第四楽章 楽器適正試験
更新遅れました。
体験入部は終わった。そして今日から本入部だ。
とはいっても俺はもう入部届けは出してある。
あとは誰がトランペット希望か確認するだけだ。
勢いよくトランペットの教室に入る。この学校だけじゃないと思うが吹奏楽部は基本パートごとに教室が割り振られそこで練習する。
コモンホールは合奏などみんなが集まる時だけだ。
教室では花岡さんがもう既に練習していた。
体験入部の1週間でドレミファソラシドレミファソまででた彼女は異常だった。普通、せいぜいでて1オクターヴ(ドからどまで)らしい。俺も頑張ってそこくらいは出していたが彼女には追いつけなかった。
しばらくして全員が揃った。
1年生の希望者は俺を含め4人。
まずは花岡 桜
今回のダークホースだ。
1年生とは思えないほど上手い。
次に大谷 愛
眼鏡をかけていて大人しい。体格は結構しっかりしている。いわばぽっちゃり。ぶっちゃけあまり得意ではない人だった。
最後に太田 林檎
背が高く、髪型はおかっぱ。いつも教室でもぼーっとしていて何を考えているのかわからない。
これに俺を含め4人。
おそらく花岡さんには負けるが、後の2人よりは俺の方が上手いだろう。
.....このオーディション、貰った!
先輩がたは5人。
お馴染み千夏先輩と、体験入部中非常にお世話になった千里先輩。
それに岡野 七海先輩、紗綾元 雫先輩。
そして男子の佐々木希 俊先輩。
七海先輩が黒板にトランペットの簡易的な絵を描いて説明する。
「えっと..このボタンみたいなのがピストンって言って、手前から1番、2番、3番っていいます。」
どうやらあまり説明などになれていない様子だった。
「で、運指って言うのがあってそれを今から書くので覚えてください!」
このあと色々説明があった。トランペットでいうド、の音はピアノでいうシ♭だとか、オーディションは音階と長音だとか。
いまいちよくわからなかったが、まあなんとかなるだろう。
それから数日ほど経ってオーディションの当日となった。
オーディションはコモンホールである。
緊張で手汗が滲み、鼓動が高鳴る。
まるで他の人にも聞こえているほどに。
「...全員いるか?」
吹奏楽部顧問、嶋中 恭子がパートリーダー確認をとる。
やばい。楽しみ。
何故かはわからない。でもとても楽しみに感じる。
「では、今から第十回楽器適正試験を始める!」
そう言うと嶋中先生は片手を上に掲げた。
閃光。
....眩しくて何も見えない!咄嗟に目を瞑る。
しばらくして目を開けるとそこは見覚えのある空間だった。
広い。
ここがどこだかわかった。しかし、またなんで?
周りを見回すと皆何が起きたのかわからないと言った表情で唖然として
いる。
ドサ。
なんだ?音の方向に目をやるとコモンホールの中央の柱近くの天井から堕ちてきていた。
奴が。
....ガゥルルゥ。
悲鳴。唖然。処理不能。逃亡。
それぞれがそれぞれの行動をするなか俺は妙に落ち着いていた。
「....あれ?こいつら吠てたっけ?」
違和感を覚えた。ていうか違う。
似ていたから間違えたがこれは奴じゃない。
だって武器をもっていないから。
「んだよ。そういう事かよ。」
「え、え?な、何言って.....」
「全くこの部活も嫌な演出してくるな。」
「ねえこれ!?なに!?知ってるの!?」
花岡さんが叫んでいるが俺は無視して走り出す。
「ねえってばぁ!!」
ヴァアアアア!!
奴はいきなり襲いかかってくる。
拳を突いて来るが後ろに飛び、
かわす。
____身体が軽い。
そのまま脚を踏み込み加速。
「....この身体なら行ける!」
敵の正面からの攻撃を大きく宙返りで頭上を飛び越える。
敵の背中が見える。
「いっけぇ!!」
光と共に手に現れる高音属金管式直機関銃。
その瞬間俺は勝利を確信した。
パァーン!
俺の閃光のような弾が奴の背中を撃ち抜いていた。
『___1年 白野 光の適正武器を高音属金管式直機関銃に認定します。』
アナウンスのような声が響く。
「よっしゃああああああぁ!!!!」
この広い空間轟く声で叫んだ。
こうして俺はトランペットになった。
_______________
....どうなってんの。意味わかんない。
光くんがあの黒いのを倒して.....トランペットになった。
....わかるわけないじゃん!!
「ここって何なの!?それに吹奏楽のオーディションのはずじゃ...」
誰も答えてくれない。
答えれる人がいない。
ただ1人、答えがわかっていた彼はどこかへ消えていった。
自分の頭が今起きた事を処理できない。
いやしようとしない。
考えていてもしょうがない。
だったら考えずに行動してみよう。
もし何かあっても、その時はその時だ。
「とりあえず、あの黒いのを倒せばいい!」
身体から漲る力を感じる。熱い。
足が動くのを感じる。軽い。
「うりゃぁああああ!!」
何故か持ってるトランペットを黒いのに向ける。
ダァーン!!!
突如放たれた火の弾。舞い上がる煙。
反動で吹き飛ぶ私の身体。
粉々に砕け散る黒い物体。
『____1年 花岡 桜の適正武器を高音属金管式直機関銃に認定します。』
...もうどうにでもなれ。
そう思ったのを引き金に私の意識は暗闇へ吸い込まれていった。
やっと戦部らしいことできました。
戦闘シーンって書くのが難しい....