表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/114

メイを狙う影

第三章 天狗編


ここは、都内近郊、三毛根高校。三階建て校舎二階にある二年D組教室。


珍しく、雨の降りつける 外をちらっと見て、愛梨沙たちは、元の場所に視線を戻した。


いつものように窓際の席。


丸顔で前髪を決めた望月愛梨沙の席を中心に、長いサラサラ髪で色白、猫目の橘菜子、通称にゃー子。

背が高くスレンダーでほんわかした長黒髪の神宮寺メイ。


肩先で揃えたライトブラウンの髪に、大きな瞳、まな板でないけどメイが羨ましいマユ。


これまた、いつものように、ぐるっと円になってホームルーム前のお喋りタイム中。


少々違うのは、見知らぬ男子生徒一名が何やら四人に尋問されている模様…。


11月6日。文化祭の振替休日明けのことであった。


メイには、ファン倶楽部がある。通称、メイちゃんの執事隊。


文化祭の後片付けの日、メイの下駄箱を彼らが掃除していた。


下校中、マユとメイが見かけたのだが、そのゴミの量たるや30リットルゴミ袋いっぱいだったのである。


さすがにおかしい。


マユに指摘され、初めて気付いた呑気なメイ。


執事隊の男子生徒を呼び出し尋問することにした。


「じゃ、二学期始まってから毎日じゃない、なんでメイに報告しなかったの?」


マユが執事隊に訊ねた。メイ以上にマユは、憤慨していた。


「あまりメイ様を不安にさせたくありませんでしたので…。犯人をとらえてから報告のほうがいいかと。すいませんでした」


執事隊は頭を深々と下げた。メイ様のお側にいられるという緊張とちょっぴりの幸福を噛み締めて…。


マユは、呆れたように鼻で大きく息をついた。


「それで、犯人の目星はついてるかにゃ?」


にゃー子が、執事の顔を見た。


「それが・・・。見張ってはいるんですが…」


歯切れが悪い返事にマユがいらつく。


「いるんですがって、何のための執事よ!役立たずね」


「まぁまぁ、そんなにいきり立ってはダメですよ。マユ」


「あんたの事でしょうが!!犯人の心当たりないの?」

「私、人から嫌われるなんて考えたことありませんでしたから」


「・・・…」


とんでもなく図太いメイの爆弾発言に一同絶句してしまった。


しかもメイはなぜか嬉しそうだ。


やたらにっこにっこだ。

人から嫌われるという初体験に心浮き立ってしまったようだ。


「もう、いいんじゃない。何も出てこなそうだし。帰っていいわ、ご苦労様」


愛梨沙は、執事隊を人払いした。


執事隊は、一礼すると早足で自分の教室に帰っていった。


ドアを見送って

いた愛梨沙が黒い影がすっと引っ込むのを見逃さなかった。


犯人は、現場に戻るという。


その言葉を愛梨沙は、咄嗟に思い出した。


「にゃー子!今、誰かこっち見てた」


愛梨沙が、叫ぶのと同時に、にゃー子が教室を飛び出した。


C組に慌てて逃げ込む女子生徒の後ろ姿。


にゃー子がC組を確認しにいくがそれらしい生徒が見当たらない。


にゃー子は、一旦自分の教室に帰って愛梨沙たちに報告した。


そこで、チャイムが鳴り、担任の薫子が入ってきてホームルームが始まった。


相変わらず、薫子のウエーブかかった髪とビシッと決まったクリーム色のスーツ姿は凛々しい。


薫子のハキハキした声が響く中、にゃー子は、犯人に思い当たる人物を一人思い浮かべていた。


それは、修学旅行の時のことだった。


坂神社で奇妙な服装した眼鏡女子とにゃー子たちはぶつかった。


メイをひどく恨んでいたような…。


にゃー子は、放課後にでも調べてみようと思った。


放課後、にゃー子と愛梨沙は、C組に赴いて、聞き込みを開始した。


「眼鏡かけた妙なやつ…。なんて名前にゃんだ?」


下校しようとする女子生徒をつかまえてにゃー子は、訊ねてみた。


「眼鏡?うちのクラス、眼鏡率高いからな…」


にゃー子が聞き込みした女子生徒も眼鏡をかけていた。


その横をすり抜けて廊下に出た生徒も眼鏡。


聞けば、クラスの三分の一が眼鏡だとか。


普段コンタクトで時々眼鏡をかける者も何人かいるとのことで捜査は難航した。


「じゃ、そんなかで変なやつ」


にゃー子が意地になって、眼鏡女子に食い下がる。


「いません!!」

食い下がるにゃー子に間髪いれず返事が返ってきた。


にゃー子と愛梨沙は途方に暮れた。



一方、下駄箱を見張っていたマユとメイだったがこちらも収穫なし。


見飽きた二人は、帰ることにした。


小降りとはいえ、雨は、一向にやむ様子がない。

二人は、各々、傘を開き駅へ向かって歩きだした。


途中、メイは後ろから見られているような気がして何度か振り返った。


マユと別れてから、一層集中力を増したメイの五感は、誰かに後をつけられていることを確信した。


雨のなか歩くメイの足音。立ち止まるとワンテンポ遅れて止まる誰かの足音。


物影にサッと消える人影。


メイは、ここぞという人気(ひとけ)がない場所へ誘導した。


障害物はない。


隠れる場所はない。


今だ。


メイが振り返った。


女生徒?


一瞬、残像が残ったがサッと消えてしまった。


メイは、傘を投げ捨て、女生徒がいた場所に急いだ。


辺りは、見渡しがいい。上も辺りも見渡したが、人影すら見当たらない。

「逃げられましたか…」


メイは、濡れた髪に手をやりながら悔しそうに呟いた。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ