あーりんのすべきこと1
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ねむたい。
朦朧とする意識の中、愛梨沙は、にゃー子の話を聞いていた。
「ねー。あーりーん、きいてる?」
いつの間にか、猫又からにゃー子に姿が戻っている。
愛梨沙は、指でOK出すので精いっぱいだった。
面倒くさかったが、ここを回避するにはひとまずにゃー子の話を聞いていたというアリバイを作る必要がある。
「よーするに・・・、あれね簡潔にまとめると・・、」
愛梨沙は、にゃー子に指差して切り出した。
「にゃー子、田助、現代、逢う、ラブラブ、はっぴーめでたしめでたし。ってOK?」
単語羅列の愛梨沙。完全に体で船をこいでいる。
「そそ、OK」
「じゃ、そいことで」
ろれつも回らず、愛梨沙は布団に崩れ落ちようとした。
「ちょっと待つにゃー」
「にゃー子。あたし~も~ムリー。限界。頼むから勘弁して」
午前4時の鳩がまぬけにぽっぽぽっぽと時を告げる。
「一分あれば十時間の眠りを与えられる。にゃー子を信じても~ちっと、つきあって」
愛梨沙は、無理やり起こされた。揺さぶられるがまま。それでも、なお、遠のいていく意識。
「あたしにどうしろというのさー」
めんどくさそうに愛梨沙は、にゃー子に言った。
にゃー子め、絶妙のタイミングでこの世に引き戻しやがって。愛梨沙の頭にムシャクシャマークが沸いてでた。
「愛梨沙にしか田助はさがせんのにゃ」
「どういうこと」
「サトリが田助と私の赤い糸を見つけるように設定したのは、私の実の子の子孫、DNAだけなの。
つまり、二人の赤い糸が見えるのは、月千代の血を引く女の子だけなの。」
びしっと愛梨沙ににゃー子の人差し指が決まった。
しばしの沈黙。その指の意味について愛梨沙は考察していた。
愛梨沙は、まさかと思った。
「そー。あなたが、私の子孫なりー」
愛梨沙は、のけぞった。
アタシハ ネコマタノ シソーンー
お目目は一発で冴えわたった。
手のひらをいそいで見た。
よかった、肉球はない。
いや、なんでないんだ? これから生えるのか? 覚醒するのか?
「心配しなくても、間違っても猫にならないから心配しなくていいにゃー」
にゃー子は、即座に見透かしたように言った。
怖さ半分。がっかり半分。




