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戦部!!!  作者: 城孔 翼乃
1年生編
6/13

第五楽章 戦部始動

今回、軽く説明回です。

設定がわかりにくいかも知れませんがご了承ください。

「つまりこのオーディションは.....」


「そう!戦部の適正武器の検査ってこと!」


千夏先輩は声高らかに言っているが冗談じゃない。


「急にこんなことしていいですか?僕は経験してたんでなんとかなったんですけど....もしけが人とか出たら...」

あんなこといきなり起きたら誰でも固まってしまう。


「あー大丈夫大丈夫。仮想空間で怪我しても実際の身体は10分の1ぐらいしか損傷しないし。それにあいつら攻撃できないし。それに...」

「それに?」

「精神的にピンチの時の方が自分に合った武器(がっき)を呼びやすいしね。」


そういえばそうだった。俺も最初、何故かトランペットを持っていた。正しくはトランペットではなく、ピストン部分を後ろに下げ、3番管を引き金にして撃つ機関銃だったが

あともう一つ気になることが。

「てかなんであいつらが柱の上から降ってきたんですか?」


そう、あいつら敵なのに1年生に戦わせていいのか、というのもある。

だが、なんであんな所から出てきたのかということだ。もしかしてまだなんか隠してるんじゃ...


「うーんとあれは...」


「おい、藤谷。」


嶋中先生(きょうこ)が呼んだ。


「は、はぃ!」


「それはダメだろ。」


「すみません....」

こんな弱気な千夏先輩は初めて見た。

この先生はそんなに怖いのだろうか。

よく見ると喋り方は男っぽいけど女性。数学教師らしい。

なんで?と突っ込みたくなる。数学教師が吹部の顧問なんて聞いたことないし見たこともない。

そうそう見たこともないといえばこの先生、白衣を着ている。

ものすごく謎だ。

まあ大した理由じゃなかったけどね。

数学教師で吹部の顧問なのは、この学校ができた当時、10年ほど前なのだが、音楽の教師がいなかったそうだ。それでまあ色々あって吹部の顧問になったらしい。

音楽知識もゼロだったらしい。

そう考えるとホントは凄い人なのかもしれない。



第2の合格者が現れた。

花岡桜。

やっぱりというとこもあったが、驚いた。酷く疲れている様子だったので話しかけなかったが。


その後も続々と現れた。

各パート1人ずつ紹介すると、


高良(こうら) (はじめ)

音属金管式響固定大砲(チューバ)


小野寺(おのでら) (しゅん)

自由型空間変化部隊(パーカッション)


兒玉(こだま) 真子(まこ)

中音属金管式特殊盾弓(ホルン)


霜乃(しもの) (れい)

高音属木管式近接型片手剣(クラリネット)


上田(うえだ) 日夏(ひゅうな)

最高音属木管式超近接型刀(フルート)


島村(しまむら) 麻有(あゆ)

高音属木管式近距離型砲撃刃(アルトサックス)


中野(なかの) 陽菜(はるな)

中音属金管式直機関砲(トロンボーン)


緑川(みどりかわ) 亜美(あみ)

中音属金管式響機動砲撃拳(ユーフォニアム)


花田(はなだ) (まつ)

低音属弦型固定盾(ストリングベース)


こんな感じだ。



そして全員が武器(がっき)が決まったを見計らい嶋中先生(きょうこ)が、

「全員気をつけ!」

急な号令にびっくりし、気をつけをする。

「今日から君らは楓学園吹奏楽部であり、楓学園戦争学部だ!」

ポカーン。

何この人?意味わかんない事言って?とでも言いたそうな顔で皆は先生を見る。


「あとはパートリーダーに任せる。1年生によく説明するように!」


「「「「はい!!!」」」」

パートリーダーは返事をする。

そして説明があった。仮想空間のこと、あの黒いののこと、そして戦争学部とはなにか。

困惑の嵐だったが、理解したようだ。


「あれ?こんなにすっと、疑わずに理解したの僕だけですか?」


「うん。千夏もまさかあんなにコロッと信じるなんて思ってなかった。普通はこうだよ?えっ!?ってなるよ?」


「やっぱり才能ですかね?」


「...よく言えるねそんな事。」

やっと始まった。戦争学部が。





「じゃあ一年生こっち来てねー」


千夏先輩から言われるままに後ろへついて行く。

花岡さんはキョロキョロと落ち着かない様子で周りを見ている。


しばらくして一つの部屋の前についた。

『楽器庫』

真新しいその表札は最新設備のセキュリティのかかった部屋についていた。部屋自体は普通の教室と変わらないが。


「ここは楽器を出し入れするところだよ。」


と言ってガラっと音を立て引き戸を開ける。

そこにあったのはそうこのような空間。両脇に棚がいくつもあり、楽器が並んでいる。


「トランペットはここに直しまーす。」


入口付近のすぐ右のところだった。


「はい、じゃあ好きなトランペットをとってねー。」


そうだった。まだ楽器は決めていないんだった。俺は棚の一番端のところから1本のトランペットをとった。

花岡さんもとったようだ。


「とったねー?次はここ。ここで譜面台を取ります。」


トランペットの棚の横に籠があり、黒い鉄の塊が沢山入っていた。どうやらこれが譜面台というものらしい。


「これ、どうやって使うんですか?」

俺もちょうど思ったところだった。いいタイミングで花岡さんが聞いてくれた。


「ちょっと待ってねー。こうして、こうして.....」


どんどん組み立てられていく譜面台。そして、


「じゃーん!こんな感じ!」


上の方は広がって楽譜をを置けるように、下の方は3本の足で立てれるようになっている。


「「おおー!」」


ちょっと面白かったので声が出てしまった。


「じゃあ譜面台も1本ずつねー。」


譜面台も持って楽器庫の奥へ。

そこには見るからに怪しそうな機械がある。銀行のATMのような形で、タッチパネルがついていて、カードかなにかをスキャンするようなものがある。


「はーい。ここで光くんと桜ちゃんのカードを作ります。」


カードって?と聞く前に千夏先輩は俺の手をつかみタッチパネルへと叩きつける。地味に痛い。


『手形を確認。1年生B組10番 白野 光と認識。今からICカードを作成します.......』


なにかアナウンス的な声が聞こえた。どうやらなにかのカードを作るらしい。


「ここに楽器を置いて。」


横に透明の箱があった。その下にも機械。体重計のような見た目だ。

俺は楽器をケースから出して置いた。


『...白野 光の楽器をYTR-3335に登録します。しばらくお持ちください....』


そしてしばらくするとカードが出てきた。


「これなんですか?」


名刺のような、免許証のようなそのカードはデザインがとてもかっこよかった。


「それ、絶対なくさないでね。仮想空間に自己的に入る時必要だから。」


「はい。わかりました。」


どうやら仮想空間にログインするためのものらしい。他にも色々あるそうだがまだ知らなくてもいいそうな。


そして花岡さんもカードを作った。

よしこれで早速....


「そう!今から仮想空間に入ります!」

ワクワクが止まらない。自己的に入るのは初めてだ。


「じゃあここにカードをスキャンしてね。先行ってるから!」

そう言って千夏先輩はカードをスキャンした。

刹那、一瞬にして千夏先輩が消えた。まるでテレポートしたかのように。

こんなふうにして入るのか。ますますかっこいいじゃないか。

俺の中の厨二心をくすぐる。


「いっくぜ!」

カードを思いっきりスキャンする。

体全身が光り始める。眩しい。目を瞑る。


目を開けるとそこは見覚えのある空間だ。


「ようこそ練習用仮想空間へ!」

確かにここは仮想空間だ。でも明るい。

まるで太陽が出ているかのように明るかった。


「ここは練習用に人工的に作られた仮想空間なの。まあでも学校の広さと仮想空間の広さは比例するんだけどね。大きい学校ほど仮想空間も広い。」


「そうなんですか?あ、そうだ、なんでここはこんなに身体が軽いんですか?」


「あ、私も気になります。」

仮想空間で戦闘した時は普通は絶対できないアクロバティックな動きができた。あれは何故なのだろう。


「えっとねー。ここ広いんだけど、実際は空間を引き伸ばしてるだけなの。例えばここでいう3mは元の空間の1mほどなの。」

???どういうことなのだろう。


「つまり?」


「つまり、向こうで1m進む感覚でこっちでは3m進めるってわけ!」

なるほど。つまり3倍ほどのスピードで走れるということだろう。


「走るだけじゃない。ジャンプも3倍だよ。」


そう考えるとさっきの宙返りも肯ける。


「え、じゃあ最強になれるじゃないですか!」


これは凄い。まるで幼小児に憧れていたヒーローのように動けるということだ。

フフッ。千夏先輩が意味深な笑いを漏らす。


「そう簡単にはいかないんだなあ。ここで動くと普通の三倍以上疲れるの。だからいくら身体が軽くなってもすぐ疲れちゃうの。あとここでした怪我はちゃんと肉体的なダメージはあるよ。まあだいぶ軽くはなるけどね。だから骨折ぐらいだったら全然余裕かな。」


結構さらりと怖いことをいうなあ。この先輩(ひと)は。

まあ動けることは動けるんだから、楽しいことは間違いないだろう。



この後、譜面台は仮想空間では盾と地図になることを教わって帰ってきた


(うち)、本当に大丈夫かなぁ....」


花岡さんは心配しているようだが、俺はそんなことはない。だってこういうの憧れてたから。

昔からそうだった。ヒーローだのそういう類が好きでいつか自分もあんなふうに戦ってみたいとか思ってたし。

とにもかくにも、この部活を楽しもう!



トランペットの教室に戻ってきた。

「じゃあ毎年恒例の1年生のニックネーム決めをします!」

それはあまりにも突然だった。

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