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にゃー子VSメイ

「行けー」


メイが命令すると、ものすごいスピードでにゃー子めがけて飛んで行った。


にゃー子もすごいスピードで逃げ回る。


にゃー子が枝から地面へ。そして、再び枝へ飛び移ろうとした時だった。


術符に気を取られているにゃー子の横っ腹に鋭いメイのまわしけりが炸裂した。


「にゃー子!!」


愛梨沙は、叫んだ。


地面に転がるにゃー子に追い打ちをかけるように術符がまず襲い掛かった。


にゃー子は、首から下げたシルバーのロザリオに手をやった。


すると、大きな羽の塊のようなものが現れ、それを掴んだにゃー子の左手が術符を打ち払った。


「てめえ、天狗の羽団扇なんかどこで・・・」


「昔、オロチと戦った時にゃ、それに化け猫とは違う。わたしは猫又にゃ」


「どっちだっていいんだよ、そんなこと」


メイは、いらだちながらにゃー子に殴り掛かっていった。


「よくにゃい、そこ大事なとこ!!」


にゃー子は片手でメイの攻撃を受けながらじりじり後退していく。




「おじさん、浄化って?」


愛梨さは気が気でない。状況を大まかでも把握していたいが聞きなれない用語に見慣れないものばかりで余計に混乱していた。


「じゃ、あれ貼られると消えちゃうってこと。ダメよ、菜子ちゃんはもういない人なの。にゃー子が消えちゃったら菜子ちゃんの体まで消滅しちゃうじゃない!!冗談じゃないわ。早く、止めて。メイを止めて。おじさん早く!!」


「と、言われましてもあれではわたしは・・・」


メイの父が指差す方向では、ますます過熱した二人の戦う姿があった。


ドカッ


バキバキバキッッツッツ!!


にゃー子が飛び移った木の枝を、幹を…果てには鳥居の足を無残に蹴り砕いていくメイ。


「・・・・・・・。」


愛梨沙は言葉を失った。


「せっかく、改修が終わったというのに困りました。もう寄付金は底をつきましたし…、このご時世、また都合で募るというわけにもいきませんし・・・。仕方ありません。わたしがぼちぼち直しますか」



愛梨沙は、メイの父に腹がたった。しかもちゃっかり、いつの間にか自分一人用の小さな結界まで足元にご丁寧にはっている。


「おじさん!!なに悠長なこと言ってんの!!あのままじゃメイが・・・」


「わかっているからこそ、見守っているのです!!今のメイの状態はご先祖様の魂に体をいわばをいわば乗っ取られている状態です。一人前の術師となるならばその意識をしっかりコントロールできなければなりません。たとえ、猫又さんであろうとクラスメートである親友を認識できないような娘にわたしは育てた覚えはありません。仮にもこの神宮司家は陰陽師をもしのぐ術師の最高権力。わたしはメイを信じております・・・はい」


「おじさん・・・」


メイの父の言葉に愛梨沙は、はっとした。自分だってメイを信じたい。しかし、目の前でにゃー子が傷ついていく現実がある。


にゃー子だって逃げ回って疲れている。このまま、万が一術符を貼られてしまったら取り返しがつかないことになる。


愛梨沙は自然と結界の外に足を踏み出していた。


「もう、ヤメテー、メイ!!にゃー子はあなたの友達なのよー。あなたは優しい人なの。友達を傷つけるような人じゃないの。お願いだから出てきて…メイー」


木々が少しだけ風を受けたようにざわついた。


天の星空はなおもきれいに輝いている。


その下でメイとにゃー子の戦いは続いていた。


お互い激しさを増して息が上がっていた。


にゃー子は依然打開策が見いだせないまま逃げ回るよりほか手がなかった。


このままでは、メイにやられてしまう。


かといって、メイを傷つけるわけにはいかない。


激しさを増すメイの攻撃ににゃー子も羽団扇を腰に両手両足で受けるほかなくなっていた。


羽団扇は神通力を何倍にも増すが片手が使えない以上、防御力を下げてしまう。


間合いを取って応戦するはずがいつの間にかメイの執拗な攻撃にじりじりとつめられていたのである。


と、メイに気を取られていたにゃー子の後ろから術符が飛んできた。


風の気配から、察したにゃー子は何とか横に避けた。


が、またしても、メイの回し蹴りが炸裂した。


にゃー子は転がって倒れた。


今度はかなり効いたらしい。


起き上がるのに苦労している。


そこへ、間髪入れず術符を手にメイが上から急降下していく。


ヤ ラ レ ル!!


にゃー子は思わず目をつむった。


どんっ!


メイの体がビリヤードの玉のように弾かれた。


と同時に反対側にもう一体誰かが弾かれて転がった。


「あーりん!!」


にゃー子は叫んだ。


愛梨沙の生身の女子高生の体には相当こたえた。


それでも、二人を救いたい一心で飛び込んだ。


体が勝手に反応してしまったのだ。


ふらつく脳で愛梨沙はよつんばいの姿勢から、前方にいるにゃー子の無事を確かめた。


そして、その先にいる、やはり四つん這いで立ち上がろうとしているメイを見た。


「何をしやがる…小娘が・・・」


立ち上がったメイの頬に一筋の涙が伝っていた。


先祖とメイの精神なかでの戦いが始まった、にゃー子と愛梨沙はそう確信した。





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