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第四十六話





 これからどうするか。その問いに元気よく答えたのはモモだった。


「ハイハ~イ、提案がありま~す。フェラーラに来て新装備を手に入れて強くなったから、今度は足を手に入れに行こう」


「足って言うと馬か?」


 確かに、この世界は広いから徒歩で旅し続けるのも無理があるし、乗り物があれば旅も楽になりそうだ。


「ブーー、もっと良いものだよ」


 手で×の字を作りながらモモが不正解を告げ、そのまま荒ぶる鷹のポーズに変えた。


「ペガサスを捕まえに行こう!」


 ペガサスか、翼が生えた馬でファンタジーでは定番のモンスターの一つだな。


「ねぇモモちゃん、ペガサスを捕まえるのはいいんだけど、場所とかわかるの?」


「大丈夫だよユウね~さん、ちゃんと調べてあるから。ペガサスは天翼都市ツェルマット周辺に生息しているようだよ。ペガサスは幻獣に分類されるみたいだから逃げはしても襲ってはこないし餌付けすれば簡単にテイムもできるみたいだからオススメだよ」


 そこまで調べているなら、問題なさそうだな。


「じゃあ、次はペガサスを捕まえに行くか」


 反対意見もなく、シンヤ達の次の目的地は天翼都市ツェルマットに決まった。


 そして、シンヤ達が向かう天翼都市ツェルマットは現在戦争中であった。



 天翼都市ツェルマットを護る城塞チェスターに黒鉄都市ハイデラバードの軍勢が迫っていた。


 黒鉄の鎧を纏った漆黒の軍勢が城塞を攻め落とすために進軍し、それを迎撃するために城塞から次々と魔法と矢が放たれ黒鎧の軍勢を撃ち抜いていく。また、黒鎧の軍勢の後方部隊から進軍を援護するため魔法や矢、更にはカタパルトから巨大な岩石が城塞に向かって放たれていた。


 数千の軍勢がぶつかり合いその命を散らしていく光景を見ていた天翼都市ツェルマットが誇る天馬騎士団の団長ジークは状況を変えるべく、ペガサスに飛び乗り、自らの騎士団を率いて戦場へと飛び立った。


「後方の敵を討つぞ!! 総員飛翔せよ!!」


 ペガサスに跨り空を駆ける騎士団は、前方の黒鎧の軍勢を飛び越し、直接後方から援護射撃をしている部隊強襲した。


 当然、後方部隊は天馬騎士団を迎撃するために、城塞から狙いを変え襲いかかる天馬騎士団に向け魔法や矢を放つ。


「「「《エアーシールド》」」」


 しかし、天馬騎士団は防御用の魔術エアーシールドによって作られた風の盾でその攻撃を防ごうとしていた。後方部隊から放たれた攻撃は視界を埋め尽くす勢いで放たれており、《エアーシールド》では完全には防ぎきれずに負傷し地面に落ちてしまった騎士もいたが。それでも多くの者が突撃に成功し、上空からの突撃で後方部隊を打ち砕いていった。


 天馬騎士団の突撃により後方部隊が瓦解し、援護を受けられなくなった黒鎧の軍勢は次々と城塞の猛攻にさらされてその数を減らしていったが。撤退命令が下されたようで。城塞から引き揚げていった。


「どうやら撤退するようですね、追撃しますか団長」


 傍に飛んできた副長であるルーノックの言葉にジークは引き揚げていく敵の姿を見ながら考え。


「いや、止めておこう敵は存分に余力を残しているし、どうやら向うの目的はこのチェスターの戦力を図ることが目的だったのだろう。だからこそあっさりと軍勢を引き下げたのだ。次の戦いこそが本命だ」


 近いうちにより多くの戦力を引き連れ戻って来るであろう、黒鉄都市ハイデラバードの軍勢の姿を見送りながら、ジークはこれからあの軍勢をどう対処するか考えていた。



 シンヤ達が天翼都市ツェルマットを目指すことにしてから二ヶ月がたっていた。


 急ぐ旅ではないので、シンヤ達は始めは徒歩でのんびりと様々な都市を巡りながら旅をしていたが、この世界は広く、のんびり歩いていたのでは一ヶ月経っても道程の半分にも満たないことに気付いたので急遽乗合馬車を利用することに決めた。


 しかし、それだけでは懐が寂しくなるので、寄った都市で仕事をしながら進んでいたら、結局ツェルマットに着くのはフェラーラを出て、二ヶ月が経ったところだった。


 そして、ガタゴトと揺れる馬車に乗りながらシンヤ達はようやくツェルマット周辺に到着していた。


「この馬車が向かう先がツェルマットでいいんだよな」


「正確には、ツェルマット周辺入り口にある、あの城塞までだよ」


 モモが指差す先に崖の間を塞ぐように建設された城塞があった。


「ツェルマットはギアナ高地の様にテーブルマウンテンや大穴が開いている場所があって高低差が激しいマップになっているんだよ。だからこの馬車は今見えている城塞までで、そこからペガサスが引く空飛ぶ馬車、天馬車に乗り換えるか、歩いて行くかだね」


 今見えている城塞からは既に飛んで行く天馬車が見えており。シンヤ達全員の目がそれに釘付けになっていることから、これから空を飛べることを楽しみにしていることがわかった。


「どうするシンに~さん、乗り換えてツェルマットまで行く?」


「いや、歩こう」


 即答で歩くことに決めたシンヤにユウキは不満そうな声を上げた。


「え~なんでだよシンヤ、ボク、早く空を飛んでみたいから乗って行こうよ」


「此処にはペガサスを捕まえに来たんだから。始めて空を飛ぶのなら自分のペガサスで飛んで見たいじゃないか」


 シンヤ達は初めて飛ぶなら自分のペガサス派と早く飛んでみたい派に分かれたが、ジャンケン勝負の結果、初めて飛ぶなら自分のペガサス派が勝ち城塞から歩いてツェルマットに向かうことになった。

 






 

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