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第五十二話

 


 ユウキと城塞チェスターにたどり着いたシンヤはジークが案内に付けてくれたペガサスナイトのカーラと共に城塞に降り立った。


「上空から眺めて見た感じは、かなり護りやすそうな城塞だな。これなら三倍くらいの戦力なら何とかなるんじゃないか」


 城塞チェスターは高台の大きな谷間の少し進んだ所に立っており、城壁が道を塞ぐように谷の半ばまでそびえ立ち、隣の壁となっている崖を削って足場まで作られているから、真正面から攻めればコの字になっている上部の足場から集中攻撃を受けることになるだろう。城塞両隣の高台上部にも簡易的な砦の様な施設も作られていたので、そこからも援護が見込めるだろう。


「しかし、此処が戦場になる予定だから、高台の上の砦はもっとしっかり造ったほうがいいんじゃないか」


 シンヤが疑問に思っているように、高台上部の施設は周りを囲う塀も2メートル程度の簡単なものでしかなく、シンヤなら全力で殴れば壊せそうな厚さしかなかった。建物も補給物資を詰め込んで置く倉庫と兵舎ぐらいしか見られなかった。


「上部の砦は主にチェスターの支援を目的に建てられた施設ですから防衛については特に考えられていないんです。戦闘時に必要な物を備蓄とカタパルトなどの防衛兵器が置いてあるだけで重要な物もありませんし、更にこの高台上部に行くには内側から大回りして上って行くか、空を飛ぶしか道がないんですよ」


 なるほど、外からは空を飛ばない限り登れなくて、歩いて上るには城塞の内側の通るしかないから城塞を抜けなくてはならないと…本末転倒だな。


「なら、他の道から攻めてくることはないのか?」


 流石に、道が城塞で塞いでいるここだけではなく、少し遠回りすれば他にも通れる道があったはずだ。


「確かに他にも道はありますが、道が細かったり、複雑だったりするので進行に時間がかかるので行軍には向いていないのですよ。例え城塞を無視して通ったとしてもこっちにはペガサス達により高低差を無視して移動できますからいつでも奇襲ができますし、整備されていない道はモンスターも多いですから。通っている間にドンドン各個撃破できます。首都にも防衛設備が無いわけではないですから、別の道を通っても問題はないですよ。むしろそっちの方が楽です」


 つまり、相手が攻めるにはこの城塞を打ち破って最短距離を突き進むのが一番確実っと言うわけか。聞いてみた感じでは、周囲に関しては気にしなくてもよさそうだな。


「ねぇシンヤ、シンヤならこのぐらいの壁ならスキルを使えば駆け上れるじゃないかな?」


 冗談半分にユウキがそんなことを言ってきたので、シンヤは城壁を眺めて考えてみた。


 そこのに小さなビル位高さがある城壁がある……これをあっさり俺なら駆け上れると口にするなんてユウキは俺を何だと思っているんだ……。


「いや…無理だな。ほら、てっぺんにネズミ返しの様なでっぱりが付いているだろう。流石にそれが邪魔で上ってもそこまでしか行けないから意味がないな」


「ほぼ登り切っているんだけど……そこまではいけるんだね……」


 しかし、ここまで地理的有利だとハイデラバードがどう攻めてくるかわからないな。


「ハイデラバードはいったいどうやってこの城塞を攻めてくるんだ?」


「前回どうようでしたら、まず始めに重装兵が仲間を護衛しながら城塞までの距離を詰めてきます」


 どうやら、カーラは前回の防衛戦参加していたようだ。


「距離を詰めるって、こっちの集中攻撃に曝されるじゃないか?」


 自ら進んで攻撃に当たりに行くなんてハイデラバードの連中はドMじゃないだろうか。


「曝されますね、ただ重装兵は大楯を装備しているので集中攻撃に曝されても中々倒れてくれないんです。そのまま距離を詰めた後、重装兵の影から重装魔杖兵が城塞に向けて魔法攻撃をしてきます」


 重装魔杖兵…何か聞きなれない兵がでてきたな。まぁそれについてはソースケ達が調べているだろう。


「その後、重装兵がフック付きの鎖を投擲してきて城塞の上部に引っ掛けてきます。そして、その上を重装兵の影に隠れた軽装兵が掛けられて鎖の上を駆けのぼり城塞上部を襲撃してきます」


「はぁ?! 鎖の上を走るなんて、ハイデラバードの連中はそんな曲芸みたいなことをしてくるのか。ってか鎖の上を走ってきても撃ち落とせばいいだろうが」


「意外と鎖の上を走るのは簡単なんですよ。流石に重装兵は登って来ないですが、軽装兵ならシステムアシストがあるのでそれこそ攻撃を当てない限り落ちることはないですね」


 マジか……結構色々な所にシステムアシストが働いていることは知っていたが綱渡りでも発動しているんだな…俺でもできるかな?


「城塞周辺が乱戦になってきたら後方から本体が動き出してきますね。破城槌や雲梯と呼ばれる攻城塔を城塞まで持っていき、一気に攻めたてようとしてきます。そこからは未知数ですね向こうにどんな切り札があるかわからないので臨機応変に対応するしかないでしょう」


 なるほど、おそらく乱戦になったそこから先が俺たちの本格的な出番になりそうだな。













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