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第七十二話


 リーゼロッテが生み出した光輪がユウキに迫る。


 光輪は《シャイニング・ロア》の様に高威力かつ自動追尾ではなかったが、複数生み出されており、リーゼロッテの意思によって自由に動かさるようで、最短距離で襲いかかってくるものもあれば、側面に回り込むように動く光輪もあれば、幾つかはユウキの周囲を囲むように配置し、隙あれば四方から襲いかかて来ていた。


「意外と、よく躱し続けますね《シャイニング・チャクラム》」


 ユウキが光輪に囲まれて生き残り続けられているのは光輪の速さがあまり速くなく、剣を叩き付けることで相殺することもできたからだった。


 ただし、相殺して減った光輪の数もすぐさまリーゼロッテが補充していき、一向に数が減る様子はなかった。今もカシャンと音を立て、槍が口を広げた獣の様に二又の槍に変形し、光輪をはきだした。


「った―――!!」


 しかし、光輪の制御に意識が割かれている分、リーゼロッテは自身の防御が甘い部分があり、そこにユウキが無理矢理攻めこみリーゼロッテに斬りかかる。


 斬りかかってきたユウキの剣をリーゼロッテが槍の柄で受け止めると、槍はまるでお腹を踏まれた獣の様に、口から光を嘔吐し、口を閉じた。


 ようやく懐に入れたが、背後から光輪が迫ってきており、ユウキはすぐさまその場から飛び退くしかなかった。


「《シャイニング・スプラッシュ》」


 飛び退いたユウキに向かって、リーゼロッテは槍から光の散弾を放ち追撃した。


 それを、ユウキは翼を使って強引に身体をずらして回避しようとしたが、広範囲に広がった散弾を避けきることが出来ずに、翼の片翼はズタズタに千切れ飛び、体に少なからずの負傷もした。攻めた結果がリーゼロッテは無傷でユウキだけが負傷する結果となってしまったが。


(だけど、そのおかげであの槍について段々つかめてきた)


 神槍スコルは光の吸収と放出を繰り返し光を操るレガリアのようだ、二又の槍の形態は、口を開いている状態で、光を吸収、または放出のどちらかをしようとしている状態で、一度口を閉じないと吸収と放出の切り替えができず、二又の槍の形態で攻撃を受け止めると貯めこんだ光を吐き出してしまう弱点もあった。つまりあの槍は遠距離では恐ろしい能力を持っているが、接近戦に向いていない。


(だからこそ、接近戦に持ち込まなくちゃ)


 その思考を読んだのか、リーゼロッテはユウキのことを冷めた目で見つめた。


「いささか、不快ですね・・・まさか貴女は接近戦に持ち込めば私に勝てるとでも思っているのですか」


「え!?」


「なら・・・こちらから近づいてあげましょう」


 そう言うと、リーゼロッテはユウキとの距離を一気に詰めた。


 そこから、繰り出されたのは卓越した槍技、激しい突きの連打と回転による石突きをも使った攻撃に、受けきれず吹っ飛ばされたユウキに追撃の光の散弾による攻撃。


「きゃぁぁぁ・・・」


 瞬く間に、ユウキの身体はボロボロになっていった。


(うっ・・・考えが甘かった・・・神槍なんて大層なものを預けられた人が、接近戦でも弱いわけがなかったんだ・・・)


「貴女もあがくのに疲れたでしょう。そろそろ終わりにいたしましょうか」


 止めを刺すために近づいてきたリーゼロッテ。


 その姿をボロボロの身体で睨むユウキ。


 その瞳からいまだに強い意志を感じ取れた。


(確かに、この人はボクなんかよりもとても強い、だけど・・・それでも!!)


 ユウキはこれまで無理なことに挑戦などせずに、自分のできることだけをやり続けるような子だったが、昔の自分が見たら驚くほど今のユウキは強敵に対して勝ちにこだわっていた。


「まだボクは負けてない!! アルファル《ヴァルキュリア・マーチ》!!」


 ユウキの身体が白銀の光に包まれると同時に聖剣アルファルから放たれた光刃は、リーゼロッテが咄嗟に構えた槍を弾き飛ばし、その体に傷を作った。


(時間を稼いで助けを待つのは止めだ・・・この人はボクが倒す!!)


 思い起こされるのは、強敵たちに挑戦し、勝利した時の嬉しそうなシンヤの姿。


 その姿を隣で見続けたユウキを次第に思う様になったのだろう。


(勝ちたい!!)





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