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思いのほか修学旅行を満喫

「ちょっと、にゃー子ー、何で、また、私たちのこと抱えて走ってんのよ~、いい加減降ろしなさいよ」


再び、にゃー子の小脇に抱えられた愛梨沙がにゃー子に噛みついた。


「もー、うるさいにゃ、それ言うの47回目にゃ、黙って欲しいにゃ」


「黙ってられるわけないでしょ、早く降ろしなさいよ」


愛梨沙は尚もにゃー子に食い下がる。


「風が気持ちいいですぅ。でも、にゃー子さん速いですぅ、哲学の道、もう抜けそうですぅ。まるで、車みた…」


そこまで言いかけて、メイはようやく並々ならぬにゃー子のスピードに初めて気づいた。


メイの言葉で愛梨沙もようやく周りをみて、気づいた。


にゃー子が、障害物を避けながら、車より速いスピードで爆走しているという事実に。




「にゃー子、絶対に離しちゃダメー、離したら化けて出てやるからー」


愛梨沙は、必死で、にゃー子にしがみつきながら訴えた。


「わかってるって、あーりん。ほんと、うるさいにゃ、もう」


こうして、紅葉の時期にはまだ早いながらも、ゆっくり散歩して歩く2キロ弱の哲学の道を、西田幾太郎もびっくりの3分半(途中、お土産購入時間含む)でにゃー子は、駆け抜けていった。


「なんか、走ったら喉かわいたにゃ、なんか甘くて冷たいもんにゃいかな」


「それだったら、おすすめは、銀閣のアイスキャンディーですよ、えっと味は・・・こんなのありますね。場所はそこ右です」


ガイドブックを開いて、メイはナビを始めた。


「にゃー子、ソーダ味。メイとあーりんは?」


「あ、私、抹茶で・・・お願いしますぅ」


「何、あんたまで観光する気満々になってんのよ、追われてるのよ、後ろ見なさいよ」


後ろからは、相変わらず5人ほど刺客が一定の距離を保ちながらにゃー子たちを追ってきていた。


「あーりんはいらない?」


「イチゴ入ったクリームでお願いします」


愛梨沙は、正直にあっさり答えた。


銀閣を背景に写真を撮ると、愛梨沙にキャンディを買わせ、メイとにゃー子は、刺客を返り討ちにした。


ほかの観光客が、あっけにとられる中、お騒がせしましたと一礼して、再びにゃー子は二人を小脇に抱え、キャンディをほおばりながら銀閣を退散した。


「にゃー子さん。あーん、してください」


メイがにゃー子の口にアイスを運んだ。


「ちべたくて、おいしー」


「おいしーですぅ」


「おいしいけど、食べた気しないわ」


愛梨沙だけが明らかにテンション低めである。にゃー子の小脇に抱えられながらまさか、アイスを食べることになろうとは予想だにしなかったことだ。


「あーりん、もう観念して楽しみましょう、ね」


メイが駄々っ子を諭すように愛梨沙に言った。


「そうそう、盛り上がって参りました」


爆走するにゃー子の背中には、いつしか戦利品と称された土産物の山が風呂敷包み一式となり、加わっていた。


「三十三間堂は逆ですよ、にゃー子さん」


すでにこのころ、三人は、金閣寺を制覇し、竜安寺の石庭をハイジャンプで上空から拝観するという荒業に成功していた。そして、向うは三十三間堂。京都に住んでいただけあってメイのナビは的確だった。それでも片手にガイドブックを持っていたのは、土産物と店の看板メニューを見逃さないようにするためであった。


「豊国神社にちと寄りたい」


「?」


にゃー子は、不思議がる二人をよそに豊国神社に立ち寄り、お守りを一つ買った。


続けて三十三間堂の入口で写真を撮る時、奇妙なことを言った。


「全部端っこじゃ、様ににゃらないから…、二人間空けて」

「??」


愛梨沙とメイは、きょとんとしたが、にゃー子のいう通りにした。


「さあ、敵も@1。いよいよ、本陣へつっこみますか」


にゃー子は、またしても二人を両脇に抱え、京都駅周辺のショッピングモールNYAONニャオンを目指して走り始めた。





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