修学旅行IN 逃走中 開始!!
「にゃんだ!」
にゃー子がおののいた時には、メイは右に、愛梨沙は左に捌けてしまっていた。
「はくじょうも~ん!!」
にゃー子は怒涛のごとく逃げ始めた。
警備員たちや警察官がそのうちの何人かを取り押さえると砂のようにザッと音を立て消えてしまった。
しかし、尚も残った謎の集団は、にゃー子めがけて斬りつけながら、走り寄ってくる。
にゃー子は涙目で逃げた。
大宮通から、六角通り、猪熊通り、果ては、綾小路通りを経て、大きな通り、堀川通りへ出た。しかし、今のにゃー子にそんな細かいことはどうでもよかった。
とにかく、逃げたい。走りに走って逃げ回っていた。
同じころ、マユは、ジュースの買い出しを終えて、通りの反対側を眺めていた。
閑散?
さっきまでの喧噪が嘘のように人がまばらだ。
泣いてる人さえいる。
ひょっとして・・・・。。。
マユはショックを受けた。
感動的なパレードを私は見損なってしまっている。しかも、置いてきぼり。
現に愛梨沙たちの姿が見えない。
「はくじょーもーん」
マユの声が通りにこだました。
すると、周りのあわただしく、ただならぬ雰囲気がマユに伝わってきた。
警察がどうの・・・、救急車がどうの、パレードが中止だの
マユは、胸騒ぎがして愛梨沙の携帯に連絡を取ったが、つながらない。
マユは、周りの人にここで、今何があったのか問いただした。
にゃー子はビルの隙間に身を隠した。
息はすでに上がっていた。
もう20分近い鬼ごっこになっている。
ビルのはざまの上から、一人の剣士が振りかぶって落ちてきた。にゃー子は、身をひるがえし、蹴りで剣士の顔面をとらえた。
剣士は、やはり砂のようにザッと音を立てて、消えていった。
「ふう」
にゃー子は息を大きくついた。
「っていうか、あんた一人狙ってたのに何であたしたちまで巻き込むの?」
「にゃー子さん、離してください、両手つかえた方が楽でしょ、ね、ね、お願いですぅ」
いつの間にか、にゃー子の両手には愛梨沙とメイが抱えられていた。
「旅は道連れ、世は情け」
「何で、あんたの道連れにされなきゃなんないのよ、バカ言ってんじゃないわよ、降ろしなさい。マユとも離れちゃったじゃない」
「あー。確かに」
にゃー子は、とぼけた声をあげた。
「追われてるのに、何で誰も気づいてくれないの?」
警察も愛梨沙が声をあげて手を振るのに気づかず通りすぎていく。
「こんなに大ごとになってるのに…」
愛梨沙は泣き声になった。
「にゃー子さん…ですね」
メイが低い声でにゃー子を非難した。
「バレたぁ」
にゃー子はペロッと舌を出した。
「何、神通力なんて使ってるのよ、早く解いて!!逃げるより、警察に保護してもらった方が話しが早いでしょう」
愛梨沙は、必死の形相でにゃー子に訴えた。
「いやー、案外、保護されて、身動きとれないとこを後ろからバッサリ斬られるかも…」
「恐いこといわないでよ、デモ、カモの話ししたらきりないわよ」
「でも、ありそうですぅ、アイツらどうみてもヤバそうですし…」
「メイまで何言ってんの、じゃ、何とか空間?それで戦ってよ、あんたたち二人で、私を巻き込まないように」
「異空間のことかにゃ。ムリ!こっちの世界で、戦いはじまったから…」
「何よ、それ。じゃ、どうするの?キャー、また前から一人追手がキター」
男は、愛梨沙と話して注意が逸れたにゃー子に対して、真っ直ぐ縦に刀をふり下ろした。
にゃー子は素早く右に避けると、蹴りを相手の男の顔にお見舞いした。
この男もまた、砂のようにザッと音を立てて、崩れてしまった。
「面白いにゃ、蹴るだけでいなくなる」
「遊んでる場合じゃないんだって、にゃー子」
愛梨沙は、べそをかきながらにゃー子に呟いた。




