表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/78

第五十三話



 ソースケとフーカは案内役の騎士ユッタに連れられて練兵場までやって来ていた。


「ここで兵たちが訓練しているのか」


 呟いたソースケの目の前で弓兵や魔術兵とだけ表示されている役職だけで名前の無いNPCの兵たちが一斉に訓練を行っていた。


「そう言えば、こういうNPCの兵はどういうシステムになっているんですの?」


 今まで、パーティーでの戦闘をしていただけで、戦争などの大人数での戦闘は初めてだったフーカは取りあえずこのNPC兵の集め方やアビリティなどどうなっているかユッタに聞いてみることにした。


「そうですね、まずNPCの兵は拠点で兵を募集をすると集めることができます。ただ特に指定をせずに募集すると大したアビリティを持っていない兵が集まってきますが能力を指定して募集すれば、その能力を持った兵を集めることができますね。例えるなら弓兵が欲しいなら【弓術】アビリティを持っている事を指定すればそのアビリティを持っている兵が集まってきますも。ただ、指定すれば集められる兵も少なく時間もかかる様になります。最も訓練をすれば後からでもアビリティやスキルを会得させることができますから、よっぽど欲しい兵が無い限り指定はしませんが」


「そうですの、つまり目の前の訓練はアビリティを鍛えているってことなのですね…それではいきなり強い兵を大勢雇うことはできないってことなのですよね」


「はい、指定で能力の高い兵を指定すれ来ないことは無いですが、能力が高ければ高いほど時間がかかり集まってくる数も少なくなってきますから、こうやって訓練で時間はかかりますが大勢の兵を一斉に強くしています」


「なら、今はどれだけ兵を募集しているんだ?」


「今は募集していませんね」


「なんでだ? 能力を指定しないただの兵士なら大勢連れてくることが出来るってことだよな。それなら大勢の兵を雇っておいて一斉に訓練して、育ったら別の兵をまた雇っていって兵力を整えたほうがよくないか?」


 兵たちの訓練を見ていたソースケが口を挟んできた。ソースケが考えたことは単純に能力が低くても大量の兵を定期的に雇い時間をかけて強くして多くの兵をそろえていく方法だ。もともとハイデラバードがツェルマットを攻めてくることが予測できていたわけだからできなくは無かったはずだ。


「そういうわけにはいかないんです。兵には食料と給金を渡さないといけませんから必然的に雇える人数が決まってしまうんです。その点ハイデラバードは周辺の都市を攻め落として自分の領地に変えてますから食料も資金をこちらを完全に上回っていますから大勢の兵を雇うことができ、戦闘で兵を消耗しても違う領地で新しい兵を鍛えておくことができますから、兵の能力も平均して高いです」


 向うは複数の領地から提供される食料と資金で強い兵士を大量に送りこむことが出来るが、こちらの兵士は消耗したら一から集めて育てなおさないといけないというわけですわね。


「つまり兵力を互角に持っていくことは不可能っと言う事ですわね…それではツェルマットにはどのような兵がいるのですか? みたところ弓兵と魔術兵しか見当たらないのですが…」


「ここでは、主に弓兵や魔術兵など遠距離攻撃ができる兵を主に訓練していますね。ここの地形的に高低差が激しいので遠距離攻撃ができないとつらい所があるので、それに城塞での防衛戦も主にこれらの兵が活躍できるはずなので今度の戦争に参加する兵の内半分近くがこれらの兵になる予定です。一応弓兵に近づかれた時様に近接戦闘ができる様に【剣術】のアビリティを取得させていますがそこまで期待しないほうがいいでしょう。後の兵は募集した兵に【槍術】などの近接戦闘用のアビリティを取得させた槍兵が1000人ほどで、【弓術】や【剣術】など様々な戦闘用アビリティを取得しており全距離対応できる騎士が500人ほど、そしてこのツェルマットの象徴になるペガサスナイトが300人になります」


 ユッタから兵の構成を聞いたフーカは考えこみながら呟いた。


「やはり今度の防衛戦では、こちらは遠距離戦が主体になりそうですわね。槍兵以外は全員遠距離攻撃ができるわけですから、地の利を活かすには遠距離から攻めるのがいいってことですわね」


 ユッタはフーカの呟きに肯き。


「そうですね。それにハイデラバードはこちらとは逆に様々なことが得意な兵が多い構成になっていますね。全身鎧を身にまとい攻撃を受け止める重装兵に、その重装兵に魔杖を持たせることにより魔術を素早く発動できる重装魔杖や、比較的軽い装備を身にまとい戦場を駆ける軽装兵など様々な能力をもつ兵が向こうにはいますから。もちろん弓兵や普通の魔術兵もいますよ」


 地力が違う時点で分かっていましたが、兵のバリエーションでも負けていますわね。

 

「ちょっと待ってくれ、魔術ってそんなに速く発動できるものだったか? 魔杖はハルトの奴ももっているが別に発動スピードが速くなった気はしないんだが?」


「それは多分持っている魔杖のタイプが違うのでしょう。プレイヤーが好むのは魔術の威力を上げるタイプの魔杖ですが、重装魔杖兵が持っている魔杖はマナを込めるだけで魔術が発動できるタイプの魔杖なのです。ただそのタイプの魔杖は使える魔術も固定されてしまうのでプレイヤーが持つことは稀ですね。それこそ戦士系がサブとして持っていることがある程度です」


 それから、しばらくフーカ達情報を集めていたが聞けば聞くほどツェルマットとハイデラバードの戦力差を痛感させられる結果になった。


(ここで得られる情報では希望が見えませんですわね…これは他のところに行ったメンバーに期待したほうがいいですわね)


 そう結論づけたフーカは他のメンバーに任せることにした。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ