お願いです。
「ちぇっ、わかったよ。あーあ、誰かに最高統括責任者の座を譲ろうかなぁ……」
俺の言葉に残念そうに呟くと、俺と熱いキスを交わすオルガ。今凄まじく不穏な台詞が聞こえた気がするが無視する事にした。
やがてオルガも転移の光の中に消えるのを見届けると肩の力を抜く俺。
こうして慌ただしかった7人との新婚初夜も終わりを迎えたのである。
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何とか無事に新婚初夜を終え、マディ達を見送った翌日も休息日とした。と言うかさせられた。流石に7人も相手をしたのだから無理は禁物と、アンとエリナとルピィとレオナ、そしてルストラ師匠からお達しがあったのだ──主に俺の体力面に於いて。
まぁ確かにそれはそうだ。何せ最後にジータを相手にした翌朝には、流石に朝日の色がいつもと違って見えたからな。
兎に角そう言う訳なのでただ今絶賛ベッドに横になり、惰眠を貪っていたりする。
アン、エリナ、レオナはマーユを伴って市場に、ルピィは冒険者ギルドでお仕事を、残りのメンバーは師匠と共にいつもの如く「魔王の庭」に潜っており、今そばに居るのはコーゼストだけだ。
「……えへへ、御主人様……大好き♡」
「……ううーん、御主人様……大好きですわ♡」
「……はァ、やれやれ」
……一部訂正、今俺の傍にはヤトとセレネの2体が一緒になって寝ているのだ。しかも現実体で。
結婚式から初夜を終えるまで大人しくしていたヤトとセレネだが、それも一段落すると「アン達ばかりずるい」と駄々を捏ねてしまい、その妥協案として今日は添い寝させているのである。繰り返すが単なる添い寝である。大切な事なので2回言わせてもらった。
何もそんな事までしなくても良いと思うだろうが、そこはまぁ気持ちである。
しかし我儘を言うとか……その辺は普通の人間の女の子と変わらないんだな。
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そしてその日の午下遅くまで寝ていた俺だが、流石に腹が減ったので目を覚ました。いつの間にかヤトとセレネは居なくなっていたりする。
「ふあぁぁぁ〜」
「お目覚めですか?」
大きく伸びをする俺に、ベッドの脇にある椅子に座ったコーゼストが声を掛けて来る──と言うか、お前はいつもそこに居るんだな。
「それでどうですか? 良く寝れましたか?」
「おう、お陰様で良く寝れたぞ。ヤト達は先に起きたんだな」
「ええ、あの2体は空腹で目が覚めて、食堂に行きましたよ」
「そうか……他の皆んなは……」
どうしたんだと言おうとしたその時、俺の腹がグゥ〜と盛大に鳴った。その音色を聞いたコーゼストはクスリと笑うと
「他の人達の事を聞く前に、先に空腹を満たして来られた方が宜しいかと」
これまた至極真っ当な事を口にすると椅子から立ち上がり、俺にすっと手を差し伸べる。
「お、おう、すまん。そうするよ」
差し伸べられた手を握り返しながら短く答える俺。
「──そういや」
「? 何ですか?」
ふと思ったままに言葉に出す俺。
「お前は何か無いのか?」
「何かって……何をですか?」
俺の質問に今度はコーゼストがキョトンとした顔をする。
「いや、いつもお前には世話になっているし、俺にして欲しい事とか、欲しい物とか無いのかなぁ、と思ってな」
「そうですねぇ……特に考えた事もありませんが……何か思いついたらお願いするかも知れませんので、その時改めて宜しく御願いします」
そう言うとニッコリ笑うコーゼスト。
コーゼストさんや、その笑顔がすごーく怖いんだが?!
いつもお読みいただきありがとうございます!
これにて「婚約の挨拶、そして波乱を招く結婚式編!」は終わりとなります!
そして重大発表ですが、皆さんにお読み頂いております「なぜか俺のヒザに毎朝ラスボスが(日替わりで)乗るんだが?」は、作者の諸事情により今後しばらくは投稿が不定期になります。本人は2、3週間のスパンで投稿する予定ですが、連載を打ち切るつもりはありませんので今後とも宜しく御願い致します。




