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回想 月千代1

室町時代最盛期、三代将軍、足利義満が、この世を去り、その子らの権力争いが、激化する頃、とある村に清兵衛と言う男がいた。


にゃー子はその飼い猫で、当時、月千代と呼ばれ、大変可愛がられていた。しかし、村の中には清兵衛が猫を飼うことを快く思っていない者たちが少なからずいた。


というのは、猫又が人を襲った話は、それより少し前、鎌倉時代頃からささやかれていたらしく、清兵衛の村でも猫を飼うのは、極力控えるよう村の掟に記されていたからである。


そして、つい先日も山一つ越えた小さな集落が、猫又に襲われ、人々が食い殺されたというのである。


月千代も齢は、十を遥かにこえ、二十に届こうかというところであった。村人は、月千代が、いつ猫又に成やも知れぬと気を揉んでいた。今のうちに殺処分してしまえと言う者たちもいた。


当の清兵衛は、気にも留める様子もなく、日々を変わらず過ごしていた。月千代も清兵衛の自分に対する愛情をわかっていたので、なにか恩返ししたいと考えるようになっていた。


時が経ち、清兵衛は、目を病気でやられた。足、腰もめっきり弱くなっていった。


清兵衛に報いたい、まず、清兵衛がなにを欲しているか正確に知る必要がある。月千代は、人の言葉を完全に解するようになった。


清兵衛もそんな月千代を気味悪がるどころか、むしろ喜んでいた。身寄りのないせいかもしれない。娘一人授かった気でますます月千代をかわいがった。


月千代の方も、可愛がられれば可愛がられるほど嬉しく、なお、一層清兵衛に尽くした。


清兵衛の身の回りの世話を一つまた一つ覚えるうちに月千代は、とうとう猫又になった。


猫又になったことで、月千代は、二つの大きな力を手にいれた。

一つは神通力。敵を攻撃したり、身を守ったり、治癒する能力である。

もう一つは生命力。体力も桁外れになり、若さを取り戻した。


月千代は、怪しまれないためにも人になろうと考えた。住み込みの女中ということにすれば、辻褄もあう。そのための手段を案じていた。

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