華麗なる押しかけと貢物
本日第十二話投稿します!
前回に続きイチャラブ要素が高い回ですがご了承ください(主にアンが)。
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涅森精霊のアンヘリカ・アルヴォデュモンド──アンが仲間になって直ぐにした事はコーゼストにアンの魔力波形と生体波動パターンを登録する事だった。
俺にはさっぱり解らないのだが、これにより彼女もコーゼストの共生化の恩恵を受けられるのだそうだ。
続けてアンの装備を一新する事にした。聞いた話だと彼女は剣士と弓術士と魔法士の三重職なのだそうだ。
俺も戦士と斥候の二重職なのだがコレが結構珍しいのだ。更にその上の三重となると稀有だとしか言えない。
例の隠し部屋で回収していた防具をコーゼストの無限収納から取り出してアンに手渡した。女性用の篭手と脛当だけであるが魔法付与がされていると説明したら慌てて固辞されてしまった。
そんなに拒否されると軽く凹む………… 。
俺とパーティを組む以上必要だとコーゼストが言うと恐る恐る受け取ってくれたのだが。
女性用の胸当てとアーチャーの専用手袋は持ち合わせていないので後で似合うのを買いに行く事にする。
武器は魔法付与されたレイピアがあったのでそれを身に付けて貰った。アンからは出来れば弓も持ちたいと言われたのでこれも買い出しの品に加えるとしよう。
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その後コーゼストから無限収納ザックから取り出して欲しいと請われ指輪を2つ取り出した。何でも魔法を使う為の短杖の機能と魔力増大効果がある増強指輪なのだそうだ。だけど──
「あーっと、コーゼストさんや?」
『何でしょうか?』
「この指輪の能力はわかったけど……何で2個なのかな?」
『当然、お二人に装着していただこうかと』
──ヤッパリ?!
「いやいや。アンは兎に角、何で俺もなんだよ?」
『マスターは魔法は使用出来ませんが、今有る魔力を増大してくれます。そうすると私が潤沢に魔力を使えます』
「オレはお前のメシぢゃあねぇ~!!」
全く! コーゼストの奴め……ブツブツ…… 。こら、アンも見てて笑うな!!
『では──マスター。指輪をアンさんに装着してあげてください』
「ブフッ?!」
何を突然ハードルが高い事を宣うコーゼストさん?! 彼女居ない歴24年にはダンジョンを単独で探索するより難易度高いんですけど?!!!
慌てて見やるとアンはモジモジしていた──いやいや、そんな顔をしないでくれ!!
「わ、私は構いません!」
いや、俺が構うんだが?!
『マスター、早くお願いします』
仕掛けた張本人が急かしてくる! お前絶対楽しんでるだろ!!!!
俺は色々諦め、オーガの群れの前に一人進み出る勇気でアンの右手を取って───
「……アンさん、どの指が宜しいのでしょうか?」
だって聞かなきゃ解らないだろ?! 因みに左手の薬指が特別なのは俺でも知っているので避けたのである!
「!? は、はい! で、では中指にお願いします……ポッ」
俺は何の疑問も持たずリクエスト通りにアンの中指に震える手で指輪を嵌めた。指輪はアンの指に嵌めると独りでにサイズを変えピッタリフィットした。
それをウットリした表情で目の前に翳して見詰めるアンさん。そんなに嬉しいんですか?
俺の指輪は当然(?)アンが「お返しです♡」と言って同じ右の中指に嵌めてくれた。やたら瞳がキラキラしてるんですけど?
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そんな事していたら日がすっかり傾いてしまっていた。俺は一旦解散して明日不足している物を買いに行く事を告げ、見送る為に部屋を一緒に出た。階下に降りると宿の女将さんにアンが用事があるので、と話に行った。
ファウストと共に空いているテーブル席に移動して、夕飯の仕込みでパタパタ走り回っていた従業員に水と干し肉を頼み席に座る。
ファウストが干し肉にがっついてると、何やら打ち合わせていたアンと女将さんが戻ってきた──アン、何故に顔が赤い?
「ウィル。私、今夜からこの宿屋に移りますね♡」
──アンさん、間近で爆裂魔法を発動させました!!
「──はい~?!」
俺はなんの事やら理解が追い付かない!女将さんはニヨニヨとした顔で
「何ボケっとしてるのよ~、ウィルさんは~♡」
いやいやいや、俺は何も聞いてないんだけど?!
「折角冒険のパートナーになったんだから、常に傍に居ないと都合が悪いじゃないの?流石にウチは連れ込みじゃないので相部屋には出来ないけど──ウィルさんの右隣の部屋が昨日丁度空いたからね。アンさんが長期で泊まってくれればウチとしても有難いしねぇ~♡あっ、勿論色々融通させていただきますけどね。ウフフッ」
女将さんがにこやかに語り掛ける。良いのか、それで?! 呆然としていると「ほら、ウィルさんはアンさんと一緒に今居る宿屋から荷物取ってらっしゃいな!」と宿屋から送り出される。
頭が真っ白なままアンに付いて彼女が泊まっていた宿屋まで向かうと、そのまま荷物持ちをしてまた俺が泊まる宿屋──『蒼眼の新月』に2人で戻って来たら、出迎えてくれた女将さん──確かリネットさんだった──は既に宿泊手続きを書いた台帳を手に待っていた。
そこにアンが自分の名前とクラスを書き込み部屋の鍵を受け取る。この『蒼眼の新月』はギルド直轄の宿屋で冒険者に色々融通をしてくれるので助かっていた。
これも女将さんが融通を効かせてくれているのだろうと、俺は無理矢理心の中で自己完結させる事にした。
そうでもしないと俺の精神が持たない──本当に!!
そうして『蒼眼の新月』の客になったアンとはそのまま一緒に夕食を摂りながら色々話した。
酒を飲んでいたのも有るが結構自分自身の話が出来たと我ながら思う。尤も半分は酔っていたのであまり覚えていないけど………… 。
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そんな慌ただしい夜が明け翌朝──── 。
コンコン──
『ウィル? 起きてますか?』
朝から耳障りの良い声が聞こえるな、うん。
「起きてるぜ~、ちょっと待っててくれ」
膝の上からファウストを降ろしてベッドから起きてアンを迎える。
「ワンワン!」
おっと、ファウストがアンに飛び付く。くっそーー、羨ましいな………って?! 俺は何考えてるんだ?
「……おはよう、アン」
「おはようございます!ウィル……? どうかしましたか?」
おっと! つい見蕩れてた。
「……いや何でもない。顔はもう洗ったんだろ?」
「はい! ウィルは……未だですよね~」
ファウストをモフりながらアンは「ァハハ……」と笑って誤魔化す。うん、キミが起こしたんだよね?
「……ちょっと待っててくれるか? 顔を洗ってくるわ」
「わかりました! そうしたら一緒に朝ご飯食べに降りましょうね!」
モフる手を止めずにアンが笑顔で答える──本当に綺麗──ゲフンゲフン
久しぶりに気持ちよく目覚めた気がしながら顔を洗いアンと一緒に朝食を食べた。リネットさんがさり気なく料理を持って来ながら「頑張りなさい」と耳打ちして行ったのが引っ掛けるが。
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何はともあれ食事を済ませた後、アンとファウストを伴い西区の武器屋や防具屋に向かった。勿論アンの装備の不足しているモノを買う為であるが、コーゼストからも『今の武具を見てみたい』と言われたしな。
折角だしルピィの実家のリットン商会にでも行くかな、一番デカいし………… 。
リットン商会に向かった俺達は先ず防具の区画で女性用の胸当てと肩甲を探す、とコーゼストから有益な情報を告げられた。
何でもコーゼストの感覚端末で武具の優劣が判るらしいのだ! 詳しい話は良く解らなかったが格と同じ様に数字として判るらしい。
それならと幾つかのブレストプレートやポールドロンを見比べながらコーゼストに判断してもらい一番良いブレストプレートとポールドロンを購入した。アンは自分でベルトを調整してしっかり装着する。これは銀貨8枚だった。アンの防具だから多少高くても惜しまない。
続けて武器の区画でアンに弓を選ばせる。こればかりは使う者が直に確かめて手に馴染む品でなければいけないからな。
アンが選んだのはダンジョン内でも取り回しし易いリムが折り畳める小さめのコンパウンドボウである。ストリングの張りは自分で調整出来てしかも比較的弱い力でも矢を飛ばせる逸品だった。これもコーゼストに視てもらい一番攻撃力が高いのを選び出した。矢筒と矢30本を付けてもらい、これは金貨1枚に負けて貰った。
因みに防具と弓は俺が金を出した。アンは自分が出すと言ったがあのパーティに居た為かお金に余裕が有る訳じゃないのは判っていたので俺が説き伏せた。
アンは弓や胸当てを触りながら「プレゼントされちゃった♡」とはしゃいでいたのだが────── 。
あれ?そうゆう事になる………のか?!?
アンさんはトリプルジョブとかでヒロイン要素はバッチリです!コーゼストの出来る子要素も発揮されています。
ウィルはやる時はやるのですが……相変わらず流されています!(笑)
そしてファウストが今回も完全に空気(汗)
*貨幣について
鉄貨(100円)、銅貨(1000円)、銀貨(10000円)、金貨(10万円)、白金貨(1000万円)として見てください。
ウィルがアンに貢いだ金額は〆て18万円也(笑)
因みに宿屋一泊銅貨3枚(3000円)、ポーション一本銀貨1枚(10000円)。
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