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第八話


今、俺たちは商業区から中央区の冒険者ギルド前まで移動している最中だ。


「なぁユウキ、ギルドの中に入ったら定番のイベントがあると思うか?」


「定番イベントって、あの先輩冒険者に『ここはガキの来る場所じゃないぜ』とか言われて絡まれること?」


「そうそう、それだよ・・・ぶちのめしてもいいかな?」


 俺にはよっぽどオーラのレベルが離れていない限り相手に勝てる自信がある。


「ダメだよ! しかも勝つこと前提だし!」


「そりゃ~俺は道場で武術を習っているし、結構年上の人とも組手してるから戦い慣れてるし」


 最も天草道場の先輩方は長く通っている人ほど化け物の様な強さとなっているが。


「そうなんだ、なら試合とかも出たりしてるの?」


「あ~~、昔一回だけ剣道部の試合に助っ人として出場したことがある・・・一応準決勝までは勝てた」


「なんか、歯切れが悪いけど準決勝まで進んだなら十分すごいと思うよ。負けたのはやっぱり道場で習っていた武術と勝手が違ったから?」


「ああ、準決勝まで相手が弱くて助かったんだが準決勝で当たった相手が意外と強くってな、思わず流れるような投げ技を会場で披露してしまった。ちなみにその時の決め台詞は『貴様には剣を振るう必要もない!』だ」


 ちなみに、投げられた相手は剣道の防具では投げの衝撃まで防ぐことができずに気絶していた。ついでに俺は失格だ。


「いや、何してるんだよ! というか、剣道の試合だったんだよね、なら剣を振らなければならないよね。なに剣を振るう必要がないとか言っているんだよ!」


「まぁあれだ、試合に負けて勝負に勝ったというわけだ」


「いや、試合に勝てなかっただけでシンヤ君の負けだよ・・・っとあれじゃないかギルド」


 話しながら歩いていると冒険者ギルドの大きな建物が見えてきた。イメージで中に酒場がありそこのは真昼間から酒を飲んでいる荒くれものがいる・・・だったが、中に入ってみると酒場などなくどちらかというと市役所みたいな内装だった。そして、幾人かプレイヤーがいてこちらをチラチラと窺っていた・・・これは舐められるわけにはいかないな。


 俺はわずかにオーラを身体から出し、目に力を込めながら堂々と受付の方まで歩いた。


「あの・・・先にどうぞ」

 

 すると、先に並んでいた気の弱そうなプレイヤーが順序を譲ってくれた。


 パコン! ユウキが俺の頭をはたいてきた。


「いきなり周囲の人を威圧するな! えっと・・・ちゃんと並ぶから譲らなくていいよ」


「初心者だからって舐められないようにしただけなのに」


「ここにいる人はみんな初心者だから大丈夫だよ!」


 確かに、このゲームは発売されたばかりだから初心者しかいないよな。


「ごめんね、シンヤ君は悪い人ではないと思うんだけど、少し悪ふざけをするのが好きなんだ」


 ユウキは俺に怯えていたプレイヤーに謝っていた。そして、プレイヤーは顔を赤らめながらユウキを見ていた・・・これはフラグが立ったか?!


「あの、俺はネロっていいます」


「うん、ボクはユウキだよ。よろしくねネロ君」


 二人が話しているとネロの順番が来たようで受付に呼ばれていった。しばらく待っていると受付にいた二人組が終わったようでユウキと二人で空いた受付にいった・・・残念だったなネロ。


「本日はどのようなご用件でしょうか」


「冒険者としてギルドに登録したいんだが」


「会員登録ですね、かしこまりました。では、この用紙に必要事項を記入してください。


 渡された紙には以下の二つの項目があった。

・名前

・クラス


「すいません、名前は分かるんですがこのクラスっていうのは何を書けばいいんですか?」


 俺はクラスについて聞いてみた。このゲームでは、アビリティで成長するシステムなのでよくゲームである戦士や魔法使いなどのクラスが存在しないはずなので、クラスになんと記入すればいいのかわからなかった。


「はい、クラスについてはご自身で好きなクラスを書いてください。クラスは臨時パーティーを募集するときに表示するもので、あまりふざけたクラスを書くとパーティー募集の時に苦労することになります。ただし、受付に頼めばいつでもクラスは変更することができます・・・有料ですが」

 

 受付の説明を聞き俺たちはクラスになんと書くか悩み始めた。しばらく悩んだ後、ユウキは自分のクラスが思いつかなかったので、受付に聞いたらとりあえず冒険者と書いておいてもいいと言われたので、そうクラスに記入した。そして、俺はクラスにこう記入した。


・戦闘狂


「いやいや、おかしいよね、戦闘狂ってクラスじゃないよね、しかもクラスはどういう技能をもっているか教えるためのものなのに、戦闘狂じゃ全然わからないよね、とにかく戦えればいいってことなの!?」


 ユウキのツッコミが入り、結局俺はクラスを無難な戦士に書き直した。


「記入なされましたか。それでは少々お待ちください……手続き完了しました。こちらが御二人のカードとなっております。」


 受付が渡してきたカードは名前とクラスそしてランクだけが記載された簡単なものだった。


「ランクについて説明いたします。ランクは上からS,A,B,C,D,Eとなっており、御二人は登録したばかりなのでEランクとなっております。お二人のように依頼にもランクがあり自分のランクより一つ上まで受けることができます。またランクは依頼を達成すると貢献点が加算され一定以上加算されるとランクが上がります」


「次に依頼について説明いたします。依頼は後ろの提示版に依頼表が張ってあるので自分のランクと能力にあったものを提示版から受付までもってきてください。そしたら受付でクエストカードと交換いたします」


 そう言って、受付の人は幾何学模様が刻まれたカードを見せてきた。そしてマナを流すとカードからウインドウが表示された。


「これがクエストカードです。このカードはマナを流すとこのように依頼内容が確認することができます。そして、依頼が完了したら受付まで持っていてください、報酬と換金いたします。また、換金するのは依頼を受けた街でなくても依頼が完了さえいていればどの街でもできます」


 へぇ~~つまり旅の途中で報酬を受け取るためにいちいち受けた街まで引き返したりしなくてもよいと。


「最後に依頼内容について説明します。こちらをご覧ください」


 依頼・ゴブリンの討伐 

 ランク・E

 依頼主・冒険者ギルド

 内容・ゴブリンが増えすぎないように間引きをお願いします。(ゴブリン 0/10)


「こちらの依頼はゴブリンを十匹倒してほしいっという内容です。ゴブリンを倒すとカードが自動的にカウントしますので規定数まで倒したら完了になります」


 依頼・村の畑を荒らすオークを倒してほしい

 ランク・E

 依頼主・プエブロ村の村長

 内容・プエブロ村の畑がオークに荒らされていた。どうやら近くに巣を作っているようなので討伐してほしい。


「こちらの依頼は討伐対象が設定されいます。ですから依頼とは関係がないオークを討伐しても依頼は完遂できません。どこにいるかわからない場合は受付まで尋ねるか、コンパスで依頼の方向を確認することができます」


 依頼・オーガの角を持ってきてほしい

 ランク・D

 依頼主・薬剤師ジョージ

 内容・薬の材料であるオーガの角の在庫がなくなった。オーガを討伐して角を持ってきてほしい。


「こちらの依頼はオーガを討伐し角を入手し、さらに依頼主まで角をもっていって初めて完了となります。間違えて角を受付まで持ってこないようにお願いします」


「これらの様に依頼は内容でクエストの内容が変わってくるので内容はよく確認して受けるようにしてください。では、説明は以上になります。御二人のご活躍を期待しております」


 受付での説明が終わり俺たちは提示版の前まで来た。


「ふ~~やっと説明が終わったな」


「そうだね、シンヤ君は全部理解できた?」


「・・・取りあえず、簡単そうな依頼を受けてみるか」


 俺が聞き流していたのがわかったのか、ユウキはこちらをジト目でこちらを見ていたが気にせずに簡単そうな依頼を探した。


 依頼・ゴブリン盗賊団の討伐

 ランク・D

 依頼主・商業ギルド

 内容・エレウシスへ向かう街道でホブゴブリン率いるゴブリン盗賊団が商隊を襲っている。至急討伐してほしい。


「この依頼にするか、ユウキ」


「簡単な依頼をするんじゃないの! なんでいきなりランクDの依頼をとっているんだよ!」


「そりゃ~ゴブリン如き何十匹いようが俺の敵じゃないしな」


「・・・一応内容を確認すると、ホブゴブリンも出るみたいだけど」


「たかがゴブリンの上位種程度、俺に任せろ!」


 こうして、俺たちは依頼を受け、ゴブリンたちの討伐に向かった。


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