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第四十二話

 このフェラーラの鉱山からは天然の温泉が湧き出ておるところがあり、そこから湯を引いてきた銭湯がある。効能は冷え性、肩こり、四十肩、神経痛、リュウマチ、腰痛、水虫、その他とある……必要あるのかこの効能は?


「うぃ~~~~」


 温泉の温かさに思わず声が漏れてしまった。


「ジジ臭いぞシンヤ」


「別にいいじゃねぇか、そこでポージングし始めたソースケよりマシだろうが」


 なんで、この手の体を鍛えている奴は脱ぐとポーズを決めたがるんだろうか。


「ふっ、この世界でも俺の筋肉は中々決まっているじゃないか」


「……ソースケ、俺達に筋肉を見せてどうしたいんだ」


 別に男の裸を見せられても嬉しくもなんともないぞ。


 ガララ


 扉の開く音がしてそこから、見知った顔が現れた。


「何だ、シンヤお前も風呂に入りに来たのか」


 アッシュが浴場に入ってきた。


 俺はソースケと目配せし、猛ダッシュでアッシュ両脇を抱え。そして……


「よくもさっきは囮にしてくれやがったな」


 思いっきり浴槽に投げ込んだ。



 そのころ、女湯では……


「わ~~ユウね~さんって、ホントにスタイルいいよね~~」


「もう、モモちゃんそんなにジロジロ見ないでよ」


 モモの視線の先には見られるのが恥ずかしいのかタオルで体を隠しているユウキがいた。ユウキの出る所は出て引っ込む所は引っ込んでいる見事な体型をしており、モモは思わず羨ましいな~~と思った。


「ねぇユウね~さん……ちょっと身体を撫でまわしてもいいかな?」


「嫌だよ!! なんでいきなり身体を撫でまわされないといけないんだよ」


「お願いユウね~さん、後学のためにぜひ」


「ボクの身体を撫でまわすのにどんな後学につながるんだよ!!」


 ユウキが拒絶しモモから距離をとると、モモは残念そうにしながら次の獲物を探していた。そして、浴槽につかり胸が浮き上がっているカオルの姿が目に入った。


「うわぁ~カオね~さんのすごいね~揉んでいい?」


「別にいいよ~~」


 カオルの許可が出たのでモモは思う存分に揉むことにした。


 モミモミモミモミ……チラ(カオルの隣にいるフーカの方を見る)


 その瞬間、凄まじい速さでフーカのアイアンクローがモモに炸裂した。


「あら、モモさん…なんで先程こちらをチラ見したのでしょうか」


「アイタタタタ、大丈夫だよフ―ね~さん、貧乳はステータスだ、希少価値だよって強くなってきてる~~」


 フーカがモモの頭を握り潰さんと力を込めている最中、ユウキはチラチラと男湯の方を気にしていた。それに気づいたカオルがどうしたか聞いていた。


「どうしたん、さっきから男湯の方をきにしてるようだけど」

 

「えっと……二人は会ったばかりだから知らないだろうけど、シンヤはこういう場面のお約束は必ずやりたがるの、だから覗きをしてこないか気になって」



「よし、そろそろ覗くか」


 アッシュを浴槽に沈めた後、そのままのんびりと温泉に浸かり、十分に身体も温まったのでそろそろ新たな行動を起こそうとしていた。


「覗くっていってもどうするつもりだい」


 ハルトが俺にどのように覗くか聞いてきたので、俺は女湯の方の壁の上側を指差した。


「ほら、上の方が吹き抜けになっているだろ、そこからジャンプして覗こうと思っている」


「壁の上から顔がピョンピョン出るわけか……隠れる気がゼロだね。それに上から覗くっていってもその程度対策はされていると思うんでけど」


 確かに、このゲームは酒を飲んでも未成年だと水になるなど、その手のことはシステム的に不可能にしているな。だけど……


「なぁハルト……挑戦することに意味があると思わないか」


「シンヤ……そうだね同意するよ」


 もしもこの場にユウキが居たら「そんなくだらないことに同意をするな!!」って言いそうだか。生憎とこの場にツッコんでくれる人はいなかった。


「よしソースケ、踏み台になれ」


「よし……こうか」


 ソースケは女湯の壁沿いに立ち、腰を落とし手を組んで、こちらを上に投げ飛ばす準備をした。


「いくぞ!!」


 俺はソースケに向かって猛ダッシュし、組まれた手の上に足をのせ、跳躍した。跳躍の際にソースケも真上に放り投げてくれ、俺は吹き抜けの向こう側が見れるくらいの高さまで跳んでいった。


 よし、見えた!!


 俺は向う側の光景を目に焼き付け、地面に降りるとそのまま手と膝を地面に着きそっと涙を流した。


「……やっぱり見えなかったのか」


「ちげーよ、もっとひどかった」


 なんだよあの光景は、ガチムチレスリングの光景なんかを俺に見せて……運営は何を考えてやがる


「おい、泣くほどの光景が向こうにあったのか」


 いつの間にか復活したアッシュもこちらの騒ぎを聞きつけてやって来ていた。


「お前も見てみろ、もの凄い落ち込むぞ」


 女の子の裸が見たくて覗いてみたら、現れるのがガチムチのおっさんだからな。


「そうか……なら見てみるか」


 どうやらアッシュも覗きに参加するようだ……いや、この場合はどちらかと言うと怖いもの見たさで参加かな。


 俺はソースケの代わりに踏み台の役割をした。


「よし、準備はできたぞ…来い!!」


「いくぜ!!」


 アッシュは俺に向かって猛ダッシュし、組まれた手の上に足を乗せ、跳躍した。跳躍の際に俺はアッシュが壁の向こうに行くように斜め上に放り投げ、アッシュが壁の向こう側に落ちていくのが見えた。



「あら、こっちは賑やかね」


「あっメグさん、お久しぶりです。こっちに来てたんですね」


 モモの悲鳴でこっちに気付いたメグがユウキの方にやってきた。


「シンヤから女の子だらけのパーティーを組んでいるって聞いたんですけど、一人なんですか?」


「ええ、私は今回の依頼の報酬について話し合っていたからみんなには先に帰って貰ったの。それでアッシュと二人で行動していたの」


 ……この二人ってやっぱり付き合っているのかな? 気になるけど、部外者のボクがそのことを聞いてもいいのかどうかわからないな。


 あれ? そう言えばシンヤもメグさん達と一緒に依頼を受けたはずだよね。報酬はどうしたんだろ。


「丁度良かったわ。シンヤ達に伝えてくれないかしら。シンヤ達の報酬はヴァーグナーの工房に直接持ち込むそうよ。だから報酬はそっちで受け取ってほしいみたい」


 どうやら大丈夫みたいだ。


 それにしても、さっきから壁の向こうが騒がしいな。アッシュさんがシンヤ達に見つかったんだろうか?


 そう思い耳を澄ましてみると。


「おいシンヤ!! アッシュがガチムチレスリングに落ちたぞ」


 はぁ? なに!? 向うで何が起きているの!?


「ぐわ―――こっちに来るんじゃね―――だっだれか助けてくれ―――」


「……あのバカアッシュが、いったい何騒いでいるのよ、お風呂位静かにはいれないかしら」


 メグさんはアッシュさんが悪いように言っているけど、騒ぎの原因はシンヤだろうな~~と思いながら。ユウキは騒ぎから目を背ける様に温泉の湯に潜っていった。



 

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