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第七十六話


(あの砂時計(スタート オーバー)の能力は位置を巻き戻すことか!!)


 シンヤは周囲を見渡したことで自分が立っている場所が『原点回帰』(スタート オーバー)が起動した時に立っていた所だと気付いた。


(しまった、完全にしてやられた)


 気付いても、この致命的な隙をどうすることもできなかった。


 完全にシンヤの位置を想定して行動していたゼルギウスの『自由槍』(フリーランス)の力によって高速で回転しつつ伸びていく突きは閃光の如くシンヤに迫っていった。


 高速で迫りくる槍をシンヤはかわすことはできず、そのまま体に吸い込まれていき。


「オラァ!!」


 最小の動きで持って行った左腕でその突きを掴み取った。


 左腕にあった《鬼吼砲》の為のオーラ全てを腕力強化に回し、全力で掴んだことにより、擦過音を響かせながらも穂先が軽く身体に刺さるだけで、槍を止めることに成功した。


「ふぅ~~、やるじゃん俺の左腕。おかげで最小ダメージで済んだ」


 そして、シンヤとゼルギウスはまるで綱引きの様に一本の槍の両端をもって対峙した。


 お互い、頑なに手を離そうとせず、むしろお互いにドンドン力を込めていっている。


(この槍は手放す気はないってか)


 今、お互いがつかみ合っているのは、ゼルギウスが『自由槍』(フリーランス)の力で大きさを変えつつ放り投げる様に使い捨ててきた無骨な槍とは違い、シンプルながらも美しい装飾がなされている槍だ。素材を最高級の物が使われているであろう、シンヤの鎧を軽く貫く鋭い硬い穂先とお互いが全力で力を込めてもへし曲がらない剛性をもっている逸品だ。


(それに、やはり大きさを変えられないか)


 シンヤは『自由槍』(フリーランス)の発動条件が掴んで止めた瞬間大きさの変化が止まったことにより回転であることに気付いた。時計回りで巨大化、反時計回りで縮小化、それ故に掴んでいる状態では『自由槍』(フリーランス)で大きさを変えてシンヤの手から槍を奪うことが出来ないでいる。


 一本の槍を持ち睨み合う二人、その均衡を崩したのはシンヤだった。


 シンヤは持っていた黒刀・朔夜を振り上げ思いっきり槍に叩き付けた。


(武器破壊か!! しかし、その程度の攻撃で我が槍が折れることはない)


 自分の槍が折れないことを確信しているゼルギウスは、この隙に槍を奪うべく更に力を込め・・・いきなり増加した槍の重量に引かれて地面に吸い寄せられてしまった。


「何じゃと、これは!!」


「よし、かかった!!」


 シンヤは刀を叩きつける時、朔夜の重力操作能力を発動し、一気に槍の重量を増加させていたのだ。更にシンヤの手から槍を奪うために力を込めたことが災いし、槍に引っ張られるように体勢が大きく崩れたゼルギウスに追撃をかけるべくシンヤは駆け出した。


「異伝天草流《瞬身・光牙疾雷》」


 スキル《縮地》と自身の技《光牙疾雷》の合わせ技。オーラによる光の尾を引きつつ高速で駆け抜けたシンヤの後ろには、避けきれずに片腕を斬り飛ばされたゼルギウスの姿があった。


(即席で考えた技だが、予想以上にうまくいったな)


 技の出来栄えに、思わず笑みがこぼれてしまうシンヤであった。

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