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第七十話


 ユウキの目の前でせっかく用意した浮島がいきなり現れた鉄柱に破壊されていく光景が広がった。


 そして、一つだけ取り残されるように浮いてある浮島にシンヤが浮島を破壊したであろう相手、ゼルギウスと向き合っていることも見て取れた。


「頑張ってね、シンヤ」


 ペガサスに乗っているユウキは、シンヤのいる浮島まで行くことが出来るが自分が言っても助けにならないと思い、応援するだけに留めた。


(それに、浮島を簡単に破壊する人を相手にするのは怖いし…)


 シンヤは喜んで戦っていそうだな~っと思いながら飛んで、せめて邪魔が入らない様に援護しようとしていたユウキの周囲に異変が起きた。


 いきなり、周囲が夜の様に真っ暗になったのだ。


「なに!? なにが起こっているの!!」


 ユウキが慌てて周囲を確認してみると、ハイデラバードの女騎士…リーゼロッテが掲げている先端が二又に分かれている槍の先端に、光がまるで底なしの闇の中に飲み込まれるように消えていくのが見てとれた。


 そして、光を飲み込んでいく槍の穂先がゆっくりとユウキの方に向けられていき、光とともにユウキと周りを飛んでいたツェルマットのペガサスナイトのたちの姿だけが穂先に飲み込まれていき、ようやくリーゼロッテの持つ槍による光の暴食が終わった。


「えっと…なんだったのかな?」


 先程、光と共に自分の姿が槍の飲み込まれていくのが見えたので、体に異常がないかユウキは自分の体をペタペタと触って確認してみるが何処も異常は見受けられなかった。だけど、見るからにユニークアイテムでありそうな槍によってもたらされた現象がこの程度で終わるわけがないと思い、警戒しつつ距離をとった。


 ユウキと一緒に姿を飲み込まれた周囲のペガサスナイトの反応は、ユウキと同じように距離をとって相手の様子を窺う者と、相手が何かをする前に倒そうと一気に距離を詰めていく者とで分かれた。


 幾人かのペガサスナイトたちが突進してくるなか、リーゼロッテは周囲の行動をあざ笑うかのようにゆっくりと穂先を前に向け、神槍の力を解き放った。


「《シャイニング・ロア》」


 瞬間、槍の穂先より膨大な光の奔流が解き放たれた。


 光は圧倒的熱量で近付こうとしていたペガサスナイトたちを焼き尽くし、そのまま空へと還っていくかと思われた光は幾条にも分かれて様子を窺っていたユウキ達に向かって降り注いだ。


「逃げて!! アルビオン!!」


 ユウキが叫ぶと同時にアルビオンは空を駆けだしでいた。アルビオンは光から逃れる様に縦横無尽に飛び回るが、光はアルビオンの飛行速度を上回るスピードでユウキの後をしっかり付いてきていた。


 周囲のペガサスナイト達もユウキと同じように光から逃げ回っているが、一人、また一人と光に追いつかれ焼き尽くされていった。


(ふりきれない!! このままじゃ追いつかれちゃう!!)


 直撃すれば、自分も一撃で焼き尽くされてしまうと思ったユウキはとにかく避けるためにパッと思い浮かんだスキルを使った。


「《ミラージュ・シルエット》」


 《ミラージュ・シルエット》は自身の実体の無い分身を作り出す光属性の魔法だ。つまり、魔法を使った瞬間、ユウキの姿が複数に分かれた。


 ユウキの目算としては、分身の内どれか一つに光が向かってくれればいいと思っての行動だったが、光は更に幾条にも分かれて、ユウキの姿をしたもの全てを焼き尽くそうとした。


「そんな!!」


 とうとう光に追いつかれ、光が当たる瞬間アルビオンはユウキを庇うべく光に向かって翼を広げ、ユウキも咄嗟に盾を投げつけて、少しでも威力を削ごうとした。


 そして、光はユウキが投げた盾を焼き尽くし、アルビオンの翼を焼き、ユウキの体に多少の熱を与えてようやく消滅した。


 何とか光を凌ぎ切ったユウキだったが、翼を焼かれてしまったアルビオンはこれ以上飛ぶことが出来ずに墜落してしまった。


「いたー、あっ大丈夫アルビオン」


 ユウキは慌てて地面に墜落したアルビオンの状態を確認した、流石に大けがをしているが命には別状がなさそうなので安堵した。


 しかし、気付けばリーゼロッテがユウキの傍まで歩いてきていた。


「おや、ゼルギウス様の邪魔にならない様に煩わしい羽虫を全て焼き尽くすつもりでしたが、まさか神槍スコルの《シャイニング・ロア》を凌ぎ切る羽虫がいるとは思いませんでした。少しターゲットを欲張りすぎて、光が拡散しすぎましたか」


 淡々と、先程の攻撃をユウキが必死に生き延びたことをまるでチョットした手違いであるように言い。それが事実であるように再び槍が光を食らい始めた。


「では、今度は貴女だけにプレゼント致しましょう。いつまでも近くに居られたら目障りですので、次は跡形も残さずに光に焼き尽くされてください」


 周囲の光と共に、再びユウキの姿を吸い込んだ槍の穂先をユウキに向け、リーゼロッテは再び光の奔流を解き放った。


「《シャイニング・ロア》」








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