第七楽章 小野寺 悛
更新遅れました。
今日は1日が長く感じた。
とても長かった。
それに楽しかった。
戦争学部か。
俺が待ち望んでたような状況じゃねえか。
吹部に入ったらこんな面白いことがあるなんてな!
いいぜ。やってやる。
この自由型空間変化部隊の小野寺悛がトップに立ってやる。
てか、あいつ何だったんだ?
確か...白野だっけか。
あいつまるでわかってたかのような行動してたけど。
...まあいい明日直接聞くとするか。
___________
朝だ。
俺は朝は嫌いなほうだ。
布団から出るのが死ぬほど嫌だ。もういっそずっと寝て居たい。
まあでもそんなことできるはずもなく、目覚まし時計のやかましい音で叩き起こされる。
...今何時だ?
まだ寝ぼけている目を擦りながら時計を見る。
8時20分。
「....え。う、嘘だろ!集合、8時半なのに!」
ベッドから跳ねおき、制服をつかんで急いで着替える。
こういう時に限ってボタンがはまらない。
「やばいやばいやばいやばい!!!」
焦る気持ちに行動がついていかない。
俺は朝ごはんも食べずに部屋から飛び出す。
「大丈夫だ!寮からコモンホールまでは走れば3分!ぎりぎり間にあ....」
何も無いところで躓く俺。
こういう時に限ってこういうことになる。
現実は残酷だ。
なんとか滑り込みで間に合った。
が、もうコモンホールに集合しかけている。
吹部の更衣室に飛び込み、バッグをロッカーへ投げ込むと同時に体操服を引っ張り出す。
卓越した動きでなんとか一分前に間に合った。
「あーれー?ミクロくーん遅かったねー」
千夏先輩は相変わらずだ。
筋トレ。
果たしてどんなことをするのだろう。確か腹筋とか背筋とか鍛えるんだっけか。
まあ吹部だし、そんなハードではないだろう。
と、思っていた時期が私にもありました。
なんだこれ!?普通じゃないだろ!
腹筋100回、背筋100回、横筋1分はまだわかる。きついけど。
だけどこの腕立て伏せ100回、スクワット100回、50m全力ダッシュ10本ってなんだよ!
それにランニング10km、頭おかしいだろ!
もう壁登り5回に関しては何も言えねえ。
「え、す、吹部ってこんなハードな筋トレするんですか...?」
近くにいた男子の先輩に聞いてみる。
「まあ、俺達は吹部兼、戦部だからな。普段から体作っとかないと仮想空間ですぐバテる。」
戦部ってこんな消防士みたいな筋トレすんのかよ!しかもランニング系以外は毎日!
「じゃあ筋トレ始めまーす。」
前で知らない先輩がそんな事を叫んだ。どうやら筋トレマスター呼ばれる先輩らしい。
やるしかない。覚悟を決めて始めた。
「1..2...3...4..5...6...」
死ぬ。
普通に死ぬ。
いや普通に死ぬという表現は変かもしれないが、死にかけた。
尋常じゃない。もう動けない。
周りの先輩方は汗をかいて、息は荒れているものの、まだピンピンしている。
一年生男子は7人。
誰ひとりとしてこの筋トレをまともにこなせたものはいなかった。
__もしかして俺はとんでもない部活に入ってしまったんじゃないか?
...今更だな。今までもかなりとんでもなかったんだ。これ以上何があってもおかしくない。
頑張るしかない。そう肝に命じておこう。
___________
....なんなんだよ!
っんなの聞いてねえ!
やばいまともに息できねえ。戦争学部ってなんだよ!?
こんなハードなの毎日やんのかよ!死ぬわ!
吸っても息が入って来ない。肩がゼイゼイと息をする度あがる。
俺はしばらく動けなかった。
....なんでこんなことになったんだけ?
....
「今から第十回楽器適正試験を始める!」
先生は突然意味のわからないことを言い出した。
なんだよそれ。そんな事考える隙も無く、始まった。
眩しい。突然の閃光。反射的に目を瞑るのがやっとだった。
次の瞬間とてつもなく広い場所にいた。
まるで空間を引き伸ばしたかのようにコモンホールが大きくなっていた。目測およそ3.4倍。中央に太い柱が天井まで伸びていた。
戸惑う1年生。そんな奴らを尻目に何故か俺は妙に落ち着いていた。
普段から空想世界に浸っている賜物だろう。少しのことでは少しも驚かなくなってしまった。
ドサッ!
「なんだあれ!」
驚かなくなったとか言ったそばから驚いてしまった。
だって急に黒い人の形をしたものが中央から落ちてきたから。
ヴヴヴウゥゥ....
奴らは唸り、吠く。
俺は動けなかった。いや、動いたらいいのか解らなかった。
危険だ。そんな事はわかってる。じゃあどうすりゃいいんだよ!俺の頭は真っ白だ。
慌てることも怯えることも泣くこともなく。
パァーン!!
突然の銃声?いやトランペットの音とも取れる音で俺の頭は冷静を取り戻す。
一体なんだ?
久しぶりの疑問に答えるべく俺は音の方向を見る。
1人の男子がトランペットを持ってガッツポーズをしていた。
そして近くに散った黒い化物。
....白野 光
確かそんな名前だったはず。体験入部の時、聞いた気がする。
『一年 白野 光の適正武器を高音属金管式直機関銃に認定します。』
そんなアナウンスが何処からともなく響いてきた。それと同時に奴の身体は光に包まれて消えていく。
相変わらず状況は掴めない。
だが、白野光はあの黒い化物を倒した、それだけはわかった。
ズドン!!!!
更に激しい爆発音に身体が硬直してしまった。今度はなんだ?
花岡桜..だったか。
トランペットをブッぱなしたのか。流石の俺だ。もう理解した。
つまり、黒い化物を倒せばいい。そういう事だ。
....おもしれぇ。最高じゃねえか。
待ち望んでたんだよなこういうの。
憧れていたんだよ。
厨二病だ?そんなの知らねえ。好きなものは好きだ。
殺ってやる。
両手をクロスし、上に挙げ叫ぶ。
「渾沌の黒き炎の力を今ここに!邪王炎殺黒龍波!!!」
刹那、腕に力が漲る。そして俺の楽器が姿を現す。
剣が。
「うおぉっっっ!!!」
奴らに向かって走り出す。不思議と恐怖心はなかった。
脚が軽い。まるで風のように走れる。本当にここは何なのだろう。
化物は両手を地面につき構える。
来る。
俺は自然とわかった。
化物が俺に向かって飛び込んでくる。最小の動きで横に身体を逸らしてかわす。化物は勢い余って前に転ける。しかし直ぐに起き上がり、襲ってくる。
視える。
敵の動きが手に取るようにわかる。
次はジャンプで俺の顔を爪で狙ってくる。すかさず剣をクロスし、受ける。
敵の動きが止まる。俺はその隙を見逃さない。前かがみに敵の懐に飛び込む。
そのまま右手を上に突き上げた。
グヴァァァァ!!
その剣は奴の心臓あたりを貫いていた。弾け飛ぶ化物。その瞬間俺は勝利を確信した。
『___1年 小野寺 悛を自由型空間変化部隊に認定します。』
...今思えばあの時なんであんなに動けたか、未だに解らない。
まあいい。あいつに勝てばいい。
白野光に。
選ばれたのは俺だ。
書きたいことはいっぱいあるのに上手く書けない!!
....まあ暖かい目で待って貰えると嬉しいです。