神宮寺メイ、にゃー子に猫じゃらしで弄ばれる
とりあえず、追試というハードルは越えたことで、愛梨沙たちは、ようやく夏休みの計画をたてはじめた。
海。花火。バーベキュー。遊園地。。
それはさておき、愛梨沙たちには、この時期、恒例行事がひとつあるのだ。
「私の誕生日なんですぅ」
メイが嬉しそうに口を開いた。
メイは、愛梨沙の親友の一人。長いストレートの黒髪に髪飾りをしている。背は、高くわりと華奢なスタイルであるが、出るとこは出て、引っ込むとこは引っ込んでいる、愛梨沙の羨む体型をしている。
読書が好きでいつも、空き時間は、歴史の本を読んでいる。わりとホンワカしたイメージだが、意外とスポーツも得意でアウトドア派の一面も見せる。
、
試験も終わり、授業も午前中しかなくなっていた。
校庭の木々も青々と眩しい光を際ただしている。
同時にくっきりと濃い影を作り、夏の到来を告げていた。
「今年も、ぜひ、家に遊びにきてください、ですぅ」
メイが嬉しそうに話を続ける。
「もちろん。あーりんも行くでしょ?」
「メイの誕生日でしょ。そりゃ、行くでしょ。てか、今年泊まっちゃいたい」
愛梨沙も話の輪に加わった。
「広いからねー。メイの家の庭」
「お金持ちなの?メイ」
にゃー子が質問した。
三人は顔を見回してニコッとした。
「行けばわかるよねー」
「ズルーイ、今教えて。にゃー子、今知りたいー」
にゃー子は、メイを揺すぶって責め立てた。
メイは、にこやかな顔でなされるがまま揺れていた。
「教えませんですぅ」
「それならこっちにも考えがあるにゃ」
にゃー子は、カバンの中から猫ジャラシを取り出して、うねうねとメイの前に揺らしてみせた。
「ほれ、ほれ」
「にゃー子さん、それ、反則ですぅ。私我慢できないですぅ。からだが勝手に…」
にゃー子は、器用に猫ジャラシをメイの前で行ったり来たり、跳んだり、跳ねたり、うねうねさせた。
メイは、困った顔でにゃー子の動きに合わせて反応した。
「耐えろ、耐えるんだー、メイ!」
マユが、応援した。
猫に猫ジャラシであやされる人間を初めて見た、愛梨沙はしばらくそのやり取りを遠い目で眺めていた。




