表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/322

準備と確認と…… (☆イラスト有り)

本日第十三話投稿します!

何事にも入念な準備とキチンとした確認が必要ですが……コーゼストがやらかします(笑)


*ヒロイン・アンヘリカのイラストを掲載しました。

 -13-


 アンの装備も揃い、市場で必要な物資の買出しを済ませた俺達は昼食を屋台で済ませギルドに向かった。

挿絵(By みてみん)

 前日、俺とアンのパーティー登録は認められたが手続きが()だだったからだ。昨日に引き続きルピィが受け付けてくれたのだが……何でこんなにニヨニヨしている?!


「──はい、ではお二人分の新しい認識札(タグ)をお渡ししますね~、ニコ☆」


「………お、おぅ」


 古いのを返して受け取った真新しい(シルバー)認識札(タグ)には名前・所属ギルド・クラスが記載されており、新たに『パーティーメンバー名』が付け加えられていた。


 アンにも同様の新しい(シルバー)認識札(タグ)が手渡される。


 因みにこの認識札(タグ)はクラスにより違っていて初心者のEクラスは(ウッド)、Dは(アイアン)、Cは(カッパー)で俺やアンはBの(シルバー)、この上にはベテランのAを示す(ゴールド)と最高位のSを示す星銀(ミスリル)になる。


「そう言えばウィルさん、まだパーティー(ネーム)は決めてないんですね、どうしてです?」


「……昨日いきなりパーティー()()()()()()、そんな余裕があると思うか……ルピィ?」


 ジト目をしながら問い掛ける、とルピィは視線を思いっきり()らした。こっちをちゃんと見ながら言えないのか?!


「え~、良かったじゃないですかぁ~念願のパーティー結成ですよ? しかもエルフの女性とか!」


 だから、俺の目を見ながら話なさいって! ルピィは俺から視線を外したまま「メンバー募集の張り紙()がしておきますねぇ」と(のたま)う。


 結局、有耶無耶(うやむや)にされたまま俺達は例のオークジェネラルの魔核(コア)の買取金を受け取った。勿論クライド達の罰金差し引いた分であるがそれでも金貨2枚になった。


受け取りにサインをしてから他に用が有るかルピィに確認する。当然ある筈も無いので、ダンジョンに潜る(むね)を話しギルドを出る事にした。背中からルピィの「お気を付けて~」の声に送られ、俺達は「魔王の庭」入口に向かった。


 入口を警護する領兵に声を掛け入宮(にゅうきゅう)手続きを済ませ、門を潜ると管理端末(システムターミナル)水晶(クリスタル)に手を乗せ第一階層から再探索(リトライ)する事を告げる。


本当なら第四階層から再探索出来るのだが、俺としては新しいメンバーのアンの実力を見定めたかったからだ。あとファウストを含むお互いの連携も確認するのも目的だ。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 そして、「魔王の庭」第一階層──── 。


 眼前に上位小鬼(ホブゴブリン)の群れが迫る!その後方には(すで)に矢で射抜かれて絶命したボブゴブリンが二体。俺は身を屈め左脇から来た斬撃をカイトシールドで受け止め右手の()()()()()()()(なぎ)る!


 崩れ落ちるのを確認する間も無く続けて襲いくるホブゴブリンに向き直る! と俺の横を(かす)める様に後ろから放たれた矢がホブゴブリンの眉間(みけん)に突き刺さった!


 錆びた剣を振り下ろす事無く光の粒子になって消えていくホブゴブリンを見て、一頻(ひとしき)り感心する。アンの後方支援はかなり有効だった。


 特に弓での射撃術は優れた腕前を披露してくれる。何と言っても今の所一度も的を外してないのだ。これでもまだ微調整中らしい。


 俺は後方支援との連携をする為に長剣(ロングソード)から歩兵剣(ショートソード)に変えてある。そしてファウストはアンの護衛として(かたわ)らに付いていた。


 流石に戦闘中にはモフらないよな~と、俺は変な感心をしていたらアンが駆け寄って来た。


「どうでしたか? さっきよりも少しストリングの張りを変えてみたんですが──」


「あぁ、大したモンだな。今のは少しヒヤッとしたが……あんな技術(テクニック)も使えるんだ」


()()()精密射撃(ティアプリシィ)と言うエルフの弓術のひとつです」


 流石エルフ、弓と森が友とは良く言ったもんだな! 俺はニッと笑いながら「次は魔法を見せて貰おうかな」と告げると、アンは頬を紅潮させて「任せてください!!」とやたら張り切って答えた。


 コーゼストの探知によると、ここより150メルト東の部屋に魔物の反応が複数有るらしい。ではそれを次の目標にするか──── 。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 探知通り、部屋には上位狗人(ハイコボルト)が3体とホブゴブリンが2体居た。ここはファウストに牽制しておいてもらうとして今度は俺がアンの護衛に付いた。


 さて、アンの魔法の腕前はどうだろう? アンは右手を前に突き出し眼を閉じる──と身体の周りで()()()()()()()()()()()

 俺は昔から魔法を行使出来ないが、こうして魔力を()()()が出来るのだ。なので魔法適正は無くても魔力が高い。


 それにしても普段魔法士が魔法を行使する時とは何か違う気がする──何かこうフワフワしたモノが(まと)わり付く感じなのだ。


 そんな一瞬の後アンが眼を開けると()()を口にする。


「『エスプ・デュ・ヴェン・シルヴォスプレト──風よ、全てを切り裂く(やいば)となれ』旋風刃(ランヴィ・トゥ・ヴィオン)!」


 詠唱が終わるや否やアンを中心に旋風が巻き起こる! 旋風はファウストを飛び越えると魔物達をズタズタに切り裂いた!

 凄い威力だ……しかもファウストには害が無いとか便利な魔法だな……ん? アンが驚いた顔をしているが?


「どうしたんだ、アン?」


何事かとアンに尋ねる俺。何か不具合でもあったのか?


「い、いえ……私は風魔法が得意なので数も居た事ですし多数に効果が有る旋風刃(ランヴィ・トゥ・ヴィオン)を使ったのですが以前より威力が増してた気がするんですが……」


『それは増幅指輪(ブーストリング)が正常に機能している証拠です』


 アンの台詞を受けコーゼスト先生が宣う。


「えっ?だ、だけれどそんなに増幅される物なのですか?」


『あの増幅指輪(ブーストリング)は元々の魔力を実質3倍に増やし魔法の威力を2倍に増幅し、更に魔力の効率を上げ使用する魔力を1/2に軽減します』


「……ヲイ」


 何だ?!その()()()()()は?!! アンも唖然(あぜん)としてしまったじゃないか!!


『あの指輪はちゃんと完成された物です。試作品の時はそんな性能はありませんでしたから』


「……(ちな)みにその試作品の性能って…………?」


『魔力と魔法の威力を()()()()増幅出来るのですが同時に魔法を使用した場合、()()()()()()()()()()()。』


「それダメじゃなくね?!」


 これを創った古代魔族は何考えていたんだ?! そんな極端な性能付けやがって!!!! 加減を知らないのか??!


『今使用している増幅指輪(ブーストリング)は適正に制御されているので安心してください』


「当たり前だ!! そんな危険なモノ使わさせられてたまるか~~ッ!!!!」


 見ろ! あまりの事にアンが硬直(フリーズ)しているじゃないか?!


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


『そんな事よりアンさんの魔法の評価は良いのですか?』


 またしれっと話をすり替えるコーゼスト。コイツは本当にィ!!──はァ。


 俺は(かぶり)を振って気持ちを落ち着ける。コーゼストに()()()()()()本当に血圧が上がり易くなっているみたいである。そのうち俺も血圧の薬が必要になるかもしれん。


 はぁ……落ち着いた所でアンも現実に戻してやるか………… 。


「アン? アン?!」


「?!ッ、はっ? 今、何か聞いてはいけない事が聞こえた気が……」


「安心しろ。聞き間違いじゃない……」


「……何か凄い話でしたよね……コーゼストさんは本当に500年前に創られた有知性魔道具(インテリジェンスアイテム)なんですねぇ……はぁ」


 アンがどっと脱力している。判るぞ、その気持ち。


「それで? 他にはどの属性魔法が使えるんだ?」


 気持ちを無理矢理切り替える意味も込めて質問する。


「私は──いえ、私達森精霊(エルフ)族は精霊魔法を使います。私は風と木の精霊に()()()()()()()。あと水の精霊もいるんですが風は兎に角、()()()()()()()()()()()()あまり得意ではありません」


 アンが力無く笑う。それでも属性的には3属性使える事になるんだから大したモンだと思うんだが。


「まぁ、魔法はここぞと言う時の切り札として温存するのが一番良さそうだよな……」


「そうですね。(いく)ら魔力が増幅されているからと言っても流石に連続起動させる訳にはいきませんし」


 アンも慎重な自己判断を述べる。冒険者は臆病な方が一番良いんだ、とは(かつ)て冒険者に成り立ての頃ギルドの教官から聞かされた訓戒である。


 それを守ってきたからこそ俺は()()()()()()()()()()()()


 俺はアンに(まぶ)しいモノを見た気がした。


「さて、と。とりあえず後は剣の腕前を見させて貰うとするかな」


 俺はわざと(おど)ける様に話し掛ける。するとアンは一瞬キョトンとした顔をして、直ぐに頬を紅潮させながら「が、頑張ります!!」と両手を握り締めて胸の前で小さくポーズを取った。


 それを見てファウストは相変わらず尻尾が振り切れる程ぶん回している。俺は恐らく()()()()()()()()()()()()()()歩き始めた。


『私を無視するとは()()()()()()()()()


 コーゼストの文句はサラッと流して──── 。


 勿論ちゃんと魔核(コア)は回収したのは言うまでもない!



アンはかなりのチートかも知れません!

何でこんな娘があんな事に?と言う疑問には何処かで答えたいと思います(汗)。

そして自重を忘れてるコーゼスト…… 。


☆アンヘリカのイラストはnyazさんの作品です! nyazさん、ありがとうございました!


宜しければ評価をお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=818401577&s
― 新着の感想 ―
[一言] まだ13話目ですがすっかり引き込まれました! 最新話まではまだまだですが先が楽しみ!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ