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第五十五話


「今戻ったぞーー」


「ただいま~」


 情報収集を終えたメンバーは貸してもらっている城の一室に集まっていた。シンヤとユウキが入った時にはすでに他の四人が部屋におり、フーカ、カオル、ギンガは机の上に様々なお菓子を出して紅茶を飲みながら寛いでおり、ソースケは部屋の隅で筋トレをしていた。


「やっぱり、城塞まで出向いていた俺とユウキが遅かったか」


「それでも、リアルで調べているモモちゃんとハルト君はまだ着ていないね」


 女だけの空間に一人だけだったソースケはやってきたシンヤに突撃した。


「おっし!! やっと帰ってきたかシンヤ」


「いきなり飛びついてくるな!! てかなんでそこまで追い詰められているんだよ」


「いや~~、女だけの空間だと何すればいいのか全然わからなくてな…しょうがないから筋トレしていた」


 ああ、だからさっきまで部屋の隅で腕立て伏せをしていたのか…


「おかげで、腕立て、腹筋、スクワットを100回づつのセットを10回ぐらい続けていたぜ」


「いや、誰か止めてやれよ」


 なんで、近くで筋トレを続けている男を無視して寛げるんだ!?


「いえ、流石に私も止めようかと思ったんですが…セットが終わるたびにいい笑顔で「ふ~~シンヤ達はまだ来てないか…よしもう一セットするか」って言って再び筋トレを開始してしまい、本人も楽しそうでしたし、止めるタイミングをつかめなかったのですわ」


 コイツ…実は全然困って無かっただろう。むしろ熱気で女たちの空間を侵食していたんじゃないか。


「それで、シンヤは何か有益な情報は手に入れたか?」


「取りあえず、ココにいるメンバーだけで集めた情報をまとめておくか」



 シンヤ達はこれまで集めた情報で話し合ってみたが、状況を劇的に変える案は出なかった。


「これはハルト達が戻ってくるのを待っていたほうがいいかな」


「そうだね、じゃあしばらく待ってみようか」


 そう言い、ユウキたちは再びお茶会を開始した。


「シンヤ、俺たちはどうするか?」


「そうだな、模擬戦でもして体でもほぐすか」


「それなら練兵場まで行くか、あそこなら場所が広いから模擬戦をしても大丈夫だろう」


 男二人は練兵場まで歩き出した。


「ソースケは練兵場に見て回ったんだよな、そこに借りられそうな槍はあったか?」


「探せばあるんじゃないか? しかし、どうして槍なんか必要なんだ?」


「これから、ペガサスに乗って戦うことになるだろうから槍も使える様になった方がいいと思ってな。練習に付き合ってくれ」


 馬上から攻撃するには刀より槍の方が適しているからな。



「戻ったぞーー、ハルト達は戻ってきたか?」

 

 ソースケとの模擬戦を終えて、戻ってきたシンヤはハルト達が戻ってきてないかユウキに問いかけた。


「まだ戻って来てないけど、あれから結構時間がたっているし、そろそろ戻ってきてもいい時間じゃないかな?」


 ユウキがそう言った直後に、ハルトとモモが部屋に入ってきた。


「たっだいま~~、あっ皆でお茶会してたの!? モモの分もちゃんとあるよね」


 モモは部屋に入るなりユウキ達の所に行きお菓子を食べ始めた。


「どうだった、ハルト達は何か有益な情報は手に入れることができたか?」


「結構提示版とか賑わっていたから、簡単に情報を集めることができたよ」


 賑わうってこっちにはプレイヤーが殆どいないはずだが…何か賑わう要素があったか?


「これを見て貰えば、どうしてここまでプレイヤーの数に差がついたのか分かって貰えると思うよ」


 ハルトはウィンドウを皆に見える様に設定し、ダウンロードしてきた映像を再生した。



 一万にも及ぶ軍勢が整列し、ただ一点を注視していた。


 軍勢が見ている先には、壇がありその傍らには黒い槍を携えた巨漢の老将が、反対側には金色の槍を携えた美しい女性がいた。


 その二人の間にある壇の上に一人の少女が壇上へと登ってきた。その少女は壇上から軍勢を見回すと高らかに語り始めた。


「ゆーもうなるハイデラバードのぐんぜーよ。え~と、これよりわれらがハイデラバードはてんよくとしテルマットへしんぐんする。テルマットをせーあつしペガサスというてんをかけるつばさをてにいれたなら。それはわれらがハイデラバードこそがこのむすーのとしこっかがはびこるせかいをまとめあげるしこーのこっかであることをせかいにしらしめるだろー」


 本人は↓このように言ってるつもりです。


(勇猛なるハイデラバードの軍勢よ!! 之より我らがハイデラバードは天翼都市ツェルマットへ進軍する!! ツェルマットを制圧しペガサスという天を駆ける翼を手に入れたなら!! それは我らがハイデラバードこそがこの無数の都市国家が蔓延る世界を纏め上げる至高の国家であることを世界に知らしめるだろう!!)


 少女の演説に軍勢は雄叫びをもって答えた。



 ハルトが見せた映像は、軍服ワンピースを着た見た目十歳位の金髪ロリが短鞭片手に演説を繰り広げている映像だった。


「…そうか、俺たちの相手は一万の軍勢と千人近いロリコンプレイヤーどもだったんだな」


 映像に映っているプレイヤーも男ばかりだったから間違いないな。




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