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プロローグ

 

プロローグ


昼間だというのに薄暗い空が広がっている。


大きな三階建ての建物。小さな建物がいくつか。運動場にプール。高い木々に鉄棒。囲まれた敷地。


そこは、学校の校庭のように見えた。


青白い炎が何かの肉片を跡形もなくなるまでなめ回す。


人らしき姿が三つ。


二人に羽交い締めにされる者の表情は伺い知ることはできない。


しばらく三人の会話が続いた。


その後、もう大丈夫だと感じたか、上に乗っかっていた女が立ち上がった。


次いで、押さえていた側の男も離れた。


二人とも現代にはおよそ似つかわしくない奇妙な出で立ちをしている。


女の方は、凛とした気品ある厳しい顔立ちに十二単。腰に刀を差していた。


長い黒髪に一つの乱れさえない。


男の方は、卑弥呼の時代にでてくるような、白い簡素な服に髭を蓄えた、厳つい豪傑な男性だった。


羽交い締めにされていた者は…、


いや人ではない。猫だ。

戦ったあとであろうか、傷つき、(すす)汚れているが、白い大きな猫である。


尾がいくつにも分かれている。


嗚咽しているようだ。肩を震わしている。


そんな猫の後ろ姿を女は、ただ、じっと眺めていた。




全てを失った。


猫…、いや月千代は、思った。


「ついてくるのか、来ないのか!!」


女の厳しい声が月千代を立ち上がらせる。


まだなにも終わっていない。


泣いている場合ではない。


300年以上も待ったのだ。


今度こそ…。


愛する者を奪い返す。


支えてくれた友を奪い返す。


月千代は、目の前に渦巻く、直径一メートル程のまるい闇を見つめた。


「・・・…。」


月千代は、何事か女に決意を述べた。


女は、月千代の手を握った。


不思議なことに、月千代の姿が、現代のセーラー服を着た女子高生の姿に変わっていた。


そして、漆黒の闇に身を投じた。


全てを護るために…。


全てを奪い返すために…。





物語は、それよりさかのぼること一年半前から始まる。





























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